この読み聞かせの結果、息子のコミュニケーション能力は大幅に向上しました。二学期になると担任の先生から、見違えるよう社交的になったと報告がありました。読書・音読・読み聞かせによって、対人関係がすこぶるよくなっていった。相変わらず「書く」という作業は苦手だったけれど、コミュニケーション能力は確実にレベルアップしていた。
しかし、一番驚いたのは、息子が一年生の夏山休みに買い物をしている時に何気なく言った言葉だった。スーパーで冷食とドライアイスを買って、それを保冷箱に入れた時に、息子はドライアイスを素手で触ろうとしたので「手で触っちゃダメ」と注意した。
「どうして?」
「冷たすぎて、やけど(凍傷)するから」
「ドライアイスは、マイナス78.5度だもんね」
「え?」
私は耳を疑った。
六歳の子供が、どうしてドライアイスの温度を知っているのか?
というか、いつマイナスの概念を知り得たのか?
習ってないはずの小数点の概念を何故理解しているのか?
あまりにも驚いたので問いただしてみると
『ニラムおじさんの比べてみよう【5】熱い−冷たい(農文協)』
という絵本で知ったという。
そういえば、そんな絵本をヤフオクで、どっさり買ったことを思い出し、それらの絵本を開いてみて驚いた。漢字にはルビがついている。文字も大きいから六歳の子供でも読もうと思えば読めなくもないけれど、内容は中学生レベル。空気・液体・電流・炭酸ガス・蒸気・起源・引力・液体ヘリウムといった難しい用語がザクザクでてくる。それを息子が読んで頭に入れた上に、三歳児のお子さんに読み聞かせていたわけだ。
この一件で私は、今まで絵本を少しばかり馬鹿にしていたことに気づいてしまった。今時の絵本は、すごく計算された内容になっていて、子供の興味をグイグイひっぱるようになっている。だから六歳の子供にドライアイスの温度をインプットさせるパワーを持っていた。
というよりドライアイスを教材に使ったところがにくい。
ドライアイスならスーパーなどで身近にあるからだ。
これが液体窒素だったら息子の興味を引かなかったに違いない。
そういう意味で絵本作家の嗅覚は、凄いと言えます。
こういった宿題は、冬休みにも出て、息子は十五日間に七千ページも読んでいる。しかも百ページもある児童書を一日に何冊も読んでる。いつのまにか無類の読書好きになってしまっている。
また、うちの宿には子供向けの本が五百冊以上あるので本には困らなかった。それを片っ端から読むのだけれど、私が読むのではないかと想定して買った本を読むことは無く、
「こんなもの読むかなあ?」
と半信半疑で買った本の方をよくよむ。例えば、料理のレシピ、掃除の本、動物の本、科学の本を読んだりする。これは、常日頃から宿屋の仕事を見ているからなのかもしれない。
あと息子が読書好きになった理由に心当たりがあります。息子が幼稚園の年長さんだった時、インフルエンザにかかってしまった。しかし、生まれながらにして頑丈な息子は、いつものごとく一晩でケロリと直ってしまう。けれどインフルエンザだと一週間隔離しなければならない。仕方がないので、一週間にわたって歴代のドラえもんの映画を三十本ほど見せると息子のやつはドラえもんにはまってしまった。
実は、息子はテレビを見ないしゲームもしない。親の私がテレビを見ないので息子も見ない。それがインフルエンザで一週間ほど個室に隔離され、ドラえもんの映画を三十本ほど見させられたので、衝撃を受けてしまったらしい。ドラえもんは、テレビシリーズと映画では全く違っています。ドラえもんの映画は質が高くて幼児が見たら感動するような作りになっている。それでもってテレビに免疫が無かった息子はすっかりドラえもんにはまってしまった。
なのでさらにドラえもんの漫画を購入して、一週間にわたって見せまくりました。漫画は、百冊以上ありましたが、むさぼるように読んでいました。難しい漢字がたくさんあったのですが、ルビがあったので、意味がわからないということはなかったようです。部屋の中からドラえもんの漫画に笑い転げる息子の声が響いてきました。
で、治癒してからも、ドラえもんの漫画を読み続けるようになり、しまいには、ドラえもんの学習漫画まで読むようになりました。ドラえもんの算数おもしろ攻略シリーズの足し算引き算、かけ算わり算、文章題、グラフ、分数・小数、面積・体積などや、ドラえもんの国語おもしろ攻略シリーズの漢字、文法、表現、四字熟語、作文などから、ドラえもんの社会科おもしろ攻略シリーズの都道府県、政治、日本史、世界史、地図、白地図など。ドラえもんの理科おもしろ攻略シリーズの生物、天体、力・電気・音・光、自由研究、理科実験など、百近くの難しい学習漫画まで読むようになりました。
中には、楽典を教えるような漫画・漢和辞典のドラえもん学習漫画までありましたが、そういうものまで読んでしまう。中身を理解しているとは、とても思えないのだけれど、やはり読んでしまう。何度も何度も繰り返し読んでしまう。
トイレの中でも読み、風呂に入る前の脱衣場でも読み、親より早く起きて読み、学校から帰って読む。車で移動中でも読む。とにかく読みまくるので生活が乱れる。目も悪くなるし、姿勢も悪くなる。これはマズイと思った私は、ブレーキをかけるべく色々な手段をとったのですが、なかなかうまくいかない。
眠ったように見せて、こっそり起き上がり、親の見てないところで読書をしだす。そのために夜更かしして朝、起きられない。なので寝室から本を撤去して電気のブレーカーを切って強制的に寝かせようとするのですが、息子も悪知恵が働いて色々逃げ道を探す。
仕方が無いので、読書の時間というものを正式に決めることにしました。寝る前の三十分だけは、自由に何でも読めることにすると、そのルーティーンに従うようになる。基本的に小さな子供は、ルーティーン(決まった手順)、つまりマイルールを持つことが大好きなので、これで一件落着です。
つづく。
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