吾妻鉱山について解説します。
(万座自然情報館の展示から借用)
この企画展で、長年の『謎』が解けました。
やっと吾妻鉱山の歴史にふれることができた。
私としては、涙ものでした。
なぜか?
あれは15年くらい前でしょうか? 宿屋をはじめて5年くらいたったころ、中高年の団体さんが泊まりに来ました。私は、星空を案内し、嬬恋村の歴史や文化について解説しましたが、みんないたく感動してくれました。で、去り際に、こんなことを言ったのです。
「実は、私たち嬬恋村の出身者なんです」
「ええええええええええええええええええええええええええ?」
こりゃ、やっちまった。
嬬恋生まれの団体様に、嬬恋村を語ってしまった。
ああ、なんてこったい・・・と赤面し、落ち込んでいると、
「嬬恋村の出身と言っても、嬬恋村を全く知らないんです」
「え?」
「閉山した吾妻鉱山の者なんです」
「吾妻鉱山?」
吾妻鉱山というのは、万座ハイウエイの嬬恋牧場(愛妻の鐘)から紅葉台あたりにあった硫黄鉱山で、昭和35年の最盛期には、292戸人口1318名をこえる鉱山都市が栄えていました。昭和2年には国内第4位の硫黄鉱山となり、閉ざされた吾妻鉱山の中に吾妻小学校・吾妻中学校があり、昭和37年には小学生171名、中学生70名も就学していました。山奥の学校ということで、教員がなかなか集まらず、定数を満たさなかったこともあったという。にもかかわらず、子供たちの成績は、群馬県下でもナンバーワンだったらしい。
(広報『吾妻鉱山』より借用)
しかし、硫黄が石油から作れるようになると、硫黄鉱山からの硫黄は価格的に太刀打ちできず、昭和40年代中頃に全国的の硫黄鉱山は閉山の追い込まれた。吾妻鉱山も昭和46年5月31日閉山。そして廃墟となってしまった。
吾妻鉱山の子供たちは、全国に散り散りとなってしまったわけですが、その子供たちが中高年となって、何十年ぶりに嬬恋村で同窓会を開く・・・。といっても、吾妻鉱山は廃墟となって泊まれない。仕方が無いので、リーズナブルな宿をさがしているうちに、うちの宿をみつけ
北軽井沢ブルーベリーYGHに泊まることになった。で、北軽井沢ブルーベリーYGHに泊まってみて
「嬬恋村って、こんなところだったんですね」
と感動したわけです。
つまり彼らは、嬬恋村を知らない。
普段は狭い鉱山地区から出ることが無かったから、
そもそも嬬恋村をよく知らない。
吾妻鉱山はそれだけ辺鄙なところだった。
もちろん、昔から万座温泉はあったけれど、嬬恋村ではなく、長野県の須坂から万座温泉に通っていた。万座は嬬恋村よりも、須坂から行くところだった。現に昭和28年に(1953)須坂から万座間の定期バスが運行開始している。万座は長野県から行くところで、嬬恋村から行くところではなかった。
なので、吾妻鉱山の子供たちは、嬬恋村をよく知らなかった。吾妻鉱山だけで完結している世界なので、吾妻鉱山が彼らの世界だった。だから修学旅行ともなると一大イベントで、親も一緒についていったし、見送りも盛大なものだったらしい。親が一緒に修学旅行にいく学校なんて、全国でも吾妻鉱山くらいしかないのではないか?
(万座自然情報館の展示から借用)
で、そんな御客様を何組か受け入れているうちに、吾妻鉱山に興味をもち、自分なりに吾妻鉱山のことを調べたんですが、資料はほとんど残って無く調べようが無かったのですが、万座自然情報館が、吾妻鉱山の企画展を行ってくれて、長年の疑問点が解けました。そうだったのか!そういうことだったのか!と・・・・。
これを最初から知っていれば、子供時代を吾妻鉱山で暮らした人たちに、もっと親身になって接客できたのになあ・・・と、残念に思えてなりません。宿屋として反省しきりです。
嬬恋村の皆さん、吾妻鉱山に興味のある皆さん、今なら、万座自然情報館で吾妻鉱山のことを調べられます。こんなチャンスは、もうないかもしれない。ぜひ万座自然情報館に足を伸ばしてください! 嬬恋村にふらりと、訪れる元吾妻鉱山関係者と出会ったときに困らないためにもです。
(万座自然情報館の展示から借用)
(広報『吾妻鉱山』より借用)
(広報『吾妻鉱山』より借用)
(広報『吾妻鉱山』より借用)
(広報『吾妻鉱山』より借用)
それにしても、これらの写真をみると、胸が痛くなるのは、
良くも悪くも昭和三十年代に生まれた者のサガなのかな。
つづく。
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