2006年09月09日

ああ、幻の時代劇!

ああ、幻の時代劇!

 それにしても時代劇という奴は、どうして昔の番組の方が面白いのでしょうかね? 昔は

『子連れ狼』
『木枯し紋次郎』
『三匹の侍』
『唖侍、鬼一法眼』


と言った時代劇の傑作が次々と生れていました。紙面の関係で、すべてを紹介できないのが残念ですが、以上の四作品は、日本テレビ時代劇の最高傑作です。

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 特に『唖侍、鬼一法眼』は絶品で、唖(おし)つまり会話のできないサムライが、旅をしつつ事件に巻き込まれていくという作品でした。

 何がすごいかって、
 主人公が言葉を話せないことくらい、
 すごい時代劇はありません。

 主人公にセリフのないテレビドラマなんて聞いたことがありません。

 かって『名もなく貧しく美しく』や『星の金貨』といった聾唖者のドラマがありましたが、あれには手話という立派なセリフがありましたし、字幕スーパーも流れました。けれど『鬼一法眼』は手話はできないから手話による会話ができないし、字幕スーパーも流れません。

 そのうえ、お涙ちょうだいという視点がなく、『星の金貨』のように同情をさそって視聴率をかせごうという所がまるでないのです。悪人を懲らしめる身体障害者。同情をさそわない身体障害者の物語が『鬼一法眼』という時代劇のコンセプトであり、それに関しては『座頭一』なんかよりも徹底していました。

 昔、ビートたけしが聾唖者を主人公にした映画を撮って失敗したことがありましたが、言葉を話せない人を主人公にすることは、目の見えない人を主人公にするより、よほど難しいものです。座頭一を作るより、鬼一法眼を作る方がよほど難しいんですね。

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 そういえば『鬼一法眼』の主演は、若山富三郎でした。
 若山富三郎の弟が勝新太郎。
 そして勝新太郎といえば『座頭一』です。

 考えてみれば、若山富三郎と勝新太郎は、兄弟でやたらと強い障害者の役をやっていたのですね。不思議といえば不思議な兄弟です。

 ところで、残念なことに『鬼一法眼』は、放送禁止用語が大量にでてくる作品なので、今では絶対に放送できない作品となっています。まさに幻の作品で、ウルトラセブンの13話と同様、二度と見ることができないのです。ああ、もう一度『鬼一法眼』を見たい!


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posted by マネージャー at 01:40| 群馬 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | テレビ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 初めて投稿いたします。「唖侍」の2,3年前に原作本は読みました。当時の放映時間帯が遅いこともあってドラマの方は数えるくらいしか見たことがありません。ただ、主人公が口が利けないと言うこともあってセリフは独り言がやたら多いという印象が強かったのを覚えています。雑誌やネットで「唖侍」の紹介記事に、セリフに頼らず、演技や行動で主人公の身の置かれている状況や心情を語るという映像の原点を若山氏が原作本から見たからこそ、この作品はできたのだと書かれていました。
 僕が若山富三郎氏を知ったのは、千葉真一氏の出演された「影の軍団」に敵役としてゲスト出演された時です。その時に見せた見事な立ち回りに魅せられました。後に、氏の立ち回りは日本一だと言われていることを知りましたが、安定した下半身と腰の回転を生かした殺陣を見てさもありなんと納得しました。ちなみに映画「激突」において、堀田正盛襲撃の場面で見せた千葉真一氏の立ち回りは若山氏のそれを彷彿とさせるような印象が垣間見られました。
 この「唖侍」の唖もですが、聾唖と二つ以上をひとくくりにして言うと、差別表現にならないのに、聾、唖、と身体の障害を一つずつで言うと差別になるのでしょうか。ずっと疑問に思ってます。えも知れぬ事を結びの言葉にしてしまい申し訳ありません。機会がありましたら、また立ち寄らせていただきます。
 
Posted by 小埜山博士 at 2009年02月05日 03:36
>僕が若山富三郎氏を知ったのは、

私は子連れ狼(映画)でした。
彼の殺陣は最高でした。
日本一というのは本当だと思います。

Posted by マネージャー at 2009年02月05日 16:34
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