本題に入る前にみわぼーさんのコメントに質問がありましたので、それに答えておきます。
>先日、ダンナのトレッキングシューズが高尾山登山中に
>靴底がパックリ剥がれたのをみて、
>あとで自分のトレッキングシューズみたら、爪先が剥がれかかってて…。
>1999年購入したものだから、靴底の素材が劣化したのかも。
登山靴の寿命は、よく使う人で3年。
あまり使わない人で5年くらいです。
1999年購入のものであるならヤバイです。
しかし、ご主人のケースは、別の原因もありえます。登山知識がある人で、登山靴にこだわりのある人だと、靴底がパックリ剥がれることがあるんです。理由は、ソール(靴の裏)にビラム底を使っているからです。ビラム底は、登山靴としては最強のソールなのですが、こいつは貼り替えを前提にしてるのでメンテが悪かったり、長く使いすぎていると、ぱっくり剥がれることが多いんです。ベテラン登山家にとって靴は5年に一度、ソールを貼り替えるか、新しく買い換えるものなんですね。
あと、登山靴は、登山道具の中でも最も進化がはげしいものです。1999年と、2011年では、石器時代と現代とは言いませんが、室町時代と現代くらいの差があります。2000年にはいってから劇的に進化し、重さも歩きやすさも驚愕するほど変わっています。買い換えるべきでしょうね。
私が登山を始めた頃は、皮の重登山靴と軽登山靴しかありませんでした。で、靴は、一生モノと言われていて、そのつもりで買ったんですが、その一生モノは履いていません。いくつかはゴミ箱に捨ててしまいました。皮クリームも捨てました。理由は疲れるからです。もったいないと思いますが、楽しい登山を第一にするなら石器時代の靴は捨てて良いと思います。もう総皮の重登山靴を履いてるひとは、どの山でも見かけません。あの靴は、沢なんかでは滑るし、重いし、メンテが面倒なんで売店にも無くなってしまいました。今の登山靴は、進化が激しいので消耗品として使う人がおおくなっています。
では、「どんな靴を買うべきか?」にいきたいと思います。
ポイントは、8点くらいあります。
1.靴の裏(ソール)
2.靴の高さ(ハイカット)
3.つま先の堅さ
4.足との相性
5.爪の保護
6.通気性と防水性
7.衝撃吸収力
8.足の矯正力
これに加えて、もっと重要なことがあります。
9.どんな山に登るのか?
10.どの季節に登るのか?
11.どういうスタイルで登るのか?
12.誰と登るのか?
13.何日登るのか? 日帰りなのか?
という点です。
1.靴の裏(ソール)
靴の裏にギザギザの溝(ブロック)があるかと思いますが、これが大きく深いモノがよいです。深くないと砂地や土で滑るんです。スニーカーが滑りやすいのは、そのせいです。「私は、よく倒れます」という人の多くは、運動神経のせいではなく、靴のせいです。そういう人は、靴の裏をみてください。絶対に溝がすり減っています。もしくは、平地歩き用の靴で、もともと溝が浅い靴です。ちなみに溝は、いくらあっても細かいモノでは駄目です。大きくて深いモノでないと滑ります。笑っちゃうくらいに深くて大きいモノが良く、土踏まずも深いモノがいいですね。
ちなみに「私は都会を歩いていても滑ります」という人は、合い鍵屋さんに行って「滑らないソールに変えてください」と頼むとビラム底に貼り替えてくれて全く滑らなくなります。
2.靴の高さ(ハイカット)
靴には、ハイカットとローカットがあります。
くるぶしを靴の外に出すか、それを靴の中にいれるかの違いです。
実は、いまの流行はローカットです。
しかし、これに手をだすべきではありません。
怪我するからです。
良い靴は、人間を怪我から守ります。
ここは、文章でかくよりも、動画を見た方がわかりやすいので、ちょっとみてください。
動画での説明にもあるように、ハイカットの靴は、人間を怪我からも守ります。
そのさいに気をつけることは、芯(シャンク)のあるなしです。
芯(シャンク)の無い靴は、いわゆる偽物で、量販店で安く売っている中国製に多いです。
私はキャラバンのバッタモノをみたことがあります。
ただ、気をつけた方がよいのは、この動画で紹介している靴は、高級登山靴です。
初心者が、最初に買う靴は、もう少し廉価なものになるので、そのさいのポイントも解説しておきます。
3.つま先の堅さ
バッタモノの登山靴は、つま先が柔らかいです。そういう靴は買っては駄目です。登山靴に見える平地歩き用の靴だからです。登山で保護したいのは、つまさきの足の爪ですから、これの堅いモノでないとだめです。なぜつま先が大切かというと、下山の時につま先を岩にぶつけたりするからです。そのたびにもんどり打っていたら爪が死んでしまいます。だからつま先の防御が重要になります。
4.足との相性
これが一番重要です。
人間の足は千差万別です。
だから履いてみるまでわからない。
履いてみて、どこか痛かったら駄目。
痛くなる場所は、人によってばらばらです。
くるぶしが痛かったり、足の甲が痛かったり。
高級な靴になればなるほど痛い場所が多くなる。
理由は、靴が怪我を防止するために、堅めになっているからです。
だから登山用品店では、必ず試し履きを必ずさせてくれます。めんどうでしょうけれど最低10足くらい試すべきです。そのさい登山用ソックスを借ります。それを履いて、山に見立てたデコボコ斜面を歩かせてもらいます。登山ショップは登山学校でもありますから、納得いくまで質問しても絶対に嫌がられません。
5.爪の保護
これが通勤用の革靴なら自分の靴幅に合わせて買えば良いだけです。
ところが、登山靴の場合は、そうはいかない。
幅広だと、下山時に爪が靴先に当たって痛い。
平地だと、そういうことはないのに。
となると、つま先に1センチ余裕をもたせて、少しだけ幅の狭い靴を選ぶことになる。そして、足の爪がが靴先にあたらないように紐をしっかり結びます。足首できちんと結んでいれば、下山時に、つま先の爪が靴の先に当たることはない。
しかし、この方法にも難点がある。
それは体の柔軟性と関係がある。
靴紐の結び方によっては、この方法が使えないケースがある。
文章では説明しにくいので、下の動画をみてください。
あと、靴によっては、足踏まずのところをあげて、爪が靴先にあたらないように工夫しているものもある。メーカーによっては、いろんな工夫がある。今日は忙しいので、続きは、また今度。
つづく。
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>靴底がパックリ剥がれたのをみて、
ポリウレタンのソールはたとえ使用せずとも経年劣化して加水分解し、ある日パックリと剥がれるようなことがあるみたいですね。山の中で剥がれたりするとそれこそ命に関わります。
靴を買い換えようかなと思ったときにそれを知って嫌になり、未だに旧石器時代の革の登山靴を、何度かソールを張り替えて使っています。確かに5年ものの消耗品と考えれば良いのかもしれませんが抵抗感があって...
m(__)m
ダンナにも記事を読むよう伝えます。
引き続きの靴選びのポイント解説、楽しみにしています。