不思議なことに、どのお母さんも同じように答えます。最初は謙遜かと思っていました。しかし、どうもそういうわけではなさそうなのです。みんながみんな本当の事を言ってるようなのです。これが不思議でした。けれど今なら、わかります。小さなお子さんは、旅先で本当に行儀がよいのです。
これは私にも覚えがあります。
過去にブログでも書きました。
http://kaze3.seesaa.net/article/421644212.html(息子にとってのルール)
二歳児になると世の中のルールを理解しだします。スーパーに連れて行っても、むやみに商品を触らなくなりました。と同時に、本人が何か気に障ることがあると激怒するようになってきましたが、彼が激怒するときは、必ずと言っていいほど、彼のルールから外れた時です。
例えば、スーパーに行った時に、まず最初に試食コーナーに行って試食を私と息子が食べたとします。それを三日間連続して行いますと、スーパーに行ったらまず試食コーナーに行って食べるというルールが息子の中に出来上がってくるのです。そういうルールで世の中動いていると息子は勘違いしてしまいます。二歳児のイヤイヤ期というものは、 二歳児のルールに対する中途半端な理解によって発生するのです。
逆にいいますと、マイルールが無い場合は、様子をみます。二歳児は静かになります。つまり行儀がよくなります。だから「他所様の前では、行儀が良いのに、親の前では我が儘になる」と言うお母さんたちの証言がでてくるのです。
「うちの子は、内弁慶なんです」
と証言するお母さんが何人もいましたが、ちょっと違うと私は思っています。内弁慶なのではなく、見知らぬ環境に驚いて、どう接して良いかわからないんですよ。マイルールが確立してませんので、様子をみているんですね。で、まわりの大人たちが静かに食事をしていますと、そうしなければならないと見習うわけです。
ところが、にたように子供たちが他にいて、暴れ回っていて、親が注意してない場合は、自分も暴れて良いと思ってしまいます。まわりをみて学習して、それがマイルールになってしまいます。それが証拠に一番上が女の子の場合、下の男の子は総じて大人しいのに、その逆に上が男の子だった場合は、下が女の子でも大人しくないケースが多いのですね。
よーするに二歳児にとって、ルールを学ばせることは、非常に重要であり、かつデリケートなことだということです。これは人ごとでは無く、わが息子にかかわる重要なことでしたので、十一月末から十二月にかけて、思い切って休館にしてしまいました。全ては息子のためです。休館して佐渡島の実家やユースホステル。旅館や高級ホテルに泊まりに行ったのです。
長い前置きはこのくらいにして本題に入ります。
先日、安曇野のホテルに泊まりにいきました。自分の勉強のためもありますが、息子の教育もかねています。本当は、食事マナーが要求されるレストランに連れていきたいのですが、さすがに、それは断られるのでコース料理がセットされているホテルに宿泊してきました。これだと幼児も連れて入れるからです。時間も十九時三十分で予約をしました。これで息子に新しいマイルールを作ってあげられるからです。
最初が肝心なのですね。最初に、大人のルールを教えてしまえば、あとが楽なんです。既に何カ所かの宿に泊まっていて、静かに食事する訓練はできていますので、あとは、厳しいテーブルマナーを要求される場所で何回か体験するだけなんですよね。それを数回繰り返すことによって息子の行儀がよくなるわけですから、安いものです。
案の定、レストランの一番奥に席が用意されていました。で、ハラハラしながらコース料理をいただいたのですが、息子は最後まで静かに食べてくれたうえに、ホテルの人に
「素晴らしい」
「本物のジェントルマンですね」
と絶賛されていました。
そのうえ最初はジロジロみていた隣のテーブルの人たちからも褒められたのでホッとしました。今までもホテルで静かに食べてくれていましたので、大丈夫だとは思っていたんですが、こんなに緊張して食事をしたのも久しぶりで、ホッとしました。とりあえず息子の中で、レストランでは静かに食べるというルールが定着してきたのでよかったです。
最近、子供嫌いの老人たちが増えていますけれど、その理由を私は嫌と言うほど、うちの御客様から聞かされているので知っています。子供のしつけがうまくいってないからなんですね。そして、その子供嫌いの中高年の人たちも、礼儀正しい子供には、顔を崩して可愛がることも知っています。なので、二歳の息子がホテルレストランのテーブルに座ったとたん、隣の御客さんの顔がこわばったのに気づきました。きっと「チッ」と思われたのでしょう。
宿屋の私には、痛いほど空気が読めました。
なので食事中に緊張したわけですが、なんとか静かにしてくれて、最後には、隣の御客様たちみんなに頭をなぜてもらえたので、本当に良かったです。何万も払って泊まったかいがありました。しかし、まだ油断はなりません。これからもっと訓練をしなければならないと思っています。
前にも書きましたが、脳の発達に三つほど臨界期があると言われています。例えば視覚。誕生から数ヶ月間、全く光を知らないままでいますと、脳の視覚システムが構築できず一生涯失明したままになります。これが臨界期です。
また、十歳までに人間社会の言語に触れることができなかった子供たちは、脳における言語システムそのものが構築できないために、 十歳以降にどんなに勉強しても文字を覚えることも言葉を話すこともできないと言われています。これが言語の臨界期です。
そして脳の発達にはもう一つの臨界期があると言われています。それは脳の「眼窩前頭域」で、この部分の盛んな発達は生後三十六ヵ月(三歳)ぐらいだと言われています。この「眼窩前頭域」の発達が脆弱だと自分の感情が抑えられないハイリスクの子(危険度の高い子)になり、共感能力や思いやりを欠く子や、無気力、無感動な子になりやすい言われています。多動児やその他の発達障害も、この「眼窩前頭域」の発達と無関係で無いと言われています。
うちの息子は、あと四ヶ月で三歳になるわけですが、今年の冬は、あまり仕事をせずに、息子のために旅行に行ったり、一緒に遊びに行こうと思っています。そして息子に健全で大人に褒められるマイルールを作ってもらおうかなと思っているんですよね。「眼窩前頭域」の発達をうながすために、自制心をもって、まわりに対して思いやりをもつような子供に育てたいですね。それが子供にとって一番の財産になることは、私が体をもって体験してきたことですから。
つづく。
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今、重症心身障害児の発達支援・放課後デイサービスに勤務して、主に重度の肢体不自由児と接しています。
大半は歩けず言葉を語れませんが、周囲の環境変化を敏感に察知し、私達の語りかける言葉にもよく耳を傾けています。
自ら動けないので、私達職員の動きを注視し、次に起こることを察知する子も。
あるいは「私のそばに来て!」とばかりに呼びます。幼児が親の後をついて回るのと同じです。
リハビリ職員は彼らの身体を診て、私達は本の読み聞かせや手遊び。
親御さんのお迎え時には、過ごした様子を伝えますが「家では本など興味ないのに…」「ここではおとなしいのですね」と言われることも。
慣れないうちは警戒してパニックを起こす、あるいは自らシャットアウトして刺激から身を守る…そんな子も、いつしか「ここは家とも学校とも違う、○○する場所」と捉えて楽しめるようになり。
親御さんがいないので甘えて騒いでも損だと、にこやかに遊びに参加したり…環境への順応、場に応じた態度が身につき、成長を感じます。
未就学の幼児には、親子共に早くから療育の介入を…と言われるのは、多くのお子さんの躾と共通するところがありますね。
>あるいは自らシャットアウトして刺激から身を守る…
>そんな子も、いつしか「ここは家とも学校とも違う、
>○○する場所」と捉えて楽しめるようになり。
>親御さんがいないので甘えて騒いでも損だと、
>にこやかに遊びに参加したり…環境への順応、
>場に応じた態度が身につき、成長を感じます。
脳の「眼窩前頭域」が、順調に発達しているようですね。
以前は、三歳で発達が止まるといわれていましたが、
「三つ子の魂、百まで」
といいますからね。
でも最近は、二十歳まで、ゆるやかに発達しつづけるといわれるようになってきました。
これはわかります。
旅をすることによって劇的に成長した人を私は何人も見てきましたから。だから環境をかえてあげて、発達を促すというのは大切ですよね。家庭では無理だったことも、施設や旅による環境の変化で学べることも多いと思うんですよ。だから無理してでも幼児を保育所に入れたがるだろうし、「他人の飯を食わせる」「かわいい子供に旅をさせよ」と、昔の人は言ったのでしょうね。