実は私、司馬遼太郎のファンでして、『坂の上の雲』は高校時代の愛読書でした。で、NHKで『坂の上の雲』をやっていたんで見たんですが、内容が酷すぎると感じたので、数年ぶりに『坂の上の雲』を読み返してみました。で、気がついてしまった。司馬遼太郎は、この小説を書いてはいけなかったのではないかと。
実は、司馬遼太郎は、生きている間は絶対に『坂の上の雲』のテレビ化・映画化を許さなかったんですね。当時は、なぜだろう?と不思議に思っていたんですが、今なら分かります。司馬遼太郎の軍事解説の幾つかに、決定的な誤りがあるんです。それも、一つや二つではない。もう無数にある。どうして、こんなにあるのだろう?と不思議に思って、今度は、図書館に行って司馬遼太郎全集の月報をみてみて、合点がいきました。
司馬遼太郎は、『坂の上の雲』を連載しているうちに、無数の誤謬があった。それを少しづつ改訂しながら書いていたんです。で、誤りがあったら司馬遼太郎全集の月報なんかで訂正している。どうして無数の誤謬があったかというと、取材対象である当時の軍人たちから『嘘と勘違い』を聞かされていたからだと思われます。
例えば、東郷ターンは、ある日とつぜんに決断したのではなく、何度も何度も実践している。それが一番うまくいったのが、日本海海戦だというだけのことで、あとは、何度も東郷ターンを失敗している。
乃木軍の203高地攻略の件も、司馬遼太郎は、乃木軍を無能呼ばわりをしていますが、実は、あの戦いの失敗は、大本営の行き過ぎた指導が原因であることは、今では定説になっている。むしろ乃木君は、無駄な死人をださないように努力している。それに旅順のロシア海軍は、203高地からの砲撃の前に、別の砲台からの射撃で撃沈されているという説が、現代では有力になってきている。
これは、司馬遼太郎が悪いのではなく、司馬遼太郎が取材した時代では、あのレベルまで調べるのが限界だったということだと思います。だから司馬遼太郎に無数の誤謬があったのは、仕方がない。問題は、NHKのドラマで、その無数の誤謬をそのとうり放送する必要があったのか? むしろ、そのあたりは、ふれなくて、もっと人間ドラマに絞ってもよかったのではないかと思うんですよね。
取材ミスは、どうしてもおきる。しかし、小説であるかぎり、ドラマである限り、フィクションとして許される。だから、もっとドラマ重視でもよかったのではないかと。もっと秋山兄弟に絞ってドラマ展開してもよかったのではないか?と。
逆に言うと、歴史音痴の人が、これをみて誤解しなければいいのだけれど。
つづく。
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最近は、三国史の孔明は天才軍師ではなかったことや、幕末の幕府は弱腰外交をしてなかったことなど通説が覆えっています!
ほとんどが、時の政権が自分の都合で作ってます。
坂東旅人 水戸義烈さん
司馬遼太郎さんの筆法は、研究者としての文章ではなく、新聞記者としての文章ですね。逆に言うと、取材ソースが、嘘を言っていたら結論が違ってくる。そこが限界でもあり、逆に素晴らしいところでもあるのではないかと。だから「国盗り物語」なんかだと非常に面白いわけで。
確かに「国盗り物語」は面白かったし、「城塞」や「関ヶ原」も面白かった(^O^)
大河ドラマ「国盗り物語」の斉藤道三役は平幹だったから、面白かったでしょうね
最高によかったです。過去ベスト3です。
特に音楽が最高だった。
でも、一番好きだったのは「花神」です。
毎週、わくわくして見ていました。
『花神』『世に棲む日日』『十一番目の志士』『峠』『酔って候』『燃えよ剣』の合作で、シナリオが最高に面白かった。おまけにキャストが最強布陣でした。
「花神」は原作は読んでいますが、まだ小学生でしたから見ませんでした
中村梅之助ですから、適役だったでしょうね〜
最高の村田蔵六でした。
おまけに吉田松蔭の篠田三郎(ウルトラマンタロウの人)。
世界一、さわやかな役者を選ぶとは憎い!
さらに高杉晋作の中村雅俊。ぴったり。
そして、妻のお雅が、岡江久美子!
おうのが、秋吉久美子
久坂玄瑞にいたっては、志垣太郎ですよ!泣かせます。
伊藤俊輔の尾藤イサオ
井上聞多の東野英心
(キャラがぴったのです! 井上聞多は、あばれはっちゃの父ちゃんそのものですから)
白石正一郎が、瑳川哲朗。
(大江戸捜査網ファンなら泣いて喜びますね!)
河井継之助は、高橋英樹です!
なんと豪華なんだ!
残念ながら、「花神」は地元のレンタル店では総集編しかなく、やはり完全版はありませんやはり完全版じゃないと…
最近は、「風と雲と虹と」と「黄金の日々」を見て、現在は「真田大平記」を見ています
最近は、大河ドラマも2世の時代になりましたね
坂東旅人 水戸義烈さん
>「革命を成すには思想家の後に技術者が要る」というようなオープニングのアナウンスと
まさに、ここがNHKのシナリオの要諦です。
正確に言えば、
1.まず思想家が現れる。その思想は世に入れられず、思想家は壮絶な死をむかえる。
2.次に活動家が現れる。活動家は、革命をおこし革命に倒れる。
3.最後に技術者が現れる。村田蔵六がこれにあたる。
つまり、
1.『世に棲む日日(前編)』・・・吉田松陰
2.『世に棲む日日(後編)』・・・高杉晋作
3.『花神』・・・村田蔵六
ということになります。
花神だけでなく、世に棲む日日も是非に読んでみてください。
この2つは、ワンセットです。
ちなみに、面白いのは、『花神』のほうなので、花神から読む方がよいかと。
司馬遼太郎は、吉田松陰が嫌いだったらしく、最初は筆が進まなかったようです。しかし、調査をすすめるうちに、吉田松陰にぞっこんになっていますね。
ここで、種明かしをすると、徳富蘇峰の『吉田松陰』が、『世に棲む日日(前編)』のネタ本になっていますね。彼が、じっくり吉田松陰を調べたという形跡はみられません。逆に村田蔵六に対しては、じっくり調査していますね。