私が料理を作っていると、じーっと見ています。しばらくすると見てるだけではなくて、料理の真似事をします。タマネギの皮をむいたり、とうもろこしの皮をむいたりします。食器も洗うようになりましたし、洗った食器を拭くようにもなりました。はっきり言って邪魔ではあるのですが、邪険にするわけにもいきません。
あれは息子が2歳になったばかりの頃でした。油性マジックペンで壁に落書きをしたことがあったのです。当然のことながら私は激怒しました。そして息子は二度と油性マジックペンを持たなくなりました。ところがです。これが後々まで、悪い影響を残したのです。鉛筆や色鉛筆で、お絵かきをしない子供になってしまったんです。 3歳になって幼稚園に入って、みんなでお絵かきをする時も、息子だけクレヨンや色鉛筆を持ちたがらないんですね。これは私が、壁の落書きを強く叱ったために起きた現象だと思われます。
どんな野生動物も、子供の頃に強く叱られると、叱られたことに対して非常に警戒心を持ちます。そのように、なってないと、すぐに天敵に殺されてしまうからです。これを進化的適応と言います。親にきつく叱られると、脳の1部が縮小して警戒心が強くなります。叱られない場合は、脳が発達して好奇心が強くなります。しかし警戒心がなくて好奇心ばかりが強くなれば、あっという間に天敵に殺されてしまいます。そういう意味では、人間の子供は、文明と大人たちに守られているので、警戒心よりも好奇心の方が発達する環境にありますから、他の動物に比べて脳が大きく育つ環境下にあるわけです。
にもかかわらず、必要以上に厳しく子供に接してしまうと、好奇心が育たず、警戒心ばかりが強くなってしまい脳が萎縮してしまいます。その代表的な失敗例が、私が行った「壁に落書きした息子を強く叱った」行為による影響と思われる息子のお絵かき拒絶です。
こういう結果になる事は、知識として知っていたし、さんざん勉強してわかっていたにもかかわらず、私はやってしまいました。客室が油性マジックペンで汚されたり、 30万円以上もするソファーを落書きされてしまったりして、頭に血が上っていちど激怒してしまいました。
その後遺症は、想像を絶します。
息子は積極的に絵や字をかかなくなってしまった。
そのような苦い経験があったので、 3歳児の息子が、親の真似をしだしたら、できるだけそれを褒めるようにしました。一緒に料理を作ったり、一緒に掃除をしたり、一緒にベッドメイクをしたり、一緒に雪かきをしました。もちろん邪魔ではあるのですが、決して邪険にはしません。できないのです。そんな事したら、警戒心を持ってしまい二度と雪かきをしなくなるでしょう。
こういう事は、私たち人間よりも野生動物の方がよく分かっているようです。山猫・ライオン・ヒョウ・狼といった動物たちが、子育てしているときに彼らは滅多に子供たちを叱りません。じゃれて噛み付いてきても我慢しています。そこで叱ってしまったら、狩りのできない出来損ないの子供になってしまうからです。叱る時は、よく考えて叱っています。そして叱られた子供は、警戒心を持って、間違いを犯さないようにします。そうしないと、天敵に殺されてしまうからです。
もちろん野生動物の子供たちも親を見て学習します。見よう見まねで狩りを覚えていきます。これは人間の3歳児でも一緒のようで、息子は本当に親の真似をします。お客さんが帰って掃除を始めると、後追いのように、親の後ろにくっついてきて、親のやることを見ています。そして見よう見まねでゴミを集めたりベッドメイクをします。正直言って邪魔でしょうがないのですが、根気強く教えていけば、ある程度できるようになってきます。そのうちに
「料理をしたい」
と言い出します。とはいうものの、お客さんの料理に参加させるわけにはいきませんから、まかない料理を一緒に作ったり、おやつを一緒に作ったりします。そして、料理の取り分けも「自分でやる」と言い出して、最後には、私たち親の分まで、取り分けるようになって、親の皿にいたるまで自分で盛り付けるようになります。しかも公平に盛りつけるようになってきた。
こういう事は、 2歳児の頃にはなかった。 2歳児の頃はすべてが受け身でした。肉は切ってもらわないと食べなかったし、食事も取り分けてもらわないと食べようとしませんでした。でも3歳児になると、大人たちをじっと観察するようになり、積極的に大人の真似をするようになりました。そして、すべて自分でやるようになり、料理の取り分けや、盛りつけまでしたがるようになる。
もちろん親のお手伝いをするようになってきている。
親が働いていると、それを手伝おうとする。
何か役立ちたがってがんばり出す。
こうなると本当に可愛いものです。
子犬が可愛いという意味でのかわいさではなくて、
日々成長していく姿が、頼もしく見えるかわいさです。
話は変わりますが、今年は大変な異常気象です。 2月の半ばに春一番が吹くと思えば、翌日には氷点下15度まで寒くなることもあります。 1週間前の北軽井沢は、 5月とも思えるような暖かい日が続き、雨さえも降り続けました。当然のことながら雪解け水が庭一面を覆ったのですが、その後、すぐに寒気に見舞われてしまい、玄関から駐車情までスケートリンク上のように凍ってしまいました。その結果、つるんつるんになってしまって、危なくてしょうがない。愛犬コロさえ滑って転んでしまうくらいですから、お客さんの出入りも非常な危険な状態になってしまいました。
まずいことに週末には、4歳から1歳の幼児たちが10人近く泊まりに来ることになっていました。小さな幼児たちが、つるんつるんに凍ってしまってスケートリンクのようになっている駐車場や玄関前で転んで怪我されても困るので、スケートリンクのような駐車場の氷をツルハシで砕き、それを手押し車に乗せて森の中に捨てる作業を5日間かけて行っていました。
そこに息子が幼稚園から帰ってくるわけですが、息子は家に入ろうとはせずに私の真似をします。私がツルハシで砕いた氷の塊を手押し車に乗せてくれます。そして一緒に手押し車を押しながら森の中に氷のかけらを捨てに行きます。幼児連れのお客さんのために、 3歳の息子が、黙々と雪かきをしたり氷を運んだりするわけです。それも毎日です。
ありがたかった。
目頭が熱くなるほどうれしかった。
と同時に、本当にいとおしくなってしまった。
しかし、息子は道徳心があって親の手伝いをしているわけではないんですよね。楽しそうに遊んでるだけなんですよね。本能に従って親の真似をしているだけなんです。ミラーニューロン(ものまね細胞)が働いて真似をしたくなってしまう。2歳児から3歳児にはそういうところがあるんです。私はそういう性質を利用して、息子に小学校低学年の漢字を全部覚えさせています。ひらがのもカタカナも九九も都道府県も覚えさせています。といっても勉強させているわけではありません。お風呂場で、私が漢字のポスターを読み上げると、息子が真似をする。ただそれだけの事をしているだけなんです。
つまり、黙々と雪かきをしたり氷を運んだりする行為も、息子にとっては遊びの1部でしかないわけです。親の真似が、子供にとっての遊びの1部なわけです。もちろん今日も、私がツルハシで砕いた大きな氷を手押し車にのせて、せっせと森に捨てていました。楽しそうに捨てていました。幸せというものがあるとしたら、その瞬間を一緒に親子で共有している時間かもしれません。いや、全てが終わってスヤスヤ眠っている息子の寝顔をながめている瞬間かもしれません。
つづく。
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邪険にしちゃダメと分かってるんですが、どうしても急いでたりすると遂…「もお(怒)あっち行ってて!邪魔」と言ってしまうんですよね。
うちは2人して電車の図鑑やら虫の絵本やらを台所に持って来て、私の足元で広げて「これなぁに?」だったりオモチャ持って来て遊び出したりコーラ飲み出したり(+_+)
「危ないからチョロチョロしないで!お鍋撒けたらアンタ達大火傷だよ!頼むからアッチ行ってて!」と言って、少しは効いたかなと思ったのも束の間で(T_T)ヒータンが来て、ひっくり返ってゴロゴロ遊んでるし(-_-;)台所から追い出すのも一苦労でなかなか進まずイライラ。
ノンタンが「ママ〜そんな事言わないで。」何て言うので、アッ!イケないなと思いシンミリしたり。お風呂入って上がる時に1〜10まで数えて上がる様にしてるんです。ノンタンに言って貰うんですが数字がトビトビだったりチャンと言えたり…。入りながら覚えも良いですね。
うちは…お風呂から上がったらリビングが酷い事になってます(T_T)
大人用と子供用の薬を入れてる棚が有るんです。私がお風呂に入ってる間にノンタンが扉を開けて、しまって有る薬やお熱取ろうねシートを箱から全部出して中身が出せないので台所へ行ってハサミで切り刻んで中身出して床に撒き散らし…
トローチを袋から出してポリポリ食べて(+_+)
体温計をケースから全部出して放り投げ…粉末の整腸剤の瓶の蓋を開けて舐めたのか、中身が固まっており(T_T)
お風呂!と呼んで来たと思ったら「ママ〜トローチ美味しいね!」と言ってるので、ん?と思ったんです。上がって行ったらビックリ…荒らされてました。「飲んで貰っちゃ困る薬も有るんだから勝手に開けて出しちゃダメ!開けるな!!出すな!!(怒)」と2人共にブチ怒りましたよ(-_-;)言ってる側からまた出して荒らして(T_T)
流石にノンタンも、また開けたら怒られると分かってくれた様で(汗)「お薬は開けちゃダメなんだよね〜」と言って開けなくなりヒータンとプラレールで遊んで待っててくれる様になりました。
健くんは誰も居ない間に開けて全部出しちゃったり…何て事しますか?
>しまって有る薬やお熱取ろうねシートを箱から
>全部出して中身が出せないので台所へ行って
>ハサミで切り刻んで中身出して床に撒き散らし…
>トローチを袋から出してポリポリ食べて(+_+)
>体温計をケースから全部出して放り投げ…
>粉末の整腸剤の瓶の蓋を開けて舐めたのか、中身が固まっており(T_T)
なるほど、なるほど。
どこでもいっしょですね。
うちの息子も同じような事をやっています。
車を1時間も走らせて病院に行って、やっともらってきたお薬を全ておじゃんにしたこともありました。クレジットカードを捨てられたこともあります。特に強かったのはストーブの中に、大切なカードを挿し込まれたことです。さいわい、事件を目撃したからよかったものを、目撃してなかったらどういうことになっていたのかと思うと寒気がします。私の財布の中から、すべてのカードと領収書を取り出して、テーブルに並べられたこともありました。きっと経理の様子を見ていて、自分も同じようなことをしたかったんでしょうね。
薬・財布・包丁なんかは、勝手にさわられたら困るので、私も必要以上に激怒します。
以前、こんなことがありました。ファンヒーターやストーブに灯油補給していた時に、予約の電話かかってきて、慌てて電話を取りに行ったことがあったんですが、帰ってきてみたら、部屋中が灯油だらけになっていたんです。灯油補給するときに、モーター付きの補給ポンプを使っていたんですが、そこのスイッチを押してしまったようです。そのため18リットルの灯油が全部、食堂にぶちまけられてしまいました。お客さんが到着する1時間前のことです。青ざめた私は、大急ぎでバスタオルを集めて灯油まみれの部屋(食堂)をお掃除しました。 1枚1,000円近くする40枚以上のバスタオルが廃棄処分(ぞうきん)になってしまったのには、ショックで、怒る気力も出てこなく、愕然としたものです。