そして、家に赤ちゃんがやってきたのは、生後45日目です。
両方とも生後45日目にやってきたのですが、
これは偶然ではありません。狙ってました。
子犬と人間の赤ちゃんを比較できるからです。
ではどちらの方が頭が良かったかというと、圧倒的に犬の方です。生後45日目の子犬は、10回ぐらいの命令で、こちらの言う事を理解できましたが、人間の赤ちゃんは、理解するどころの話ではなく、身動きひとつもできません。
では人間よりも犬のほうは圧倒的に知能指数が高いかというと、そういうわけではありません。あと何年かたてば、人間の赤ちゃんは、犬よりもはるかに知能指数が高くなります。
ニホンザルとチンパンジーの知能指数を比べる実験がありました。その実験では、ニホンザルの方がチンパンジーよりも早く物事を理解できるようになるんですね。けれど年齢を重ねていくうちに途中からチンパンジーの方が、ニホンザルを追い越してしまいます。
これはどういう事かというと、ニホンザルは早く大人になるために、理解力も早いわけですが、大人になった途端に学習能力がどんどん退化していって、チンパンジーに抜かれてしまうわけです。チンパンジーのほうは、大人になるまで時間がかかるのですが、逆に言うと学習する期間が長いために、ニホンザルよりもいろいろなことを理解できるようになります。
これは人間の赤ちゃんと、犬の子供にも当てはまることのような気がします。犬の子供は、成長が早く、早く大人になりますが、大人になった時点で成長が止まってしまいますので、子供時代の長い人間の子供に後から追い抜かれたしまいます。要するに子犬は成長が早く、人間は成長遅いのですね。
長い前置きはここまでです。
ここからが本題です。
実は、動物の知能と、成長までの期間の間には相関関係があると言われています。
具体的に言うと、犬とオオカミはどちらが、頭が良いのでしょうか?
犬でしょうか? 狼でしょうか?
実は狼よりも犬の方が、大人になるのが遅いのです。
という事は、犬の方が学習能力が高いということになります。
では、大人になるということは、どういうことなのでしょうか?
狼は、どの時点で大人になるのでしょうか?
犬はどの時点で大人になるのでしょうか?
これは非常に難しい問題ですが、好奇心を失った段階で大人になったとみなされる説があります。というのも子供のような好奇心を失うと学習をしなくなってくるからです。その定義が本当だとすると、狼は約1年ぐらいで好奇心を失い、警戒心が出てきます。犬に関して言うと、種類によって大きく差がでてきますが、日本犬の場合は、約3年ぐらいで急激に好奇心をしない警戒心がでてきます。
逆に言うと3年ぐらいまでは、いろんな犬達と一緒に遊びまわります。ところが3年以降になると、急に遊ばなくなり、他の犬に対して警戒心がでてきます。そして、それ以降になると、新しい命令語を覚えなくなります。これを単純比較すると、犬は狼よりも3倍ぐらい長い期間、子供のままなんですよね。
これはどういう事かといいますと、狼のような野生動物は、いつまでも好奇心たっぷりだと、他の天敵に殺されてしまうんですよね。野生動物は、早く大人になって、警戒心を持たないと、すぐに殺されてしまいます。
特にライオンやチーターなどは、好奇心のある子供ほど早く殺されてしまいます。逆に警戒心のある子供は、生存の確率が高くなってきます。だから、自然淘汰の結果、ライオンも狼もあらゆる動物たちも、早くに大人になろうとします。早い段階で警戒心のある子供が、子孫を残す可能性が高いからです。
ところがです、人間の子供は、そうではないんですね。
逆なんです。
人間の子供は、何年間も好奇心を残したまま成長できるんです。
どうして人間だけは、そのような生態を持つようになったか?
非常に不思議なわけですが、
産婦人科医は、 2足歩行の結果ではないかと言う仮説を立てています。
人類が4足歩行から2足歩行に進化したために、出産が難産になってしまったそうです。例えばゴリラなんかは、すごい安産なんですよね。安産だからひとりで産んでひとりで育てることが可能なんです。これは4足歩行だからです。ところが2足歩行に進化したために、骨盤の形が変わってしまって難産になってしまった。そうすると1人では産めないわけです。その結果どうなったかというと、 助産婦さんのようなものが必要になってしまったわけです。いろんな人達の助けがないと子孫を残せないわけです。
そうなるとどういうことが起きるかというと、人間の赤ちゃんは、いろんな人から助けてもらいやすいような表情とかしぐさを持った赤ちゃんが生存する確率が高くなってくる。そして進化の結果、自然淘汰が起きて、できるだけ長い期間、子供であっても大丈夫のようになってしまう。生まれたばかりの赤ちゃんの視力が35センチのところでピントが合って、ダッコしてくれる大人を魅了するような形態の進化が起きる。これがオオカミだと、あっという間に死んでしまいますよ。でも、人間だから、こんな視力の方が良い。その結果、長い期間、好奇心の強い子供が生存する確率が長くなってくるのです。
人類の進化というのは、 2足歩行によって、生存に非常に不利な状態がおきた。つまり難産となってしまった。そのために、社会というものを必要になってしまった。そして好奇心のある子供たちでも生存する可能性が高くなった。そこから人類の文明というものが発生した可能性が高いのです。
じゃあ犬の場合はどうかというと、これもさらに進化する可能性の高い生き物なんですね。犬も好奇心のある子供であっても、自然淘汰によって死んでしまう可能性がありません。それどころか好奇心の高いワンちゃんは、結果として人間に好まれるために、もっと生存確率が高くなってしまう。頭が良ければ、どんどん繁殖されてしまう。そのために、犬はどんどん進化して行く可能性が高いのですね。
それでは犬は、どうして人間レベルに進化してないかと言うと、犬が誕生したのは今から1万年前なんです。比較的最近生まれているのです。だから遺伝子的に狼とほとんど差がない。狼と犬は結婚して繁殖することができる。そのぐらい近い。それに対して人類は、チンパンジーから分かれて500万年も経っている。年季が違うわけです。
さて、人類の文明についてです。
人類の文明が、爆発的に進化した時期があります。どうしてこのような時代が生まれたか?ある仮説があります。子どもの時代に好奇心を殺さない社会は、文明が高度に進化すると言うのです。それが本当かどうかは、わかりませんが、ヨーロッパに面白い例があります。ドイツです。
産業革命はイギリスでおきました。しかし、産業革命以降のイギリスではものすごい発明はあまり生まれていません。近代の新しい発見や発明の大半は、ドイツで生まれているのです。イギリスとドイツにはどのような差があったかというと、イギリスになくてドイツにだけあるものがあったのですね。それは青年というものです。
産業革命時代のイギリスでは、子供の次は大人になっています。
これは狼と非常に似た生態です。
好奇心を保てる期間が非常に短かったわけです。
ところがドイツでは、子供の次は青年になっています。青年のつぎが大人です。ドイツの習慣として青年は修行のために旅に出ました。そして各地で大人たちから技術を学び、お前は大人だよと言う証明をもらうと、大人になれたわけです。これは狼というよりも、犬ですね。子供の期間が長い。
それに対してイギリスでは、子供が終わるとすぐに大人になりました。そしてどうなったかというと、炭鉱などで働いたわけです。もちろんドイツと違って修行などしていませんから安い賃金で働かされます。奴隷というものがいなかったイギリスでは、子供たちが奴隷のようにコキ使われていました。そのために科学技術は、 19世紀ごろにはドイツにはるかに遅れていたのです。
こういう例はアジアにもありました。日本です。日本もドイツと同じように子供からすぐに大人となっていません。江戸時代、イヤそれ以前から日本には若衆という制度がありました。子供からすぐには大人にならずに、いったん若衆に入ります。今で言えば青年団です。そこで修行を積んでから大人の世界に入ります。この若衆の制度が、今の日本青年団になり、そこから日本ユースホステル協会が生まれました。日本ユースホステル協会は、ドイツにおける青年の制度を輸入するために、生まれたようなものです。
つづく。
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