2015年07月02日

2歳3ヶ月の息子にとってのルール

 息子が、 2歳3ヶ月になった。このくらいになると、非常に扱いやすくなってくる。世の中のルールを理解しだしたからだ。スーパーに連れて行っても、ホームセンターに連れて行っても、むやみに商品を触らなくなった。おとなしく買い物カゴの後をついてくるようになったのである。四六時中見ていなくても大丈夫になってきたのだ。

 と同時に、本人が何か気に障ることがあると、大激怒するようになってきた。これを世間では、イヤイヤ期と言うらしいのだが、うちの息子に関してはどうも違うような気がしてならない気がした。そこで、注意深く観察してみたら、 2歳3ヶ月の息子に、ある種のルールが存在することがわかった。彼が激怒するときは、必ずと言っていいほど、彼のルールから外れた時であるのだ。

 たとえば、チャイルドシートに乗せてシートベルトをしないと車を発進させないとする。最初はチャイルドシートもシートベルトも嫌がるのだが、それが2歳3ヶ月の息子の中にルールとして定着すると、チャイルドシートをしないと怒り出すのである。そして泣きわめくのだ。彼のなかには、車に乗る=チャイルドシートがルールとしてインプットされているのである。このルールをはみ出すと激怒するのだ。たとえ庭先を10メートル進むだけでもシートベルトをすることを要求してくる。

 どうやら息子には、世の中にはルールがある事は分かってきているらしい。しかしその自分なりに理解したルールをはみ出すと、彼は大激怒するのである。それは違うでは無いかと、怒り出すのである。そう考えてくると、イヤイヤ期というのは、 2歳3ヶ月の息子の社会に対する理解力から出てきた、単なる表面的な現象なのかもしれないと思えてきた。

 例えば、スーパーに行った時に、まず最初に試食コーナーに行って、焼きソーセージか何かの試食を私と息子が食べたとする。それを三日間連続して行うと、スーパーに行ったらまず試食コーナーに行って食べるというルールが息子の中に出来上がってくるのだ。本当はそんなルールは存在しないのだが、 3日連続して行うと、そういうルールで世の中動いていると息子は勘違いしてしまうらしい。そして試食コーナーによらないと激怒するようになってくるのだ。

 逆に言うと、そういう勘違いがあるにしても、ルールを理解しようとする行動によって、スーパーの商品をむやみに触らなくなってきたのは非常にありがたい。レジを通さないと触ってはいけないというルールが、彼の中に存在しているからである。床に落っこちた食べ物もむやみに食べてはいけないというルールも彼は理解し始めた。そういうところもありがたい。

 ただし、息子は、正確にルールや社会規範を理解しているわけではないので、変なことも起こってしまう。ルールは、息子自身が独自に作るということもありうるからだ。たとえば道端にあるマンホールを必ず踏まなければいけないというルールが息子の中に存在している。もちろんマンホールは、自動車が行き交う危険な地域にもあるので、私が絶対に踏ませないケースもありうる。そうなると、彼は大激怒して、いわゆるイヤイヤ期のような現象が起きてしまう。

 私は、 2歳3ヶ月の息子が考えているルールを見抜くことが比較的得意なので、いわゆるイヤイヤ期に見られる現象はあまり発生しないのだが、マンホールのようなことがあると、 2歳児のイヤイヤ期というものは、 2歳児のルールに対する中途半端な理解によって発生するのではないかと思えてきた。

 スーパーの買い物の後に、お弁当を食べる。それを三日間繰り返したら、息子にとってはそれがルールになるのである。 4日目にお弁当食べずに帰ろうとしたら怒り出すのだ。これは厄介でもあるが、これを上手に利用すると、逆に2歳児のコントロールがうまくいくことが分かってきた。何か良いことをするとご褒美がもらえるというルールを息子に刷り込むことができるからである。もちろんやりすぎると、何でも損得で動くようになるので、あまり褒められたことでは無い。

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 とここまで書いて、思い出すのは、私が保育所に通っていた頃の記憶である。私は保育所の転校生であった。 3歳の時にある保育所に通っていたのだが、 4歳の時に別の保育所に移ったのだ。その時に、保育所のルールが違っていて幼児なりに激怒したことを覚えている。

 激怒した理由は、新しいルールを保育所の先生が教えてくれなかったからだ。そのために戸惑ってしまったのだ。実は保育所によってかなりルールが違っているのである。しかし先生方は、どこの保育所も同じだと思っていた節がある。だからきちんと説明をしてくれなかったんだと思う。そのために私は戸惑った。

 最初の保育所では給食の配膳は先生方が行っていた。次の保育所では、配膳そのものがなく、菓子パンを自由に取り放題になっていた。それが良く分からなくて、何も食事がとれなくて怒りだしたのだ。自分なりに理解したルールと違うルールがそこにある。それはルールの本質をよく理解できてない幼児にとっては不正儀そのものなのである。だから怒りも余計に激しい。

 その時に、ある先生が「どうしたの? 」と聞いてきた。
 私はなぜ激怒しているのか話そうとしたのだが、
 すぐに別の先生がやってきて
「甘やかしてはダメだ」
と、その先生を連れて行った。

 当時4歳だった私は、自分の知っていた前の保育所のルールを新しい保育所の先生に説明する機会を奪われてしまった。こうして、その日は食事が取れなかったのだが、その後私は、その保育所に対して2年間不信感を持ち続けることになる。

 今から思えば、なんてことのないことなのだが、この体験によって、ルールはある日突然変わることがある。そしてその説明を誰もしてくれないということを4歳で学習した事は大きかった。この経験は、その後の人生に大いに役立っている。

 でも1番大きかったのは、大人から見て幼児が、理不尽な位に駄々をこねる時は、彼らの中だけにあるマイナールールが、社会に対して通用しなかった時であるというのを自分の体験で知り得たことであるかもしれない。それが今頃になって息子の子育てに役に立っているのだから何が幸いするかわからない。


つづく。

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posted by マネージャー at 06:32| Comment(4) | TrackBack(0) | グンマーで嫁が出産と育児 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
おおおお!

なるほど!
長年の疑問が氷解しました!

確かに、2才児なりのマイナールールがあって、それが崩れたとき、イヤイヤが起こってるのかも知れないです!

娘が2才のとき、腰を痛めて、抱っこどころか、歩くのも座るのも覚束ないほどの状態になったことがあります。
実家の母にきてもらって、ヘルプしてもらったのですが、そのときのことです。
実家の母と、娘に付き添ってもらい、整形外科に行き、診察を終え、リハビリを受ける際、母が娘を先に連れ帰ってくれるとのことで、お願いしました。

いつもなら、リハビリが終わるまで、娘も待たせているのですが、このイレギュラーに怒ったでしょう。
母を振りほどき、外に出てしまったのです。

母が娘を捕まえて、駅前のバス停まで向かう途中、またしても、娘は、母を振りほどき、バス停ではない方へと向かったのです。
スターバックスコーヒーに入っていったかと思うと、間もなく号泣して出てきて、その足で駅ビルの、エスカレーター前で号泣。
エスカレーター前で、エスカレーターを指差して号泣。
エスカレーターに母が抱っこして昇ると、そこは書店。またしても、母を振りほどき、児童書コーナーを指差して「わんわん、わんわん」と、明らかに「いないいないばあ」のワンワンの本を要求したそうです。

実は、スターバックスから書店までの流れ。
私が腰を痛める前、駅前に来たときの、いつものコースだったのです。

きっと、娘なりのマイナールールと化していたのですね。

母曰く、「本当に淀みなく、そこに向かっていくから、驚いた」とのこと。
私も、驚きました。

ちなみに、そんな娘も、この7月2日に、11才です。
娘は、そのこと、もう忘れてるようです。
Posted by みわぼー at 2015年07月02日 07:17
娘さんは、今日が誕生日だったんですね。おめでとうございます。早産だったにもかかわらず、無事に大きく健康に育ってくれて、本当に良かったですね。それだけでも大変ありがたいのに、本当に親思いで良い子に育ってくれたので、親御さんとしては、これ以上の幸せは無いのではないでしょうか?

それはともかく、イヤイヤ期と社会のルールを覚える時期がイコールであるのに気づいたのは、叱らないしつけをしていた親子と公園で仲良くなって、その親子を見たときです。

しからないしつけをしているにもかかわらず、
その子供にはルールがあるのです。
親が与えてないにもかかわらずルールがある。
無規範ではないのですね。
叱られてなくても、きちんとしたルールを2歳児は持っている。

つまり、親がルールを与えなくても、
子供は外部を見たり体験したりすることによって、
ルールを体得するみたいなのです。

もちろんそのルールは、社会一般のルールに対して、かなりズレたものになっていますが、それでも2歳児なりのマイナールールになっていて、それをうまく利用すると、かなりこちらの言うことを聞いてくれる。

で、逆に、お父さんお母さんの方がびっくりされるわけです。
どうして素直に言うことを聞くのだろうかと?
Posted by マネージャー at 2015年07月02日 21:48
マネージャーさん
ありがとうございます!

本当に、小さく産んでしまった子が、命の危険にさらしてしまった子が、本当にここまで、育ってくれていることに感謝です。
それにしても、親は、つい欲張りになってしまいますね。
アレコレ、注文をつけたくなる。
けど、意地悪でもなく、他者を虐げることもなく、アホーな両親でも、愛してくれている、優しさをもってくれていることを感謝しなくては、ですね。
Posted by みわぼー at 2015年07月04日 01:04
子供は、ただ健康に存在してくれるだけで儲けモンですが、いつの世でも欲が出てくるのが親という者でしょうね。
Posted by マネージャー at 2015年07月04日 08:46
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