NHKのスーパープレゼンという番組があって、赤ちゃんの外国語習得能力についての研究報告をやっていましたけれど、ありきたりの内容でした。発達心理学の分野では、もう定説のレベルまで広がっていたことなので、たいして面白くなかったです。
内容はというと、
1.8ヶ月をすぎると外国語を学習する能力が極度におちて、母国語の学習能力があがる。
2.ただし、何回か、外国人に会わせて、外国語で話しかけると、外国語を学習する能力があがる。
3.音声・ビデオでは、その効果は無い。
4.つまり、8ヶ月を超えた赤ちゃんは、人間と対応することによって、統計をとって語学を学習する。
というものでした。
まあ、つまらない内容ではありましたが、注目すべき点があります。4番です。4番の赤ちゃんは、対人対応のうちに語学を学習していくというところです。
さて、ここで面白い事実があります。
あちの息子が言語学習において退化したという事実です。
私は、1ヶ月すぎから2ヶ月の赤ちゃんである、生まれたての息子にさかんに話しかけました。その結果、息子は驚異的に言葉を覚えました。具体的に言うと、私が一緒にお風呂にはいって、『いーち、にー、さーん』と、数を数えると、私の口まねをするのです。もちろん声は出ませんが、私が口を動かすように、口を動かせてみせる。時々、『さーん』だけ言葉を話すこともある。あとの数字は言えなかったですが、2ヶ月の赤ちゃんが、ここまで言語をはなす、報告は、インターネットでどんなに調べてもでてこない。ここで、親バカになって「うちの子は天才だ!」と思い込んでもいいのだけれど、たぶんちがうことは分かっている。
あと、赤ちゃんの指をつかって「あご」「おでこ」「みみ」と、自分の顔の部署を教えるゲームもやっていたのですが、その結果、生後2ヶ月で「あご、あご・・・」と話すようになってきた。この事例も、インターネットで調べて見たけれど、でてこない。ここでも親バカになって「うちの子は天才だ!」と思い込んでもいいのだけれど、ちがうことは分かっていたので、このブログにも詳しくは書いてない。
変化がおきたのは、生後3ヶ月半をすぎたころです。
この頃から自分の意志で何かを話すようになってきた。
そのうえ民謡というか、演歌というか、能狂言のようなものを謡うようになってきた。
すると、「あご、あご・・・」と話さなくなってきたのです。数字も言わなくなってきました。かわりに自分の意志で何か意味不明なことを話し始めるようになりました。つまり赤ちゃんの言語能力が退化したわけです。
生後2ヶ月の時は、「あご」「はな」「さーん」と話していたのに、生後4ヶ月になると全く話さなくなってしまった。これは、どういうことかというと、生後2ヶ月の時は、真似をしていただけで、意志をもって話してなかったということになります。しかし、生後4ヶ月になると、あきらかに意志をもって話している。しかも母親に。しかし、何を言っているのかわからない。「あご」「はな」「さーん」とは言わない。一見すると言語能力が退化したようにみえる。
しかし、これは、赤ちゃんによくみられる現象なのですね。
東大では、こんな実験をやっています。
赤ちゃんをビデオ撮影して手足の動きを追ってみると
生後1ヶ月の赤ちゃんは、手足が自由に動きます。
しかし、生後2ヶ月になると、動かなくなる。
退化するんです。
この退化によって、その後、大きく飛躍する。
この実験結果は知っていた。
しかし、言語能力の(見た目の)退化までは、知らなかった。
ああ、でも、ここういうのを退化というかどうかは、微妙ですね。
うちの息子の言語能力だってそうです。
「あご」「はな」「さーん」
は、単なる真似であって、アンドルー・メルツォフ博士の舌をだす実験
(http://kaze3.seesaa.net/article/361141556.html)
と、同じようなものかもしれませんから。
しかし、生後4ヶ月の息子の意味不明の言語は、意味不明であっても、ある程度の意志を示しているので、こっちのほうが進化しているとも言えるからです。だから見た目の「進化」「退化」は、あまり意味が無いようにも思います。絵を描く人なら分かると思いますが、ずごい立派な絵をかいていても、単なるトレース(模写)ならたいしたことはない。しかし、下手くそでもオリジナルな絵なら意味があるからです。生後2ヶ月にしゃべった「あご」「はな」「さーん」は、いわゆるトレースみたいなもので、生後4ヶ月の意味不明な言葉の方が、素晴らしい言語である可能性が高いからです。ここを間違えて、親バカぶりをはっきしたら、子供は不幸になる可能性が高い。「あご」「はな」「さーん」より、「バブー」の方が凄いのかもしれませんから。
つづく。
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けれんなくこれができる子供の方が話し言葉の学習は早いですね。大人はつい論理や文章が母国語で先にたってしまって、かえって学ぶのが遅くなってしまいます。
けれど、そのうちに日本語を話さなくなる。
真似なくなって、あー、うーという言葉になっていく。
この現象は意外でしたね。
インターネットで調べて見ましたが、今のところ他に似たような事例は見つかっていませんが、研究者レベルでは、だれかが気が付いていて、このあたりの研究をしている人がいるかもしれません。それを今、探しています。なんとか見つけて、いったい、どういう仕組みで赤ちゃんは、真似から「あーうー」の意志をもった言語のかわっていくのか?という点の謎を知りたいですね。
もう一歩踏み込んだところが欲しかった。
で、もう一歩踏み込んだところの研究成果はでているんですけれどね。
NHKらしい、慎重な放送になってしまったのか?