やっと生後2ヶ月となった。
今回、犬を飼ってみて、過去の自分と全く違う視点で犬に対処している自分に気がついた。過去4回は、犬をペットとしてみていた。しかし、今回は違うのだ。何十年も自然ガイドをしてきたために、犬をペットとしてみれなくなっている自分がいる。どうしてもペットでは無く、動物としてみてしまう。
まずペットショップにいって犬を抱かせてもらった時、子犬は、私の手を軽く噛んだ。これに私は大喜び。まさに犬科動物の反応だったからである。オオカミやリカオンの子供は、この行動によって順位付けをおこなう。なので、私は小指で軽く反撃してみた。すると子犬は、私の口元を嘗めてきた。これもオオカミやリカオンの子供によくある行動で、オオカミやリカオン子供が母親の口元を嘗めると、母親は、胃袋の肉を吐き戻して、子犬に食べさせるのである。つまり子犬たちは、「餌をくれ」と行っているのである。
子犬を買い取って連れて帰ってからが面白かった。観察してみると非常にオオカミに似ているのだ。最初、子犬を大きめの箱にいれてみたが、どうも落ち着かない。で、小さめの箱に入れ、中を暗くしたら落ち着いた。もっと小さくすると、さらに落ち着いた。このあたりもオオカミに似ている。オオカミは、小さな巣穴を好むのだ。まあ、それはトラもヒョウも山猫も同じであるが。
もちろん小屋から多少は出られるように半畳ほどの空間をフェンスでかこってあるが、あまり外にはでてこない。まだ用心している。このへんもオオカミに似ている。しかし、私たちに馴れてくると、さかんに甘えてくるようになる。そして、甘えさせてやると、上をとりたがるようになる。このへんも、まさにオオカミの生態に似ている。
オオカミの社会には、上下関係しかない。横の関係が無いのだ。だから、かならず順位付けしてくる。それは犬も一緒なのだろう。甘やかすとボス気どりになる。子犬のくせにボスのように振る舞うから笑える。例えば、私の手に顎をおいたりする。一見するとかわいらしいのだが、「おまえを支配下においた」という意味をもっている。なので、子犬が、そういう態度をとった瞬間、私はひっくりかえして、腹をナデナデしてあげる。この行為は、犬科の動物にとって降伏の意味をもっている。つまり私は、相手を降伏させたわけだが、これをやると、とてもおとなしくなる。こうして、私は子犬を支配下においたわけだが、うちの家内は、それをしないために嘗められている。子犬に反抗されている。しかし、私がそばを通過すると、子犬は、とてもおとなしくなる。
ちなみに嫁さんは、はじめて犬を飼うために、犬の扱いがよくわかってない。そのために
「この犬、アイコンタクトすねんだよ。かわいいね」
と感動している。どうも、犬が必ずアイコンタクトすることを知らなかったらしい。犬やオオカミは、上下関係で生きているので、アイコンタクト無しには生きていけない。下っ端の犬は、常にボス犬の目をみている。
「あ、あんまり子犬をみつめないように!」
「どうして?」
「見つめられると、子犬が、自分がボスだと勘違いするから」
「え?」
「アイコンタクトは、下っ端の役目なんだよ。だから飼い主は、犬の目を見てはダメ。見ると犬が勘違いするから。無視して、できるだけ無視して、そして毅然とする・・・・」
しかし、うちの嫁さんに、それは難しい注文だったようで、いつも子犬に癒されている。つい1週間前まで猫派で、犬を飼うことに反対していた嫁さんは、どこにいってしまったのだろうか? そういえば、嫁さんは、私を小馬鹿にするように、御客さんに、こう言っていた。
「マネージャーは、犬に子守をさせようとしているんだよ。信じられる?」
しかし最近、嫁さんが犬に心をひらいてきたので、牧羊犬が大勢のヤンチャな幼児を、囲い込みながらスクールバスに乗せる動画を見せたら、ようやく子守をしたり、幼稚園で幼児をまとめる仕事で活躍している犬の存在を信じるようになってきた。なにごとも体験しないと理解できないことがあるものである。
ちなみに子犬の名前は、コロである。
五代目のコロを襲名した。
1年後には、私と一緒に冬山に登っているはずである。
つづく。
↓ブログ更新を読みたい方は投票を
人気blogランキング
【関連する記事】
りゅうさん
もし子犬にアレルギーが無いのであれば、社会化の訓練のために、抱いてあげてください。子犬は、3ヶ月から4ヶ月の間に、大勢の人にさわられて、人間は危害をもたらせないという事を教える必要があります。でないと、御客さんを攻撃する成犬になるので、いまのうちに大勢の人間に抱いてもらうようにしています。