4ヶ月になって思い出すのは、3ヶ月前に里帰りした家内の実家に、家内と息子を迎えにいったときのことである。館林から北軽井沢まで3時間の道のり、しかも山道を生後1ヶ月半半の赤ちゃんと、帝王切開したばかりの嫁さんを輸送することになった。
で、当時悩んだことは、生後1ヶ月半の赤ちゃんをこんなに長距離を移動させてよいものかどうか?ということである。
犬を飼ったことのある人なら、わかると思うが、子犬なら15分も山道を車で移動したら確実に車に酔って吐く。生後1ヶ月の子犬を3時間も車で移動すれば生死にかかわるほど衰弱する。これは、過去に何度も犬を飼っていたので、経験的に知っていた。しかし、人間の赤ちゃんは、どうだろうか? 生後1ヶ月半の赤ちゃんを3時間も山道を移動したらどうなるのだろうか?
困ったときは、インターネットで調べればたいていは、わかるのであるが、
この件に関しては、検索に何も出てこなかった。
過去に生後1ヶ月半の赤ちゃんを長距離を移動させたひとはいないのだろうか?
しかし、移動しなければ話にならない。電車バスでは、授乳もオムツ換えもできないし、そもそも時間がかかりすぎる。第一、嫁さんの話では、生後1ヶ月半の我が息子は、よくぐずるらしい。ちょっとしたことで、よく泣きわめくらしいのだ。泣いたらあやせばいいのだが、あいにく車2台を移動させなければならない。嫁さんの車と、私の車である。引っ越し荷物が多かったのである。
問題は、赤ちゃんをどっちの車に乗せるかであるが、病み上がりの嫁さんの車に乗せるわけにもいかず、私の車に乗せて移動することにした。で、とてもハラハラしながら移動したわけだが、信じられないことに、生後1ヶ月半の我が息子は車に酔わなかった。それどころか楽しそうにしていた。私は、調子に乗って3時間という移動時間の間、ずっと『達者でナ』という民謡風の演歌を歌っていた。
この歌は、三橋美智也の歌で、大切に育て上げた子馬が売られて、離ればなれになるうたである。
生後1ヶ月の我が息子と、離れがたく、涙ながらにサヨナラしていた義理の母親、つまり、この子のおばあちゃんの気持ちを思うと、『達者でナ』の歌を歌わずにいられなかった。もちろん、ドナドナドナ〜ドナ〜を歌ってもよかったのであるが、この歌は、ちょっと違う。単に子牛が売られていくのが可哀想というだけの歌である。しかし、『達者でナ』は、そういう歌ではない。別れは寂しいけれど、元気でいろよ、達者でな!という前向きの歌なのだ。歌詞の3番をみれば、一目瞭然である。
町のお人はよー
よい人だろがー
変わる暮らしがヨー
気にかかる♪
オーラオーラ、達者でな
オーラオーラ、また会うな
可愛いたてがみ
撫でて、
撫でてやろ♪
栗毛の子馬は、とても良いところへいくのである。ただし、この子馬の変わっていく暮らしが気にかかるだけなのだ。だからドナドナドナ〜でなくて、三橋美智也の『達者でナ』なのだ。私は、これを3時間、移動中に歌い続けた。すると、信じられないことに生後1ヶ月半の我が息子は、移動中に楽しそうに聞いていたのである。
不思議なことは、その後にもおきた。どんなにワンワン泣いていても、我が息子は、私が『達者でナ』を歌うと黙るのである。じかんがたつと一緒に声も出すようになった。もちろん、歌になってない。音程は無茶苦茶である。まるで能狂言の謡いのように聞こえる。しかし、面白いことに小節をきかせている。
もっと不思議なことは、生後100日をすぎると、自分一人で歌い出したのである。もちろん音程は無茶苦茶で、何をいっているのか分からないのだが、小節のきかせかたが、かすかに『達者でナ』ににているのだ。で、私も『達者でナ』を歌い出すと、御客さんのいない北軽井沢ブルーベリーYGHの館内に、51歳の父親と、4ヶ月の息子の奇声がこだまして、それはもう、奇妙な宿になってしまっているのである。もちろん、今日の昼間にも、奇声は鳴り響いていた。
藁にまみれてよ
育てた栗毛
今日は買われてヨー
町へ行く
あーあー、オーラオーラ達者でな
あーあー、アーラオーラ風邪ひくな
あー風邪ひくな
話すたずなが
ふるえ
ふるえるぜ♪
つづく。
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演歌というくくりに集約される以前の昭和歌謡、かなり幼い頃から耳にしていました。落語も同様です。
ゆったりと温もりある節回しは、各地に伝わる子守唄につながるんでしょうかねぇ。
人がリラックスするという蛍の光の揺らめきや、桜の花びらの舞い散る速さと、子守唄に共通点があるのかしら。
また、幼い子どもは狂言のように抑揚のある節回しを好み、実際に舞台を見せたらぐずっていた子も機嫌が直り、舞台に集中した…という話もありますから、三橋美智也さんの歌にその要素があったのかも知れませんね。。
仕事を早くに始めて、てんてこ舞いだったのが子どもが1〜2歳の頃。忙しく疲れていたせいか、その頃の記憶が残念ながら薄いんです。
息子さんの成長ぶりを見聞きしますと、ちょっとずつ思い出せるので私にとっても嬉しいことです。
これからますます可愛くなりますね(*^_^*)
人のいないブルーベリーでこの歌を歌う二人を想像して笑いましたーーー!
一丁前の表情で大人たちを観察してる。
不本意につけさせられている手袋は、よく老人病院で年寄たちがさせられているあれと似ている。
きっと健くんは外したいに違いない。
外れた手袋をしてあげようと試みたら、まゆをしかめて「嫌っ」て言いたげにエバをにらみつけてた。嫌がることをしようとするおばさんは嫌われてしまったに違いない。今度会って抱いたらどうだろう。反応するかなあ。
あんみつさん
>演歌というくくりに集約される以前の昭和歌謡
よく御存知で。実は演歌ではありません。
それにしても、この歌を知っているとは意外ですね。
だって、私が産まれた頃に大ヒットした曲ですから。
>幼い子どもは狂言のように抑揚のある節回しを好み、
実は、百人一首や論語や詩吟も大好きなんですよ。
意味が分かるわけではないのにニコニコ聞いている。
いい湯だなの『はあビバビバ』も大好きです。
音程の何かが、幼児の心に伝わるのかもしれませんね。
このへんは、調べて見たら何か出てくるかも。
進の助さん
>7月29日NHKEテレ23:00〜赤ちゃんは語学の天才、興味深いですよ
今日ですね。
さっそく見なければ!
今日は、3人しか泊まっていないので、見られるのが嬉しい。
まるさん
はためから見たら、変な光景でしょうね。
52歳の男が、孫のような4歳児を抱きながら
奇声をあげているわけですから。
エバさん
こんなことぐらいで嫌いませんよ。
だって私は、1日に20回は手袋をはめていますから。