2015年07月07日

北軽井沢ブルーベリーYGHの15年史 その2

 開業したばかりの15年前のことを思い出すと冷や汗が出る。最初の1年間は試行錯誤の連続だった。お客さんが少なかったので、いろいろな失敗が目立たなかったのが幸いだった。実は開業してから 1年以上の間、私ひとりで宿の営業を行っていた。嫁さんは埼玉のドコモショップで副店長をやっていたので、私ひとりで宿を回すしかなかったのである。だから私ひとりで受付をして料理を作るなど孤軍奮闘した。当時は食洗機もなかったので、満室が続くと食器を洗い終えるのが夜中の2時ぐらいまでかかった。忙しい時は3時間の睡眠が取れれば良い方だった。

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 また、料理に関しては、いろいろな失敗もしている。最初、佐渡島からカニを送ってもらって、カニ食べ放題にしていた。北軽井沢と言う山の中でカニを出していたのである。今から思えば赤面ものだが、お客さんのほうは喜んでいた。しかし、カニを食べるのに夢中になって、お客さん同士の会話は全く弾んでいなかった。食事の間は沈黙が流れることが多く、お客さんをひたすらカニを食べるのに熱中した。おまけに食べ終わるのが夜中の9時過ぎになることも多く、その後の仕事がはかどらなかった。

 しばらくの間、フレンチのコース料理を出したこともあった。これも大失敗であった。最初オードブルだけを出すわけだが、ユースホステルの会員のお客さんは、おかずはそれだけだと思いこんで、オードブルだけで3杯飯を食べて、その後のメインの肉料理や物やベースなどの魚料理やデザートが食べられなくなったりした。そもそも食べる速度が1人1人違うのに、私ひとりでお客さん全員の様子を伺いながら、皿を下げたり、会話をしたりコース料理なんか出せるわけがない。人手がいないのに、そんなこと出来る訳がないのだ。物理的に無理があったと思う。その上、後で原価計算をしてみると大赤字だった。

 なんとか安定した料理が出せるようになったのは、半年ぐらい経ってからである。そして、幸運なことに、お客さんが来だしたのは、半年ぐらい経って料理が安定してからであった。最初からお客さんを押し寄せていたら、悲惨な結果をむかえてたかもしれない。そういう意味で、最初の1年に、お客さんが少なかったのは結果として良かったと思う。

 うちの宿が、安定してきたのは、多くの友人が手伝いにきてくれたり、嫁さんがDoCoMoショップの仕事を辞めて、この宿に合流してからである。うちの嫁さんは、決して料理が上手ではなかったが、研究熱心であった。私は軽井沢の美味しいレストランに片っ端から連れて行って食べさせた。するとすぐに上達した。今では私より料理がうまい。

 ところで、これは何の写真かわかるだろうか?

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 実は嫁さんの料理ノートである。

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 最近はクックパットなどのインターネットのレシピが家庭の主婦の料理の参考にされていたりするが、宿屋やレストランのシェフたちが、クックパットなどのレシピで料理が作れるかというと、そういうわけにはいかない。業務用の調理器具には癖がある。

 例えばオーブンを買い換えるだけで、今までの料理ノートが通用しなくなるのだ。火加減や料理時間に誤差が出るのである。なにしろ20人前を作るわけだから、誤差が大きく影響してくる。そのために、機材が変わるごとにレシピが違ってくるのである。

 ちなみにうちにはオーブンが3つある。ガスオーブンが1つとスチームオーブンレンジとオーブンレンジがある。それぞれ用途に合わせて料理をするし、 20人前の料理を作るために3台稼働することもある。その都度、機械の癖にあわせたレシピが必要になってくるのだ。だから、お客さんに料理を出す前に、何度も作り直しては、オーブンの性能を見極める必要があったりする。

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 だから、本当は新しいオーブンを買ったりしたくないのだが、そうもいかない。調理器具の良し悪しで、味がだいぶ変わってしまうからである。ここ15年の間に、調理器具はものすごい進化を遂げてきた。調理器具の進化によって、料理もだんだん美味しくなってくる。

 つまりお客さんが作る家庭料理が美味しくなってくるのだ。
 宿屋は、それを考えながら、その上に行かなければならない。
 常に新しい設備投資をしていかなければならないのだ。


つづく。

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posted by マネージャー at 23:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 業界裏話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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