で、こども園の遠足をどこにするかPTAで決めたわけですが、昨年度と同じ場所に決まってしまいました。晴れなら茶臼山恐竜公園・雨なら群馬サファリパーク。で、青ざめたのが嫁さんです。同じ場所に行くなら行きたくないわけです。去年は雨だったので群馬サファリパークに遠足に行ったわけですが、嫁さんは、群馬サファリパークに何度も遊びに行っているので、あまり気が進まない。それならば、私が行ったことがないので、息子の遠足に父親の私がついて行こうということになりました。
実は私は、子供の頃から動物博士でした。今風に言えば、動物オタクです。小さい頃、小学校にある動物関係の本は全部読破。動物図鑑も全て記憶し、300種類以上の動物の生態を解説することができてました。 東京にいた頃は、毎週上野動物園に通っていたこともありました。スカパーに加入し、アニマルプラネット、ナショナル ジオグラフィック、ディスカバリーチャンネルなどをかたっぱしから録画して見まくるのはもちろんのこと、動物系テレビ番組の大半は録画保存し、それを見るのを楽しみというか、生きがいにしています。なので宿オープンしたときは、この特技を生かして、自然ガイドやネーチャーウォッチングをおこない、大勢のお客さんを集客しています。息子が生まれた時は犬を飼うことにより両者を比較して、その成長記録と比較をこのブログにアップし続けたりもしました。
なので、雨になって群馬サファリパークにならないかなあ・・・とたのしみにしていたものです。で、結果は晴天。晴れなら茶臼山恐竜公園。一挙にテンションが落ちたんですが、ネットで茶臼山恐竜公園を調べてみたら、茶臼山恐竜公園のそばには、茶臼山動物園があって、それも見学できるというではないですか。
「こいつはいい」
思い直した私は、大急ぎで弁当作って息子と一緒に出発。
幼稚園から観光バスに乗って 2時間ほどかけて茶臼山恐竜公園に到着。動物園を見学する時間は、たったの1時間しかありません。本当ならば、 6時間ぐらいじっくり見ながら、息子に動物に関する解説をしたかったのですが、団体行動の遠足なのでそこは仕方ありません。まず到着すると、最初にライオンに向かいました。
雄ライオンの『キュウゾウ』が眠っていました。ここで動物園の解説を息子に行います。実は動物園で動物を見るポイントがあります。動物の檻です。写真をみてわかるように、ライオンの檻は、たいして頑丈に作られていません。これはラインの握力が弱いからです。それに対してオランウータンの檻を見てみると、ものすごい頑丈に作られています。
このぐらい頑丈でないと、オランウータンは、やすやすと檻を破って逃げ出してしまいます。チンパンジーの檻もそうです。非常に頑丈な鉄格子でできています。しかもよく見ると鉄格子のペンキが剥げていますが、これはチンパンジーがオランウータンが強い圧力で握ったためにできた禿げあとなんですね。
トラの檻も、たいして頑丈ではありません。このように動物によって、展示環境が違っていますので、その違いによって動物の生態を知ることができるのが、動物園の面白いところです。
逆に言うと、動物たちの展示の仕方によって、動物園の考え方があります。この茶臼山動物園は、旭山動物園の影響を受けているのか、行動展示で私たちをたのしませてくれます。行動展示とは、動物の生態や能力を自然に誘発させて見せるように工夫した展示のことで、その代表例が、ジェフロイクモザルであり、レッサーパンダの展示です。
ジェフロイクモザルの長いしっぽで有名ですが、このサルのシッポは、物を持ったり、木にぶらさがったりすることのでき、ほとんど手を使うのと同じように器用にシッポをつかえます。これをジェフロイクモザルの「第五の手」というのですが、行動展示にぴったりの動物なんですね。で、器用にシッポを使ってくれるんです。この動物園では。なにしろ頭がいいサルなので、声をかけると芸をみせてくれたりします。逆に言うと大人になるまで時間のかかるサルです。
このジェフロイクモザルの檻にきたとき、旭山動物園のカピバラ・クモザル事故を思い出しました。旭山動物園では、カピバラとクモザルを一緒に飼っていたというか、これを異種動物の混合展示と言います。
カピバラは、水辺に生息する動物で、クモザルは木の上で生息し滅多に降りてこないサルです。同一の檻で共存できるはずだったのですが、 頭のいいクモザルが、ロープにぶら下がりカピバラにちょっかいを出したりするようになり、カピバラの餌(牧草)を横取りするようになり、それがカピバラにストレスを与えてクモザルを攻撃して死なせるという事件が、旭山動物園でおこり、当時大ニュースになりました。
旭山動物園が偉かったのは、このような事件を全く隠さず、全て公表した上で、その後もカピバラ・クモザルの異種動物の混合展示を続けたことです。もともとカピバラは、大人しい動物で、クモザルがどんなにチョッカイだしても、じーっとしているか、静かに移動するかのどちらかで、よほど不運な出会い頭があったのでしょう。当時は、客の投げ与えた食物をカピバラとクモザルが奪い合って起きた事故ではないかとも言われていました。残念ながら茶臼山動物園では、カピバラ・クモザルの異種動物の混合展示をしてませんでした。この動物園は、少し攻めが足りないと思いましたね。
次にキリン舎。
ここも行動展示。
隣にシマウマがいたりします。
この動物園のすごいところは、キリンの運動場が大きいことです。写真を見ればありますがキリンの家も素晴らしい。屋根近くに風通しの良い窓があり、そこが開いていますね。キリンのことをよく考えて作られています。寝るときは、立ったまま寝るので、キリンの家は背丈が高いだけで横幅はありません。これだけ首が長いのに首の骨は人間と同じ七つであることは有名です。
また、らくだのように何ヶ月も水を飲まなくても生きていられるために、キリン舎には派手な水飲み場もありません。また、牛のように長時間反芻活動を行います。鳴き声もウシと同じように「モー」と鳴くらしいのですが、私は聞いたことがありません。ちなみにキリンはエサ代がかかる動物です。ライオンなんかの方が、かかりそうな気もしますが、ライオンだと猟友会が害獣駆除でしとめた鹿が寄贈されたりするので、そういうルートがある動物園だと案外かかってないのですね。
そう言えば、キリンは、小鳥なんかの小動物を食べるらしい。自然界ではウサギやネズミなどの小型草食動物を捕食するそうです。『キリン ぼくはおちゃめなちびっ子キリン(徳江和代)』によると、多摩動物公園のキリンたちがトンカツや鳩を食べるので、高タンパクの飼料に切り替えると、めったに肉食しなくなったという。同書には、当時話題をまいた鳩をくわえた写真や、鳩の背後で舌を伸ばす写真が掲載されているらしい。 学研の動物図鑑の古い版には鳩を食べるキリンの写真が掲載されています。
では、キリンは何を食べるかというと、これがよく分かってないのですね。アフリカではアカシアなどのマメ科植物の木の葉を食べているんですが、トゲだらけで指に刺さると、とても痛いのに、それをペロリとたべてしまう。しかも大量のタンニンが含まれていて、苦くて食べられたものじゃないのに美味しそうに食べてしまう。他の食べやすそうな木をそばにおいても食べに行く。驚くべきは、松ヤニだらけのアカマツで、これもキリンの大好物。これを食べられる動物は、キリンぐらいしかないかもしれません。とにかく悪舌なのがキリン。不思議なくらい悪舌なんですよ。もっと驚くのがサボテンです。あのトゲトゲだらけのサボテンをキリンは大好物にしている。私は、そんなキリンが大好きで、一日中みていても厭きないです。しかし、今日は団体行動の遠足の日。一時間で動物園を見終わらないといけない。
つづく。
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