今回は、登山用のザックの話です。
今回は、初心者というより、ちょっとベテラン向けの話をします。
ザックには、2つの方向性があります。
なるべく軽く作られたザックと、
なるべく便利に作られたザック。
ポケットが多かったり、2気室だったりすると重くなります。
だけど便利なんです。
逆に何もついてないと軽くなります。
けれど不便なんです。
長期縦走や探検するときは、軽いものがいいです。
しかし、楽しい登山をするなら便利な方が良いです。
というわけで、歳をとってからの私は便利派です。
しかし、便利派といっても軽いことにこしたことはない。
そこで、ザックを買ったら、それを改良する人もいる。
ピッケルホルダやディジーチェーンを取り外す人もいる。
余計なベルト部分を短く切断する人もいる。
あと、最近の傾向として、ザックの底部分に、ザックカバーが縫い込んであるケースがありますね。これだと、ザックカバーを買わなくて良いので、結果として値段が安くなるし、重量軽減にもなる。そのうえ強風がきてもザックカバーがとばされることはないですね。なによりザックカバーを忘れなくなった。
でも、一番素晴らしいのは、同じ50リットルザックであっても、ザックカバーの分の容積がいらなくなっていることです。つまり、実質、55リットルザックになっているということです。
あと、ポケットの多いザックは、なんといっても便利です。
私のザックは、両サイドのポケットにペットボトルが入ります。
だから喉が渇いたらすぐに水分が補給できます。
ウエストベルトには、デジカメの入るポケットがあります。シャッターチャンスを逃しません。もちろん小銭も入りますから、山小屋で何か買うときに、ザックの中から財布を取り出すために、ごそごそしなくていい。とても便利です。でも、何より便利なのが、コンパスや高度計が入ることですね。
よく、ザックにコンパス・高度計・マグカップ・カラビナなんかをピッケルホルダやディジーチェーンをぶらさげている人がいますけど、あれは危ないですね。何らかの事件で落ちたらどうするんですかね? マグカップにしても不潔ですよ。昔ならともかく、今は、いろんな寄生虫が進出しているので、あまり褒められたことではないです。だからザックにぶら下げるというのは、あまり感心しません。そもそもマグカップが必要なのかどうかも疑問です。自炊しないのなら必要ない。歯磨きはペットボトルで用が足ります。
あと、フラップ。ファスナーでとめないポケットのことですが、これは便利なフラップと、じゃまなフラップがありますね。フラップは、どんなザックにも必ずついているものですが、体温調節で服を一時的に脱いで差し込む時に使うと便利です。稜線で強風にあおられたらすぐに着られるからです。でも、まあ、普通のハイキングならフラップは、使いませんね。
あと、ザックの両サイドにメッシュのポケットがありますね。あれは、地図を入れるのに便利です。地図なら落ちても危険はないし、もっとも地図を落としては、命に関わるので落ちない工夫をすべきでしょうけど。ペットボトルは、どうかなあ? ハイキングならいいけれど、渋滞した★★★クラスの岩場だと危険な気がする。
さて、最新式のザックの話です。
実は、私のお気に入りのザックは、背中がメッシュになっています。しかも、かなりフレームが湾曲していて、拳が1つ入るくらいに空間が空いています。そのために非常に通気性に優れていて、夏でも背中の蒸れません。背中とザックの間に風が入るからです。メーカーは、ドイターのフューチュラ32です。たった32リットルのザックです。実は、このたった32リットルザックで、一昨年は、上高地−涸沢−北穂高−大キレット−槍ヶ岳−涸沢という2泊3日の縦走コースを歩いています。
http://www.iwatani-primus.co.jp/products/deuter/005.html
まあ、ポケットに4リットルはいるので、実質的には36リットルなのですが、劇的な登山ギアの進化で、この小ささで万が一のビバークにも充分な装備を背負えるようになっています。理由は、最近の雨具がかさばらなくなっていること。ユニクロのダウンが、ものすごく小さくなっていて、しかも防寒性に優れていること。エアマットも350グラムと軽く小さくなっており、50センチのビバーク用の座布団タイプなら、たったの100グラムしかなく驚くほど小さくなっている。ツェルトにしても、最新のものは200グラムしかないのに、撥水性能がとても良くなっている。おまけにアミノバイタルプロを利用すれば、携行食糧が信じられないくらいに少なくてすむ。
つまり、山小屋を利用する限り、この32リットルザックで何の不自由もしないんですよね。私は、このザックに、3日分の荷物に加えて、ペットボトルを6本。アミノバイタルプロのゼリータイプを18個に、スニッカーズやチョコレートを嫁さんの分を含めて4日分。これにブドウ糖やビタミン剤を加えて、デジカメを2台もって登っています。もちろん軽いダウンなんかは、嫁さんに持たせています。
これだけ携行物資が小さくなると、コースタイムが短くなります。
若い頃よりも早く山小屋に到着してしまう。
体力は低下しているのにどうしてだろう?
と思うんですが、若い頃は、それだけ重いものを担いでいた。北アルプス縦走ならロウアルパインの100リットルザックを使っていたし、「ザ・合宿」という120リットルザックを使うことさえありました。防寒着もフリースだったからかさばったし、風に弱いフリースの弱点を補うために雨具も使わざるをえなかった。それがめんどくさいので、ウインドウストッパーつきGORE-TEXフリース3万円で買ったんですが、これがまたかさばったんですよね。カメラも、今のような小さくて高性能なデジカメが無かったので、EOS10といった、重たくてかさばる一眼レフに、これまた重たいフィルムを10本くらい持って行ったけれど、今じゃ、小さなデジカメに、小さな32ギガのsdカードで、何千枚も撮れるし、バッテリーも小さくて長持ちします。昔からしたら夢のような時代になりました。
つづく。
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ラベル:登山用のザックの話
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たった10年でものすごい変化ですね。
見た目はそんなに変わらないようでいても、
今のほうが数段技術がアップしてるってことは、
山に行く人が増えたってことでしょうか。
お金持ちの人たちが(笑)
deuter Spectro ac28 SL ってMGのと似通ったものです。
ポケットやスペースの使い勝手は慣れないせいか気に入らないのですが、
背中の通気性と背負い心地はばっちりです。
エバさん
>お金持ちの人たちが(笑)
ザックの値段は、20年前と変わってないと思うんですが、人々の給料は、7割くらいになっちゃってますからね。
>deuter Spectro ac28 SL
私のザックより軽量化されている(つまりポケットが少ない)やつですね。私のが、重量:1600g。でも「deuter Spectro ac28 SL」は、重量:1060gなので、メッシュタイプのザックとしては、かなり軽めでありながら、ベルトがしっかりしている優れものですね。
ただし、ザックも、靴と同じで性能より相性が重要ですからね。特に女性の場合は、男より臀部が大きいので、フィットするザック選びが難しいんですよね。失敗したら腰のあたりが、当たって擦れる場合がある。女性の場合は、どうしても相性が優先になってしまう。
知床のおりに、選んでいただいたザックは未だ健在です!
しかし、縦走はおろか、長期旅行にも使わなくなってしまったため久しく使っておりません。
日帰り登山しかしないので、ショップに行っても携行品はあまり見ないので、かなりの進化には驚きです
ザックは、20年以上してたらヤバイですね。
経年変化・加水分解の他に、
虫による侵食がありますからね。
今は、いいザックがでてきました。
日帰りなら30リットル以下のポケットの多いものでじゅうぶんですが、
進化が早すぎて、どれを買うか迷ってしまいますね。
昔だと、あまり選択肢が無かったんですが。
山小屋泊やテント泊はしっかりご無沙汰となり、長期旅行には別のものを買わされましたので、70リットルザックは眠ったままです
日帰り用はそろそろ、買い替えかな?