その昔、自転車で旅する人たちの中には、 2種類の人種がいることに驚いたことがある。チャリダーとサイクリストである。私は最初、それを知らなくて自転車で旅をしている人に、チャリダーですか?と聞いたら、相手は不愉快そうに、違いますと答えた。私はサイクリストですと。
サイクリストというのは、朝早く宿を出かけて、ギリギリまで走って、夕方遅くにチェックインする人たちらしい。朝早いから朝食をとらないこともあり、寝るのもかなり早い。お茶会に出てくることもなく、翌日も早くから出かけてしまう。しかしチャリダーは、早めにユースホステルにチェックインし、みんなと一緒に温泉ツアーに出かけて、宿のイベントがあればそれに参加し、グルメや温泉に熱中したりする。サイクリストがスポーツマンだとすると、チャリダーは自転車で移動している旅好きの人たちということになる。一般的に言って、サイクリストの自転車は高額商品が多いけれど、チャリダーの自転車はボロボロに傷んでいたりする。
本当にめんどくさい話なのだが、外見がそっくりに見ても、ポリシーの違いからチャリダーとサイクリストは別の存在であるらしい。うかつに一緒にしてしまうと怒られてしまうので、注意が必要である。もっともこれは自転車に限ったことではなく、鉄道を利用して旅する人たちの中にも、 JRラーと言う人種もいれば、鉄チャンと言う人種もいる。バイクで旅をする人たちの中にも、ライダーという人たちもいれば、バイカーという人たちもいる。私には同じに見えるのだが、微妙に違うらしい。
まぁそんな事はどうでもいいのだが、こんな私でも、過去に自転車で日本全国を旅している。で分かったことなのだが、自転車で旅する連中にも、いろいろな流派があるようだ。割と多いのが輪行チャリダーである。これは、自転車を荷物にして、電車である程度移動して、自転車で旅する人たちである。若い頃の私は、このグループに入れなかった。輪行チャリダーになるには、ある程度軽量化された分解可能な自転車でないといけない。当然のことながらママチャリや安物の自転車は電車に乗せて輸送することはできない。第一ママチャリで日本中を旅する人たちなど、私以外に存在しない。つまりそういうカテゴリーは無い。だから私は一匹狼であった。
そもそもママチャリは、旅行に向いていない。風に弱いし直ぐにパンクする。タイヤも800キロも走れば丸坊主になってしまう。コストがかかりすぎるのだ。そういう意味ではマウンテンバイクは素晴らしい。タイヤも丈夫だし、パンクもしない。 2,000キロ以上走っても全く問題ない。しかしマウンテンバイクは、めちゃくちゃ体力が必要な上に速度が出ない。重い上に風にも弱いのだ。そこでツーリング向けの自転車(ランドナー)を使う人が多いのだが、最近はこのランドナーも見かけなくなってきた。逆に増えてきたのが競技用の自転車で山道を登ってくる人たちである。彼らは、ほぼ何も荷物を持たずにやってくる。旅人というよりスポーツマンである。
あと、ありそうで全く無いのが電動自転車チャリダーである。あれは便利なので、山道の多い北軽井沢に来るのには最適なのだが、今のところ見かけた事は無い。その反対に絶対になさそうで、実際に存在していたのが、一輪車チャリダーだった。今から30年位前に、私は北海道で見たことがある。背中に小さなザックを背負って広大な大地を一輪車で黙々と走行していたのには胸を打たれたものだ。北海道には、そういうバカバカしい方法で旅している人たちがいるのである。リヤカーを1人でひいている旅人もいれば、ものすごい装飾をゴテゴテと飾った自転車で旅している人たちもいた。そういう人たちが北海道に多かったのは、北海道の道路が、他の地域に比べて走りやすかったということもあると思う。これが東海道の国道1号線になると、突然自動車専用道路になったりして、 uターンしなければならなくなることも多い。東北道の国道4号線になると、どういうわけかトラックがやたら多くて、大型トラックの風圧に悩まされる。かといって海岸沿いを走れば、海風とアップダウンで地獄の思いをすることになる。
アップダウンといえば、北軽井沢もアップダウンが多い。だから自転車で来るお客さんは、かなり苦労すると思う。そこでコツを教えよう。 疲れたら自転車から降りて歩くのが1番。無理して自転車に乗らないことだ。 急な坂は押して歩いた方が良い。坂を登れば、いつかはくだる。自転車に乗るのは下り坂のときで充分ではないか。無理して自転車を漕ぐよりも、ゆっくり歩いて景色を眺めた方が私はいいと思う。自転車を押しながら歩くというのも、それはそれで楽しいものなのだ。移動速度が遅くなれば、それだけ移動中に目に入る情報量は多くなる。何気ない道端で、素晴らしい風景を見つけるかもしれないし、カモシカやリス達に出会う可能性も大きくなってくる。たらの芽や山ぶどうに出会うかもしれない。
関係ないが、息子の2歳の誕生日に、息子のおばあちゃんが幼児用自転車を買ってくれた。今日は、庭先で息子が乗って遊んでいた。うちの息子は、こういうメカが大好きなので、かなり興味津々である。つい先日、小諸の懐公園にある動物園に息子を連れて行ったのだが、反応はイマイチであった。しかし、ホームセンターやヤマダ電機などに息子を連れて行くと、目を輝かせてあらゆる商品をいじりたがる。明らかに動物よりも機械類が好きなようである。庭で遊ばせると、自転車小屋や物置に入って、あらゆる小道具を触りたがる。工具箱何か見つけた日には、夢中になっていじり回している。だから自転車に目を輝かせていじり回している。この辺は、やはり男の子だなぁと思ってしまう。男の子は、本質的にメカが大好きなのだ。自転車好きの人間も、バイク好きの人間も、そういうところがあるような気がする。
つづく。
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移動しながら写真(ポートレイト)を撮り、印刷して渡していたと。カメラとプリンターを背負って、あちこち傷をつくりながらの旅。良い顔してます。
息子の大事な友達でもあります。