ただし、相手は3歳児なので、大人と違って駄々をこねる可能性があります。大人ならアミノバイタルを飲んでくださいといえば飲んでくれます。しかし3歳児は飲んでくれない可能性がある。これをクリアするためには、アミノバイタル・クエン酸・ローヤルゼリー・ブドウ糖・ビタミン剤といったサプリメントを飲んでくれないといけません。
そのためにはゼリーを大好きになってもらわないといけないし、野菜ジュースや野菜ジュースタイプのスムージーも好きになってもらわないと。なにしろ3歳児ですから電池切れがはやい。
そこで、他のおやつは一切控えさせて甘いものに対して飢餓状態に陥った頃に、最高級のゼリーを少しずつ息子に食べさました。息子は千疋屋のゼリーにイチコロだったみたいで、何かあるたびに
「ゼリー食べたい」
と言ってきました。私は
「じゃあ山で食べようか」
と言って、小浅間山に連れて行って、少し歩いて息子の喉の渇きを待って、チューブタイプのゼリーを食べさせました。
もちろん最初はアミノバイタルではなくて美味しいゼリーです。息子はそのチューブタイプのゼリーをいたく気に入って、
「美味しいねぇ」
「また食べようね」
と気に入ってくれました。こうなればしめたもんで山に行くたびに、散歩に行くたびに、様々なタイプのゼリーを水筒がわりに食べさせます。ビタミン剤タイプのゼリー・アミノ酸系のゼリー・カロリー補給タイプのゼリー・野菜ジュース・野菜のスムージー。それらを喉が渇いた頃に見計らって飲ませるのです。
もちろん少しずつです。毎回同じものを大量に飲ませれば飽きます。そうならないように、少しずつ飲ませて、もうちょっと飲みたいぐらいの頃合いを見てストップさせます。「もっと飲みたい」と思うくらいのところでストップがコツです。
これは「平仮名カタカナ」を覚えさせる時でも一緒です。息子がどんなに平仮名に夢中になったとしても5分で止める。盛り上がったところで止める。それによって息子は2週間で文字を覚えてしまう。カタカナも2週間で覚えました。
では 30分ぐらい勉強させたらどうなるんだろうか?と、漢字を使って実験したら見事に失敗。漢字を見るのも嫌になりました。なので漢字の勉強は1年間中断。1年後に漢字の勉強再スタートさせています。
もちろん5分以上の勉強はさせていません。本人が、どんなにやりたがっても 5分でやめます。これコツで、どんなに息子がやりたがっても中止。漢字カードをしまう。けれど親が漢字カードを隠していても、どこからか息子は見つけ出して、一人で息子は漢字の勉強している。5分でやめれば、それほど中毒になる。
5分でやめると脳に快感をもつ。快感に感じることによって脳が成長する。これはテレビでもゲームでも食事でも一緒らしくて快感に感じることによって脳が成長する仕組みになっている。しかし、満腹させてはいけない。お菓子でも漢字でも満腹させたら見向きもしなくなる。だから登山でお菓子を与えるときも、少しずつでないといけない。
ところで、息子が登山デビューしたのは、言葉も話せなく、やっと立てるようになった1歳3ヶ月ぐらいの頃です。場所は浅間牧場で、その様子はYouTubeにアップされてます。
https://www.youtube.com/watch?v=CwUJBYpyLp4
1歳3ヶ月ですから千鳥足でフラフラ歩いています。
動画を見ると分かると思いますが、赤ちゃん煎餅をエサにしています。
これがないと歩いてくれません。
しかし、煎餅があると、笑いながら急坂も登ります。
十メートルほど私が先を歩いて、息子に煎餅を見せる。
息子はその煎餅をめがけて突進してきます。
これを少しずつ繰り返して体力をつけさせます。
体力がなければ、楽しんで山に登れませんから、煎餅をエサにして少しずつ歩く距離を伸ばして、3ヶ月後の1歳6ヶ月頃には、浅間牧場を2キロ歩けるくらいになりました。
それからは、小浅間山に登るようにしたのですが、自分の力だけで登っていません。息子が嫌がれば必ず背負うか肩車しています。本格的に登山をさせるのは、イヤイヤ期(マイルール期)の始まる2歳になってからです。
1歳児の間は、好奇心が強すぎて、なかなか前進しないからです。坂道になると、石や花をいじったりします。こういう時は無理に歩かせないで、好奇心まま放置した方が良い。時間が押してきたら肩車したり背負ったりすればいい。ここで無理したら山嫌いになるからです。
というわけで、息子が自分の力だけで登山を開始させたのは、2歳6ヶ月からです。2歳6ヶ月になると急に体力がついてきます。それ以前は、もっぱら浅間牧場を気ままに歩かせ、小浅間山には背負って連れて行くだけでした。
息子にとって生まれて初めての自力登山は、2015年10月6日。池ノ平湿原の木道歩きと雲上の丘です。ここは木道と階段ばかり。こういう山なら好奇心に負けて藪に入るようなことはありません。普通の山だと好奇心で枯葉や枯れ枝をさわって、トゲが刺さるなど大変なことになるからです。
幼児の皮膚は柔らかいので、大人ならなんでもない枯れ枝でも、トゲとなってささってしまう。そのたびに毛抜きでトゲをとってあげるのですが、2歳6ヶ月だと必ずしも協力的とはかぎらないので大変な苦労をします。
ここで2歳児に登山させるコツを述べます。
(1)飽きさせない
つまり同じ歩き方をさせない。草むらに入れたり、岩を登らせたり、ジャンプさせたり工夫して飽きさせない。当然のことながら同じ登山道を使わない。寄り道もつきあってあげる。
2歳児は恐ろしいほど工夫します。歩き方を変えます。例えば疲れると坂道でタコ踊りのような姿で歩きます。両腕を前後に大きく振り回すと楽に坂を登れることに気がついたのです。また後ろ向きに歩こうとします。後ろ向きに歩けば使う筋肉が違うから疲労度を軽減できる。もっと疲れると道端の石ころを触ってみたり草花や枯れ枝を触ることによって休憩しようとします。そういうことを含めて辛抱強く見守ると長続きします。
また飽きさせない工夫として階段などで数字を数えるのも効果があります。前方にタンポポを見つけたら、それを摘み取って差し出すのも良いでしょう。もしタンポポに興味を持ったら、 3メートルくらい先に行ってタンポポを差し出す。すると嬉しそうに受け取りにきます。
(2)自分の力だけで登ったと錯覚させる
例えば階段を上るときに、父親と母親の二人が2歳児の両手を握って引き上げます。宙ぶらりんにするのはまずいですが、そうとは気づかないレベルで引き上げてあげると本人は「なんだ楽勝じゃないか」と勘違いして自信をもちます。登れたら褒めちぎります。本人が気がつかないように楽をさせてあげるのです。
ハーネスを使うのも有効です。リュックサックを背酔わせて、それを背後から気づかれないように持ち上げて重力を軽減するのもいい。ただし2歳児は、こちらが思っている以上に賢いですから下手な小細工は、すぐばれてしまいます。そのうち
「自分で歩くの」
と怒るようになりますから、ばれないように巧妙にやらなければならない。そこが難しいところです。バレると激怒して自分だけで登りたがりますが、それが早すぎると、体力負けして登るのを嫌うようになりますから要注意です。
(3)褒めまくる
2歳児にも大人なみのプライドがあるようです。しかも傷つきやすい。なのでプライドを上手にくすぐるとうまくいきます。そのさい「自分でできる」ということが大きなポイントになります。ここを徹底的にくすぐってあげると、自分で山に登ろうと言う気になってきます。けれど 2歳児は、自分でやれないことが多い。やれないことを「やれたんだ」と錯覚を起こさせることで、自尊心をくすぐるのです。
(4)報酬を与える
プライドをくすぐるだけでは、気まぐれな2歳児は自分から登ってくれません。やはり報酬は必要です。物で子供を釣るのは良くないと言われていましたが、脳科学の久保田先生は、むしろ報酬を与えることによって脳が発達すると言っています。快感が与えられると脳が成長するらしいのです。
体動かして疲れて喉が渇いているときに、甘いゼリーを与えられたら2歳児なら大喜びです。自分で登山道を歩けば、大好きな甘いものが食べられる。そういうことを繰り返せば、いつの間にか登山道歩くことが、おやつをもらえることとイコールになり、登山が大好きになります。
(5)装備を調える
これは何気に重要です。装備の良し悪しで、登山が楽になったりきつくなったりするからです。特に2歳児の靴の多くはデッキシューズに毛の生えたような貧弱なものが多く滑りやすく脱げやすいために登山道で苦労します。
かといって2歳児用の登山靴は存在しませんから、それに類する厚底で滑りにくく岩に張り付くようなゴム底の靴を代用します。それから子供の成長がはやいので、ついつい大きめの靴を買いたくなりますが、あまり意味ありません。十回ぐらい山に登ると靴を履き潰してしまうからです。
ハーネスもあった方が良いでしょう。岩から落っこちないようにハーネスを命綱にします。と言っても登山用ハーネスではありません。あれはかえって危険なので使えません。幼児用ハーネスを使います。それは、ベストの後ろにヒモがついたようなものです。
登山用ハーネスは、ズボンのように装着し、前にヒモをつけるのですが、幼児用ハーネスは、ベストのように装着し、うしろにヒモがついている。ただし、足ベルトが無いことやヒモの強度などに不安があるので、最低限の改造が必要でしょう。
もちろん毛抜きと傷パワーパットと日焼け止めは必修。予備の靴と靴下と着替えも必要です。不意をついて水たまりに飛び込んだり、水遊びしたりしますから。もちろん甘い物やジュースも必要。電池切れを防ぐためです。幼児は筋肉量や内臓が未発達でエネルギーを蓄えにくく、大人よりはやく低血糖を引き起こします。
あと睡眠が重要です。うちの息子の例ですが、息子が2歳6ヶ月の頃は、4時間くらい登山すると、その後に死んだように熟睡・爆睡します。2時間はたっぷり寝ます。そうしないと体力がもたないのでしょう。はやく身体を回復させるためには、直後の睡眠が必要なんでしょうね。なので登山の後に睡眠する時間も必要です。車の中で寝られるようにベビーシートと毛布をセットしておくといいです。
(6)山を歩かせない
それから「究極のコツ」を書いておきます。2歳児を登山好きにさせる方法は、最初から山を歩かせないことです。私は、息子が生後3ヶ月の頃から1歳6ヶ月くらいまで、息子に山歩きをさせず、ただ、ひたすら息子を背負って山登りしたり、浅間牧場の散策をしていました。息子は、キャッキャとハイテンションで喜んでいましたが、ある日、突然、背負子(しょいこ)から降ろして浅間牧場を歩かせたら、もう二度と背負子には乗ってくれなくなりました。肩車もダッコも拒否です。
背負子に背負われて外を見るだけから、歩く楽しみを知ってしまった息子は、もう後戻りはできません。幼児には「歩きたい」という欲求があるからです。かといって、この時点で苦しい山登りを体験させては駄目で疲れさせないことが大切です。うちの息子の場合は、まずは芝生に覆われた浅間牧場を少しだけ歩かせ、つぎに木道を歩かせました。そしてなだらかな山チャレンジ。最後に、本格的な登山です。順序さえ間違わなければ、子供は山を嫌いにならないはずです。
(7)音楽の手を借りる。
岩登りがある登山では、空間的知能が大切ですが、モーツアルトの「2台のクラヴィーアのためのソナタ」を聞かせるだけで空間的知能があがることがわかっています。猿やラットに聞かせても同じ効果があるといいます。これを利用しない手はありません。空間的知能が高いと、瞬時に登るべき道が分かるし、一度通った道は忘れないので迷子にもなりにくくなります。また地形図を見て山を立体的に想像できるようになるので、登山家には絶対に欠かせない能力です。なので「2台のクラヴィーアのためのソナタ」を聞かせて損はないです。
それからこれは2歳児には効き目が無く3歳以降に有効なのが歌です。歌の力を借りると登山がはかどります。歌うことによって登山に集中します。例えば「となりのトトロ」の「さんぽ」なんかは、テンポも良くて夢中になって歌ってくれますから、歩くという行為に対して集中力を切らしません。なので道草がなくなり、時間を忘れて歩いてくれるので距離を稼げます。
特に3歳後半になると歌の威力が実感できます。もちろん歌を聞かせるのも効き目があります。それも単調で単純で歌いやすい歌ほどいいです。私の経験だと、合いの手の入るような民謡。例えば『ハイサおじさん』のような単純でテンポの良い曲が、わかりやすくて喜ばれます。
以上、7つのコツを述べてみました。
つづく。
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