さて、ここで私は恐怖のお好み焼事件を語らなければなりません。そうです。あれは10年前の夏のことでした。大阪のとあるお好み焼屋さんで、お好み焼を焼いていると
「なんで潰すんじゃ!」
と見ず知らずのオッサンがいいがかりをつけてきました。
「あんちゃん、東京もんか?」
「え? ええ、まあ・・・・」
どういうわけか大阪の人は、共通語を話す人を『東京もん』と決めつけますが、出身が新潟であろうと、住所が埼玉だろうと、むげに否定しないのが東日本人です。それをいいことに大阪のオッサンは、どんどん突っ込んできました。
「やっぱり東京もんか、そうやろうな、そうやろうな、ぜんぜんお好み焼の食べ方知らんもんな」
「はあ?」
「お好み焼というものはな、ペタペタと潰してはいかんのじゃ!」
「だって、そのほうが面積が大きくなって量が増えたような気がして・・・・」
「ちゃうちゃう、そんなもんお好み焼とはちゃう。お好み焼は分厚く焼くのが基本なんじゃ。ああ、そんなヘラの使い方しよって、ほれ、おっちゃんに貸してみい!」
こうして見知らぬオッサンは、たのみもしないのに私のお好み焼を勝手に調理を始めました。そして、ヘラの使い方、油の使い方、ソースのかけ方など長々と講釈をおこない、そのうえ
「うまいか? うまいだろう?」
と脅迫するような目つきで迫ってきました。もちろん「不味い」とは口が裂けても言えませんから「美味しいです」と答えると、
「そうだろう、そうだろう」
と会心の笑みをうかべ、
「おねえさん、ビール、このテーブルに持って来てや、金は、わしのレシートにつけといてな」
とビールをおごってくれました。
そしてタバコをプカーとうまそうにふかして言うのです。
「ま、お好み焼なんて、どんな食べ方してもいいんだけどな」
どんな食べ方してもいいなら、
人の食べ方にケチつけるなよ〜と思いましたが、
ビールをおごってくれているので、
私は大人しく頭をさげまくりました。
大阪のお好み焼屋、おそるべし!
大阪のオッサン、おそるべし!
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続く