まだ小学生の主人公は、みんなに虐められていました。家も貧乏で、みんなが祭りに遊びに行ってるのに、印刷所でアルバイトしないと生活できない。注文したはずの牛乳も届いてないし、牛乳屋の人も無愛想。鬱になりかかるほど惨めな気分の主人公は、気がつくと、いつのまにか大好きな親友と銀河鉄道に乗っている。そして旅をしている・・・という話なんですが、以下は、ネタバレです。
実は、この列車、天国行きの列車なんです。
みんな切符をもっている。
罪深い人は、すぐにおりる。
徳の高い人は、長く乗っていられるという列車。
そして、みんな行き先が書いてある切符を持っている。
で、車掌がやってきて、
「切符を拝見します」
と言ってくる。みんな素直に切符を出す。
ところが主人公は、切符を買った覚えが無い。「やばい!」と思いつつ、ポケットをまさぐると、何か紙が入っていたので、やけくそで「エイ」と車掌に出してしまうんですが、車掌は、その紙切れに驚いて
「どこまもでも行ける切符だ!」
すると、他の乗客も
「本当だ!」
「本当に、どこまでも行ける切符だ」
「その気になれば、本当の天上にさえいれる切符だ」
と驚くわけです。
主人公は、ホッとして、親友と「僕たち、どこまでも一緒に行こうね」と約束するんですが、親友には降りる駅が決まっていた。しかも主人公も、どこまでも行けなかった。気がつくと、主人公は、夜空の野原で寝ていたわけです。そして主人公は、親友の死を知るわけです。
親友は、溺れた友人を助けて死んでしまっていた。自己犠牲によって他人を救ったわけなんですが、そのために銀河鉄道では、行き先の書いてある切符しかもてなかった。ただし、誰よりも長く列車に乗れている。けれど、主人公と一緒に旅はできなかった。
では主人公は?
まだ旅の途中なんです。
「どこまでも行ける切符」
というのは、「生きている」ということ。つまり生きてさえいれば、本人がそのきになりさえすれば、本当に「どこまでも行ける」というわけです。つまり「どこまでも行ける切符」とは、「生きている」と同じなんですよね。これが宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』のお話です。
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