2011年10月28日

アニメ「ちはやふる」に思うこと。

アニメ「ちはやふる」に思うこと。
アニメ「ちはやふる」が、面白いですね。
どんなアニメかというと、百人一首のカルタ大会のアニメです。
かなりレベルの高いアニメです。





実は、私は、このアニメの登場人物(副主人公)と、同じような経験をしたことがあります。
今回は、それについて述べてみようと思います。

私のふるさとは、佐渡島の旧金井町というところです。
ここには、3つの小学校がありました。
いちばん大きな小学校が、金井小学校。
私の母校です。

で、泉小学校・吉井小学校という小さな小学校がありました。
金井小学校は、街の中心地にあります。
生徒数も多いし、都会意識がある。
ですから、泉小学校・吉井小学校を小馬鹿にしています。

 まあ、どちらも佐渡島の田舎なので、大差はないんですが、そもそも田舎者は、少しでも自分のところの方が都会だと思いたがります。笑止千万ですが、そういうものです。ですから、金井小学校の子供たちは、泉小学校・吉井小学校に対して根拠のない優越感をもっていました。その金井小学校と、僻地にある泉小学校が統合することになった。金井小学校が、泉小学校を吸収合併することになった。私が小学校5年生の時です。

 で、いろんな行事が組まれたんです。

 まず、私たち金井小学校の五年生が、泉小学校の運動会に招待された。
 で、ちっちゃな小学校だなあと思った。
 そのうえ、そこで見た運動会の応援歌がダサイと思った。
 金井小学校の子供たちは、みんな
「俺たちの応援歌の方が、かっこいい」
とヒソヒソ囁きました。
 まあ、今から思えば、何から何まで見下していたんだと思います。
 何の根拠もなく。

 しかし、その応援歌は、今から考えると素晴らしい応援歌だった。
 佐渡島にまつわる歌詞を歌った応援歌だった。
 故郷を歌った心に染みいる歌だった。

 じゃあ、金井小学校の応援歌は、どんな応援歌だったかというと
 今にして思えば最低の応援歌だった。
 「聞け万国の労働者(メーデー歌)」だった。



 こんなものを小学生に、運動会に歌わせた金井小学校の教師たちの神経を疑う。
 しかし、当時小学生だった私は、単純に、この歌をかっこいいと思いこんでいた。
 知らない間に左翼教師たちに洗脳されていたわけだ。


 金井小学校は、大きな小学校だった。
 佐渡島にしては、少しばかり都会の小学校だった。
 しかし、そこは日教組の支配する学校だった。
 授業で、自衛隊は憲法違反と学んだ。
 自宅へ帰って、それを親に言ったら殴られた。
 私の父親は、自衛隊だった。

 話をもどします。

 次のイベントして、妙見山という山で、金井小学校と泉小学校が合同キャンプすることになった。仲良くなるためのキャンプだったんでしょうが、おきまり喧嘩が勃発した。人数の多い金井小学校の圧勝だった。勝負にならなかった。ここでも、私たち金井小学校の根拠無き自尊心が満たされましたが、そもそも数が違うので、馬鹿だったとしか言いようがないです。その根拠無き自尊心が崩れる時が、数ヶ月後にやってきた。





 金井小学校の五年生が、泉小学校の運動会に招待されたことは述べました。お返しに、泉小学校全員を金井小学校の学芸会に招待しました。これに、私たち金井小学校の子供たちは、妙な優越感をもちました。泉小学校に招待されたのは、金井小学校の5年生だけでしたが、金井小学校に招待されたのは、泉小学校全員だった。なんか変な優越感をもって、みんな泉小学校を小馬鹿にしていた。

 人数の多い、金井小学校の出し物は、学級ごとに行われました。1年生◎◎組は演劇。1年生★★組は舞踊。2年生☆☆組はミュージカル・・・・といった具合に。5年生◆◆組の私は、音楽の出し物を行いました。曲は、音楽の教科書のものをつかいました。もともと、音楽の授業でやっていた曲ばかりだったので、できばえもよく、意気揚々とひきあげました。

 とりは、泉小学校の出し物で、演劇でした。で、それが凄かった。

 1年から6年まで全員参加の演劇で、佐渡島の有名な民話「音羽池」を演じたのですが、私たち金井小学校のレベルと全く違っていました。まるでプロのレベルだったのです。台本も凄かった。小学校で習ってないはずの古語・慣用語句・格言・ことわざなんかが、随所にでていて、小学五年生の私には理解できないところも多かった。たとえば、

「ここは清水の舞台から飛び降りるつもりで・・・」

という台詞の意味がわからなかった。こういう用語は、金井小学校の生徒たちは、教わってなかった。しかし、泉小学校の子供たちは、小学校1年生でも知っていた。

 これは、あとから知ったことなのですが、金井小学校の出し物は、教育指導要領にそった出し物しかだしてなかった。ですから私たちが演じた音楽の出し物は、音楽の教科書にあるものをやっていた。それに対して泉小学校は、教科書の枠をとびこえて、プロのレベルを目指していた。金井小学校の子供たちのもっていた根拠無き自信が、ここで崩れたのです。

 私は、自宅へ帰って、学芸会に見に来てくれていた母親に
「金井は駄目だ」
としょげかえった。母親は
「いや、よかったよ」
と慰めてくれましたが、私の母親は日教組の小学校教員だった。今から思うと、あれは慰めだったのではなく本気でそう思っていたのかもしれない。というのも金井小学校の教師たちが、泉小学校の教師たちを批判しているのを偶然聞いてしまったからだ。「泉小学校の出し物は、小学生らしくない」と。

「小学生らしくない」

 子供の頃に私は、この言葉に反発を覚えた。というのも、泉小学校の子供たちは、実に小学生らしかったからだ。みんなノビノビと役を演じていた。金井小学校の方が、型どうりの出し物をやっていた。教科書にそったものをロボットのように演じていた。

 ここのどこに小学生らしさがあるのだろう?
 金井小学校の教師たちは、自分の子供の頃を忘れてしまったのだろうか?
 と思った。

 そもそも子供という生き物は、新しいことをやりたがる。
 大人のまねをしたがる。
 教科書に載っている授業で練習済みの音楽を演奏するより、
「ここは清水の舞台から飛び降りるつもりで・・・」
という聞きかじった新しい言葉を大人たちの前でしゃべってみたい。
 それが小学生というものだ。
 教科書をはなれたい。
 新しいことをやりたい。
 未知の世界に飛び込みたい。
 それが小学生というものだ。

 いくら大人たちの理論で金井小学校の出し物の方が良いという結論であっても、子供たちの心は違う。そんな理屈では騙されない。子供たちの目から見たら、あきらかに泉小学校の方が良かった。小学生のレベルを超えた演劇の方が、まぶしく見えたことは確かなのだ。

 そして、私が小学生6年になった時、泉小学校は金井小学校に吸収合併された。
 泉小学校の子供たちは、金井小学校のクラスで一緒に勉強した。
 伝統ある泉小学校は、廃校になってしまった。
 みんな、すぐに仲良くなって、一緒に金井中学校に進学した。

 事件は、その直後におきた。
 また、衝撃の事件が、私たち金井小学校出身者のプライドをズタズタにした。
 旧泉小学校出身者の能力に驚嘆せざるをえない事件がおきたのだ。

 中学校に入ると、今まで見たこともない授業にでくわす。英語と古典だ。英語は、金井小学校・泉小学校の子供たちのどちらにとっても、初めて出会う教科だった。しかし、古典は違っていた。旧泉小学校出身者の方が圧倒的に強かったのだ。なにしろ小学校1年生に
「ここは清水の舞台から飛び降りるつもりで・・・」
という台詞を学芸会で言わせる学校だ。古典に強いはずである。民話にも強いし、郷土史にもつよい。





 中学校に入ると、百人一首大会というものがあった。「いろはカルタ」しか知らなかった私たち金井小学校出身者たちは、1枚もとれなかったが、泉小学校出身者の子供たちは、ばんばん取っていった。みんな上の句・下の句をすべて暗記していた。ひどいのになると、カルタを置いた場所まで記憶していた。聞いてみたら泉小学校では、1年生の時から百人一首大会で鍛えていたらしい。もちろん歌の意味まで知っている。





 今にして思えば、泉小学校は、まれに見る素晴らしい学校だったかもしれない。泉小学校の歴代校長・そして教師たちは、素晴らしい伝統を泉小学校に残していた。その泉小学校が無くなってしまったのは残念だった。密かに私は金井小学校が泉小学校を吸収するのではなく、泉小学校が金井小学校を吸収すればよかったと思っている。そうすれば、泉小学校の伝統は、今でも続いているはずだったから。





 さて、「ちはやふる」というアニメ。
 素晴らしいアニメです。
 百人一首大会をテーマにした青春ドラマです。
 機会があったらぜひ見てください。


つづく。

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posted by マネージャー at 08:28| Comment(3) | TrackBack(0) | 教育問題を考えてみる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
お久しぶりです。
ちはやふる、いいですよね〜。
漫画を読んでアニメの放送、心待ちにしていました。
作者である漫画家さんも色々ありましたが主人公がまっすぐで見ててとても爽快です。
何となくのだめちゃんとイメージが被ります。
やはり天才型の主人公の方が話しが広がるんですかね。

お勧めのアニメ、まだまだありますので追記します。
「桜蘭高校ホスト部」
アニメも凄くも面白かったですが、ドラマにもなりました。
「うさぎドロップ」
パフィーの曲がとってもはまっていました。
「NO.6」
バッテリーを書いたあさのあつこさんが原作だったので見て見ました。
「青のエクソシスト」
最近バトルものの女性作家が増えてきたと感じます。
ツボが違うんでしょうね。
「結界師」や大ヒットした「鋼の錬金術師」なども。
「銀魂」
面白いです、何となく「シティーハンター」に似ている要素があるような気がします。
作者のジャンプ漫画分析を登場人物が喋るので、たまにいいのかなぁと思ってしまいますが。
「ブリーチ」
10年続いているので、凄いなぁと思います。
「ハヤテのごとく」
映画になりますよー、コミックスの売れ行きもサンデーの中でも良かったです。

ドラマの話になりますが
「ドン☆キホーテ」
お勧めです。
毎回見ていないので、再放送があったらちゃんと最終回まで見たいのですが親になると言うこと、
学べます。

長くなりましたが最後にゴールデンタイムに放送していたアニメ枠の歴史を見つけたので、
貼りつけておきます。

【日テレ月曜19:00子供番組】赤き血のイレブン(70/04)→めくらのお市(71/04)→正義を愛する者 月光仮面(72/01)→ワイルド7(72/10)
→流星人間ゾーン(73/04)→ぼくは叔父さん(73/10)→柔道讃歌(74/04)→スーパーロボットマッハバロン(74/10)
→ガンバの冒険(75/04)→元祖 天才バカボン(75/10)→ルパン三世(2)(77/10)→あしたのジョー2(80/10)→新ど根性ガエル(81/09)
→ゲームセンターあらし(82/04)→忍者マン一平(82/10)→キャプテン(83/01)→キャッツアイ(83/07)→ガラスの仮面(84/04)→キャッツアイ(2)(84/10)→ダーティペア(85/07)→ロボタン(86/01)
→ボスコアドベンチャー(86/10)→シティハンター(87/04)→[追跡](88/04)→ストリートファイター2V(95/04)→バケツでごはん(96/01)
→ガンバリスト!駿(96/07)→金田一少年の事件簿(97/04)→犬夜叉(00/10)→ブラックジャック(04/10)
【テレ朝月曜19:00子供番組】宇宙パトロールホッパ(65/02)→海賊王子(66/05)→魔法使いサリー(66/12)→魔法のマコちゃん(70/11)
→さるとびエッちゃん(71/10)→魔法使いチャッピー(72/04)→バビル2世(73/01)→ミラクル少女リミットちゃん(73/10)
→魔女っ子メグちゃん(74/04)→アンデス少年ペペロの冒険(75/10)→ザ・カゲスター(76/04)→5年3組魔法組(76/10)→激走ルーベンカイザー(77/10)→魔女っ子チックル(78/03)→赤い鳥のこころ(79/02)
→花よめは16歳(79/10)→生徒諸君!(80/09)→タイガーマスク2世(81/04)→あさりちゃん(82/01)→忍者ハットリくん(移動)(83/04)→名探偵ホームズ(移動)(85/04)→コンポラキッド(85/06)
→巨獣特捜ジャスピオン(移動)(86/01)→時空戦士スピルバン(86/04)→超人機メタルダー(87/03)→ウルトラB/新プロゴルファー猿/ビリ犬(88)
→ビリ犬なんでも商会(89/04)→魔法使いサリー(2)(89/10)→クレヨンしんちゃん(92/04-96/03)→枠消滅
【テレ朝月曜19:30子供番組】ハッスルパンチ(65/11)→ピュンピュン丸(67/07)→おれの太陽(67/09)→ジャイアントロボ(移動)(68/01)→大魔王シャザーン(移動)(68/04)→怪獣王ターガン(69/04)
→宇宙忍者ゴームズ(69/07)→ピュンピュン丸(未放映分)(69/10)→チキチキマシン猛レース(70/04)→スカイキッドとブラック魔王(70/07)→幽霊城のドボチョン一家(70/10)
→チンパン探偵ムッシュバラバラ(71/04)→電子鳥人Uバード(71/08)→ドラドラ子猫とチャカチャカ娘(71/12)→ドボチョン一家の幽霊旅行(72/04)→緊急指令10-4・10-10(72/07)
→どっこい大作(73/01)→パパ愛してる!!(74/04)→おじさま愛です(74/10)→正義のシンボル コンドールマン(75/03)
→一休さん(移動)(76/04)→Theかぼちゃワイン(82/07)→昭和アホ草子あかぬけ一番!(85/10)→銀牙 流れ星 銀(86/04-86/09)→枠消滅
おまけ:月曜日19:30日テレ子供番組は次の通りです。
鉄人28号(実写版) 1960/02/01-1960/04/25 全13回セーラー服 反逆同盟 1986/10/13-1987/03/23 全23回
きまぐれ オレンジ★ロード 1987/04/06-1988/03/07 全48回(総集編3)
燃える!お兄さん 1988/03/14-0988/09/19 全24回
美味しんぼ 1988/10/17-1989/09/25 #44まで(#45-138火曜19:30に移動)
YAWARA! A fashionable judo girl 1989/10/16-1992/09/21 全124回
コボちゃん(シリーズ) 1992/10/19-1994/03/21 全63回
魔法騎士 レイアース 1994/10/17-1995/11/27 全48回(49話)
名探偵 コナン 1996/01/08-
Posted by 割烹着娘 at 2011年10月28日 13:01
ちはやふる神代も聞かず竜田川・・・・
   そう、紅葉の美しさをうたった六歌仙ですよね。

最初に覚えたのは いにしえの でした。
個人的に好きだったのは しのぶれどいろにいでにけり・・・ です。

百人一首の花の歌は年老いた女が若い頃をしのぶ内容が多いので好きではありません。

アニメなどで若い人の心に文化が残るといいですね。
Posted by えば at 2011年10月28日 16:21
割烹着娘さん
えばさん

アニメ『ちはやふる』は、田舎者の小学生の転校生を小馬鹿にして、いじめる話なんですが、貧乏で、田舎くさい、いじめられっ子に、一つだけキラリと光るものがあった。それが百人一首なんですよね。

一つだけでいい、キラリと光るものがあったら強いです。
オタクとよばれようが、なんであっても。
私は、それが旅や登山だったらもっと良いと思ってますけれれどね。
小学生で、ユースホステルに一人旅できる能力があったら、
それだけで、キラリと光る小学生になると思う。
ユースホステルで大人達と、ものおじせずに世間話する小学生こそ、
大物になっていくと思うんですよ。

Posted by マネージャー at 2011年10月29日 10:43
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