11時に山小屋に到着し、チェックインをすませたあとにラーメンを注文した。
妙に美味しかったのは、体内に塩分が不足しているためである。
だから私は、山小屋に着いたらラーメンを注文する。
そして、塩分を補給しつつ、自分の体調を知るのだ。
もしラーメンが美味しすぎたら、危険信号。
塩分が不足している可能性がある。
登山に、塩分不足は、非常に危険であるから、ラーメンはかかせない。
また、異常に寒気を感じていたらカロリー不足である。特に糖分が不足している可能性が高い。空気が少ないところで、糖分が不足していたら脳が危険なので、チョコレートをほおばる。すると体が温かくなる。着込むよりも、よほど体温があがってくる。
で、おちついたら館内を散策し、トイレの数・非常口を確認する。
そのさい、できるだけ山小屋のスタッフに愛想良く挨拶をする。
そして仲良くなって、情報を聞き出すのだ。
もちろん、お土産も持って行った。
ちなみに、ここの山小屋のスタッフは、とても愛想が良い。
どうしてかな?
と思っていたら、混み合ってくると、御客さんの中からアルバイトを急募して、スタッフの数を揃えてしのぐらしい。全く、すごい山小屋であるが、このへんはユースホステルも似たようなものなので、人のことはいえない。山小屋も、ユースホステルと同じで、スタッフと御客さんの垣根が低いのだ。それが証拠に連泊すると二千円も安くなる。
「さっき滑落者がいましたけれど、最近、こういう事故が多いんですか?」
「多いみたいですね、さっきの場合は、山小屋のそばだったから、大勢の人が、すぐに助けに行けましたけれど、人気の少ないところだと命取りですね」
「私の友人は、笛を吹いて救援をよんで、死なずにすみました」
「それは、素晴らしい。最近は、救難用の笛をもってる人も少なくなりましたからね」
「まあ、今は携帯がありますからね」
「それが、その携帯が問題なんですよ」
「え?」
「ソフトバンクを持って登山する人が増えているんです」
「えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ?」
北アルプスでソフトバンクは通じない。
いや、全国、どの山でも通じないのではないのではないか?
登山家は、ドコモの一択しかない。まあ、AUという手も無いことも無いが、たいていの山小屋では、アンテナは1本しかたたない。ドコモは、3本たつ。ソフトバンクは壊滅的に通じない。だからドコモの一択なのだ。
どんなにドコモに不満があったとしても、ドコモを選択するしか無いのが現状なのである。これは、少しでも山をかじっている人間の常識である。
最近は、便利な登山雑誌が発行されるようになり、全国の山小屋の携帯電波状況を掲載されるようになってきたが、それを読んでも、ドコモが圧倒的に強い。
まれにAUが強いところも無くはないが、ソフトバンクが強いところはゼロ。いや、ソフトバンクの場合は、電波が届いてるのさえ奇跡に近い。だから、ソフトバンクの携帯を持って登山しても意味は無いのである。
「トイレをみたんですが、大便器は3つしかないですよね。今日は、三百人くらい泊まっているみたいですが、混み合いませんか?」
「混みますね。でも、混むときは、こういう裏技があります」
「え?」
「テント宿泊用有料トイレを使うんです。あとこには便器が5つあるうえに、これだけ寒いとテントを張る人は少ないですから、あそこはガラガラです。おまけに宿泊者たちは、館内のトイレを使います。外に出てまでトイレに行く人は滅多にいません」
「なーるほど!」
山小屋スタッフさんには、いつも有意義な情報をいただけるので、彼らとの会話は、本当に楽しい。
夕食は5時からだった。
御飯は3杯。
味噌汁は2杯おかわりした。
食堂で驚いたことは、一人旅が少ないことである。
みんな団体様ばかりである。
ガイド会社のツアーも目立っている。
山ガールたちも多い。
しかし、ホステラーのはしくれである私は、同じテーブルのみなさんと、おおいに会話を盛り上げて、さっさと去って行った。みんなを盛り上げておけば、みんなは楽しく会話しながら、ゆっくり御飯を食べる。その隙に私は、5時半の日没の写真を撮りに一番良いポイントを確保できるのだ。
「あれ? もう食べちゃったの?」
「まだ十分くらいしかたってないんでないの?」
「早飯なんですよ」
「早飯って、てんこ盛り3杯、おかわりして、おひつの交換までしていたでしょ!」
「あれ? そうだっけ? とにかく失礼しますね」
とにかく私は、夕日を撮りたいのである。
みんなは、酒でもりあがってくれ!
ちなみに、この日は、素晴らしい日没であった。
つづく。
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さすが宿主、段取りがいいですね(^_^)v
対人力も器用で感服しております。
一昔前の印象かもしれませんが、山男はどこかとっつきにくい面を感じたのですが、宿主さんは実にバランスがとれていて、臨機応変に盛り上げ上手でなによりです!
今回はちゃっかり夕陽独り占めの目的があったんですね(^_^)v
そーゆーのも面白いです。
ほとんど食べないから、自分では買わなくなってしまいました。
携帯電話については、「まず電話」という原点からするとdocomoの携帯を
持っている私は正しいことになるのかな?
マサさん
山小屋にも、ユースホステルのように御茶会みたいなものがあれば、みんな和気あいあいになりやすいと思いますね。でも、基本的に山男たちは、フレンドリーです。ちょっとシャイなだけ。
あと携帯ですが、低山ならAUでも充分です。むしろAUの方が強いケースもある。まあ、どっちもどっちかな? 北アルプスクラスの高山だとドコモの一択になるでしょうね。地方もドコモが強い。