今回は、ハイキングツアー参加者に、それも初心者にアドバイスです。
登山靴が、どれだけ重要であるかは、前回書きました。
で、今回は、具体的にどんな靴を買うべきかを述べたいと思います。
まず
「どんな靴を買うべきか?」
という話をする前に、
「どんな靴を買っては駄目か?」
を述べてみましょう。
もっと具体的にいうと、どんな靴を履いて山に登ったら死ぬのか?という話です。
「死ぬ? 大げさな」
と思ってるあなた、これは決して大げさな話ではありません。山には崖がつきものです。1歩間違えたら死ぬような場所は、いっぱいあります。これはビルの屋上でも一緒です。ある靴を履いていたらビルの屋上から落っこちて死ぬことだってあるのです。例えばローラースケートで屋上を歩けば死ぬ確率が高くなります。だから鳶職の人は、地下足袋を履いて仕事をします。ガラス清掃業者は、ゴム長靴を履いてブランコにのって仕事をします。ちなみに私の前職は、ガラス清掃業者でした。そのガラス清掃業者が、高所作業で絶対に履かない靴がデッキシューズです。
これは、登山でも一緒です。デッキシューズで山に登るということは、死を意味します。バスケットシューズでも一緒です。この2つの靴は、ワックスがかかったツルツルの平らな床でしか、正常に機能しません。持っている人は、靴の裏(ソール)をみてください。真っ平らです。つるんつるんです。こういう靴は、塗れた岩場で滑りますから、そのまま滑落して死に至ります。実は、スニーカーと言われる靴も、そういう系統の靴です。
スニーカーの語源は、英語のSneak(忍び寄る)からきています。これは50歳以上の人にとっての常識です。というのも、このスニーカーが登場したのが40年前で、登場した時に「音をたてず静かに忍び寄ることができる」とのが、キャッチフレーズだったからです。それ以前は、革靴に鋲がうってあって、歩くとコツコツ音がしていたからです。昔のドラマや映画をみたらコツコツ音をたてて歩いてるのがわかるかと思います。その音を消すために、土踏まずを無くして底をぺったんこにしたんです。つまり、デッキシューズのようにしてしまった。
こういう靴は、体育館やアスファルトには強いんですが、砂地の坂なんかを上がり下がりすると、滑って転びます。面白いように転がってしまいます。浮き石に弱いんです。もし、転がった先に絶壁があったら死にます。だからベテラン登山家は絶対に履きません。テニスシューズもしかりです。あれはスニーカーそのものですから、山歩きに使ったら生死をかけるのと一緒です。
じゃ、ランニングシューズは、どうかと言いますと、これも駄目と言いたいところですが、最近は、トレイルランニングというものが普及していて、トレイルランニングシューズが流行している。しかし、この靴も初心者は切り捨ててよいと思います。山を走って登りたいなら別ですが、そういった初心者なんかいるわけがないですから。ただし、トレイルランニング シューズで山を登るとコースタイムがめちゃくちゃ速くなります。だから一部の猛者たちは、それを履いて山を飛び歩く人たちが多いのですが、ローカットの靴なので、いかにも危ないです。とてもじゃないけれど、初心者にはお勧めできない。私も持ってはいるけれど、最近は使ってない。
では、「どんな靴を買うべきか?」にいきたいと思います。
ポイントは、8点くらいあります。
1.靴の裏(ソール)
2.靴の高さ(ハイカット)
3.つま先の堅さ
4.足との相性
5.爪の保護
6.通気性と防水性
7.衝撃吸収力
8.足の矯正力
これに加えて、もっと重要なことがあります。
9.どんな山に登るのか?
10.どの季節に登るのか?
11.どういうスタイルで登るのか?
12.誰と登るのか?
13.何日登るのか? 日帰りなのか?
という点です。
と、書くとなにやら難しそうですが、初心者の選択肢は、案外せまいです。難しい山に登ろうとしなければ、◆◆で決まりということが多いです。だから専門家にアドバイスしてもらえば一発でわかります。ですから最初から難しく考えなくてよいのですが、なぜ、こういう細かいことを書いたかと言いますと、登山靴を量販店で買ってもらいたくなかったからです。
量販店には、見かけ倒しの偽物もおおいし、細かい知識がないと、買ってはいけない靴を買ってしまうからです。高くても登山ショップで買うべきなんです。登山ショップは、店と言うより「学校」だと思った方が良いです。品物を買うのではなく、情報を買うんだと思っていくところなんです。
でも、まあ、登山ショップに行く前に予備知識があった方がいいでしょうから、
次回は、「どんな靴を買うべきか?」の細かいポイントについて解説します。
つづく。
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先日、ダンナのトレッキングシューズが高尾山登山中に靴底がパックリ剥がれたのをみて、あとで自分のトレッキングシューズみたら、爪先が剥がれかかってて…。
1999年購入したものだから、靴底の素材が劣化したのかも。
また登山をするかも知れない日に向けて注目させていただきます。
初心者でもベテランでも楽しめます。
でも個人がきちんと守るべき事を守ってこそ成立するのですから、
自分の身を守る靴なのですから自分でしっかり用意するべきで、
甘く考えては困ります。
怪我をしたとしてもそれはあなた、あなたが原因ですよ。
自分のためです。