もちろんそれらの雑誌すべてを買ってもらえる家などありませんが、そこは友達同士で見せ合いっこしていました。お父さんが出稼ぎに出ている農家の息子さん内では、お金に余裕があったようででいくらでも少年雑誌を買ってもらえてましたから、それを目当てに、よく遊びに行ったものです。
昭和40年代は、出稼ぎ農家の方が、一般的なサラリーマンよりも裕福だった時代でもありました。お父さんが出稼ぎから帰ってくると、ものすごく高価なおもちゃを買ってもらっていました。そういう家庭のお子さんたちは、分厚い付録が大量に付いている、少年雑誌を片っ端から買ってもらえてた。それを恨めしそうに、サラリーマンの子供たちは眺めていた。
付録といっても、当時は法律上の制限があって、紙以外のものを付録にすることができませんでしたから、付録はすべて紙製品です。紙を組み立てて貯金箱を作ったり、紙の東京タワーを作ったりしたものですが、紙でできているというのが、ミソなんですね。廃棄するのが非常に簡単なんです。
実はうちの息子には、こういった幼児雑誌を買ってあげてなかった。うちの嫁さんは、物が増えるのを極端に嫌うので、息子が3歳くらいまで、一切買わなかった。私もまあいいかな・・・と、最初は思っていたんですが、何か心の中がもやもやする。そのモヤモヤが、最初のうちは、なんだかわからなかったんです。
で、息子が4歳ぐらいになった頃、そのモヤモヤの原因がわかってきた。自分が小さい頃に、親から幼児雑誌を買ってもらった時に、すごく嬉しかったことを思い出してしまった。自分が子供の頃に、本当に嬉しかったことを、自分の息子に体験させてあげてない。それに気がついてしまったんです。
で、息子に幼児雑誌を買ってあげて、その付録を親子で一緒に組み立ててみると、喜ぶこと喜ぶこと。 5歳ぐらいの子供だと、ものを作るという作業が大好きなんですね。それも、単なる紙から精巧なロボットが完成したりすることが衝撃的なようです。
その上、今は昔と違って、付録に紙以外のもの(例えばモーターなど)をつけることができるようになったために、とんでもない付録がついる。紙で出来た付録を組み立てて、それが回転寿司になったり、コインゲームになったり、エアーホッケーゲームになったり、クレーンゲームになったり、ボーリングゲームになったり、ガチャポンになったりする。これで夢中にならない幼稚園児がいるわけがありません。
しかし、こんなに凄いのに、幼児雑誌が売れてる気配がないんですね。出ていれば、小学館の小学2年生から小学6年生まで廃刊になるわけがないからです。昔大量にあった、『冒険王』などの月刊少年雑誌もすべて廃刊になっていますから、やはり売れてる気配がない。
逆に売れてるのは、進研ゼミの『こどもチャレンジ』のような通信教育。教育熱心な親が、子供に読ませたい通信教育。幼児の頭を良くすることに特化したような教材ばかりが売れています。そして既に完成された教育教材を幼児に渡すわけです。作るという作業のないもの。完成されたプラスチックの教育教材ばかり。
どうやら紙で出来た付録で工作するという昔ながらのものは、時代遅れなんでしょうかね。
つづく。
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