2019年は、これからピークを迎える時期でした。
この素晴らしい景色にうっとりしていると、携帯電話に電話がかかってきました。
「はい、北軽井沢ブルーベリーYGHです」
「嬬恋村がとんでもないことになってるとニュースで見まして・・」
「すいません。今、旅行で上高地にいまして」
「え?」
「ニュース見てないんで分からないんですが、とりあえず、うちの宿はなんともなかったので、旅行に出かけている最中なんです」
さすがに北アルプスの奥穂高に登っている最中とは言えませんでした。
辛うじて出た単語が「上高地」でした。
「おたくは何とも無かったんですか?」
「はい、うちの宿はなんともなかったです。御近所さんの避難場所になったくらいです。なので予定通りに旅行してます。ただ、村全体のことはよく分からないし、ニュースも見てないので、帰り次第、よく調べた上で、こちらから電話さし上げるめということで、よろしいですか?」
「はい、お願いいたします」
こんな電話が何本かありましたが、宿屋がのんきに旅行していると聞いて安心したのか、相手はすぐに電話を切ってしまいます。そのうち電話もかかってこなくなりました。それにしても凄い紅葉です。2019年は、やたらと台風が多かったので、暖かい空気が日本列島に流れ込み続けた結果、紅葉が2週間くらい遅れているのかもしれません。
十一時頃、涸沢ヒュッテに到着。
残念ながら売店は閉まっていました。
台風19号の猛威を考えて、早めに閉めてしまったらしい。
それ以前に人間がいない。
登山客がいない。
この紅葉シーズンに人がいない。
涸沢ヒュッテに登山客がいない。
いったい、どうなっているのだろうか?
と、首を傾げたものですが、その理由は後でわかります。
台風19号の猛威によって、ほとんど全ての登山用観光バスが廃止になったらしい。
つまり交通機関がストップしたとのこと。
どーりで人がいないわけです。
まあ、そんなことはどうでもいいとして、私たちは、十年に一回あるかどうかの紅葉の豊作に感動しつつもザイテングラード(岩尾根)を登りました。ザイテングラートとは、涸沢2600メートル付近から奥穂高(3190メートル)にのびるコースで、岩・ハシゴ・鎖場がある危険な尾根です。毎年、落石などで滑落死亡する人が絶えず、登山道なのに遭難する人も多いところで有名です。過去には息子と同じ小学一年生が亡くなっています。なので、慎重に慎重をきして登っていきました。
三時間かけて穂高岳山荘に到着。
ピークシーズンにもかかわらず穂高岳山荘の宿泊客は、たったの二十八名。
例年なら三百名以上のお客さんでごった返している山小屋なのに。
写真をみてわかるとおり、ガラガラの食堂。
ちなみに宿泊客の半分が外国人で、あとの半分が日本人。日本人は、みんな宿屋などの観光業者だったのには笑いました。みんな私と目的は同じで、長野県にお金を落とすためにやってきたと言う。隣の席に座っていた人は、新潟の宿屋だったし、知り合った人の中には、ゲストハウスのオーナー・旅館のオーナーなどもいました。彼らは、ガラガラの山小屋を支援しよう! と、珈琲やビールを何杯もお代わりしていました。私は酒を控えている身なので、そこには参加しませんでしたが。
夜、外にでてみると満天の星空。
しばし、親子で星をみとれていました。
そして翌日。
御来光を仰ぎました。
そして、山小屋の朝食。
朴葉味噌がでました。
私たち関東の人間からすると、涸沢・穂高連峰というのは、長野県のイメージがあるのですが、穂高の山小屋は、岐阜県なんですよね。天気予報も岐阜県だし、山小屋の料理も岐阜県。だから朝食に朴葉味噌がでたりする。昔、この山小屋に泊まったとき、山小屋からイメージビデオをプレゼントしてもらい郵送してもらったんですが、その時の宛先は岐阜県でした。私には、北アルプスイコール長野県というイメージがあるんですが、文化圏・天気予報は岐阜県でしたね。
それはさておき、朝食後に下山開始。本当は、奥穂高・前穂高と縦走し、吊り尾根を経由して岳沢ヒュッテに泊まる予定だったのですが、テレビ局が、嬬恋村のニュースを流したらしく、御客様から携帯電話に台風19号の被害についての問い合わせが、かかってくるので、あと一泊する予定を切り上げて、早々に下山することにしました。
山で一番事故が起きるのが下山の時です。
細心の注意を払いながら下山を開始しました。
一日で下山し、嬬恋村に帰らなければ。
そして、嬬恋村における台風19号の被害を調べなければ・・・・。
涸沢への下山。
やはり紅葉は美しいですね。
惚れ惚れします。
これだから涸沢からの山登りはやめられない。
この紅葉なら縦走を断念する価値は十分にある。
浅間山のカラ松・四阿山のダケカンバ・白根山のナナカマドも美しいのですが、それとは違う美しさが涸沢にあります。
あと、北アルプスの山容がいい。
あの山容にナナカマドの紅葉の取り合わせが良い。
これらの紅葉に後ろ髪を引かれるように下山しなければならないというのが残念。
徳沢園でソフトクリームを食べる。最高に美味しい。
息子は真っ黒に日焼けしていました。
学校に登校したら先生に突っ込まれるかもしれない。
結局、16時に上高地バスターミナルに到着。
タクシーで沢渡駐車場に向かい、夜遅く嬬恋村に到着しました。
つづく。
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