もちろんうちの宿には、台風の被害はありません。ブログで書いたように三年がかりで庭の土壌改良をしたからです。庭を五十センチほど掘り石と砂利を置いた結果、水はけが良くなり、豪雨にびくともしませんでした。県道からうちの宿に入る村道も大丈夫でした。ここも私が三年がかりで土壌改良したので宿そのものには全く被害はありません。なので、翌日、村内を見回るまでは「今回の台風は大したことなかったな」と思っていました。
しかし、それは私の勘違いで、嬬恋村は壊滅的なダメージを受けていました。大半の村道が洪水に押し流され亀裂が入って、車は通れなくなっていた。県道も土砂で埋まっていました。村道が川となって砂利がえぐられて、その土砂が県道に堆積したために、徐行しないと車が通れなくなっていました。側溝も大きく削られ、県道のアスファルトの下の部分が空洞になり、その上をトラックが通ったら陥没しかねない状態でした。さすがに国道一四六号・国道十八号は大丈夫だったのですが、道路は泥だらけ。他の国道の状態は、分からない状態でした。
これでは、お客さんを入れることができないので、大急ぎで道路整備のボランティア。スコップと一輪車を担いで近所の道路を整備していると、近所の不動産屋・工務店・農家の人たちも各自がブルドーザーなどで整備している。とにかく道路を整備しないと流通がストップしてしまい日常生活に支障が出る。政府や自治体が動くのを待っていたらダメ。なのでブログなどでは「なんともない」と書きながら、毎日のように土方作業を続行。
こうして次から次へと道路が整備されていきました。この辺は工務店やキャベツ農家が多いので、ブルやトラクターがいっぱいあります。普通の住人も重機・軽トラ・除雪機用ブルを持っている人も多い。私も除雪機用ブルを持っていますので、それが大活躍。こうしてアッという間に道路が整備されていったのですが、問題は落下した橋やアスファルトが剥がれて亀裂の入った道路。こればかりは自治体にやってもらわないとならない。また、村内の被害状況がわからない。どの道路が通れるか、どの道路が通れないかわからない。
そんな時に大活躍したのが嬬恋村観光協会。彼らが村内の道路状況を逐一調査してホームページで次々とアップしてくれました。実は嬬恋村観光協会には、都会から来た若者たちの実行部隊がいます。いずれは都会に去っていく彼らが、道路をくまなく調査して次々とインターネットで発表ました。これには大助かり。この情報で、お客さんを宿まで誘導できることが分かってきましたし、どこに人手が足りないかも分かってきた。
嬬恋村における台風十九号における雨量は累計四百八十五ミリを記録。吾妻川は各所で氾濫し、川幅を広げ、護岸ブロックを破壊、崖を崩し、建物や車両を流失させていました。多くの急傾斜地で崩落と土砂流出が起こり、他地域への移動ができなくなっていました。北軽井沢ブルーベリーYGHにも別荘地から避難民が泊まりに来ました。別荘のトイレが使用不可能になっていたからです。あまりの豪雨で、浄化槽があふれ出してトイレが流れなくなっていた。そういう家屋敷が多かった。
幸いうちの浄化槽は大型だったのと、営業開始以来、二十年にわたって四回にわたる排水のための改良を行ない、排水パイプを四倍に増やしており、そのうえに何度か水酸化ナトリウムの溶解能力を利用して配管清掃を行なっていたのでいたために十九号の台風の豪雨でも持ちこたえていました。
不思議な事に停電は、ほとんどなかった。軽井沢や長野県は、酷い停電で冷凍庫の食材が全滅したというのに嬬恋村を含む群馬県では、大した停電がおきなかった。後で分かったことですが、八ッ場ダムのおかげで、下流地域が安全だったために停電被害が最小限だったと聞きました。
結果として群馬県は、嬬恋村を除いて台風の被害は、ほとんど無かったのに、軽井沢を含む長野県の被害は酷かった。私は、台風直後に六歳の息子を含む家族で北アルプスの奥穂高に登っているのですが、その時に高速道路からみた長野県の平野部分の大半は水没していました。(嬬恋村以外の)群馬県の被害が大きくなかったので、余計に長野県の悲惨な状況に対してショックを受けました。
つづく。
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