うちの宿でも会員の宿泊は激減し、じゃらんネットや楽天トラベルの御客様ばかりになっていきました。そのうえ会員の高齢化が問題になっていました。50〜70歳の会員さんしか見かけなくなったのです。若い人たちは、どうせ安宿・ドミトリー(相部屋)にとまるなら、ゲストハウスにしよう・・・ということでゲストハウスに流れていきました。
その結果、既存のユースホステルまで、自社ホームページの検索ワードに『ゲストハウス』の文字を入れるようになったり、ユースホステル協会を脱退して、ゲストハウスそのものになってしまった宿もあります。かなり熱心にユースホステルに打ち込んでいた宿までゲストハウスに鞍替えしています。ユースホステル協会に所属していることにメリットを感じられなくなってしまったのでしょう。
まあ、そんなことは、どうでも良いとして、ユースホステルの御客様が高齢化していくと、深刻な問題にぶつかります。『いびき』の問題です。これが相部屋に対して究極のデメリットとなります。
若い人の中にもイビキをかく人はいるでしょうけれど、ごく少数です。けれど50歳以上となると、五人に一人はイビキをかきます。そのうえ無呼吸症状の人もいて、音も大きくて、まともに寝られないケースも多々あります。ところが意外とユースホステルのマネージャーたちや、ユースホステル協会の幹部たちは、これに気がついてません。
また、夜中に何度もトイレに起きるひともいます。老人特有のトイレが近い人がいます。これが若い人たちをユースホステルから遠ざけている原因でもあることを私は、複数の大学生から聞いています。なので、うちの宿では事前にアンケートをとって部屋割りをしたり、50歳以上の人と、それ以下の人とは同室にしないようにしていました。それでも若い人たちは、ゲストハウスに行ったまま戻ってきません。
「これは根本から変えなければダメだ」
と思った私は、息子が生まれたことをきっかけに、少しずつファミリーをターゲットにした宿に変えていき、特に幼児連れの御客様が泊まりやすい宿に変えていきました。ドミトリーも減らしてでも御家族の御客様を増やすようにしました。そして、少しずつファミリーのリピーターさんが増えていき、新型コロナウイルスが流行った今年の夏は、9割がファミリーのリピーターさんという割合になっています。ユースホステルの会員さんは、かなり少なくなっています。
しかし、ここで不思議なことがおきました。去年あたりから、少しずつ若い学生さんたちが泊まりに来てくれるようになったのです。学生さんたちは、子供の頃に家族で、うちの宿に泊まったことがあって、その時に、よい思い出があったので、今度は学生仲間をさそって泊まりに来てくれたらしいのです。
そこで思い出したのが、ユースホステルの広報をやっていた時のことです。広報では何をやってもダメだったわけですが、広報の努力は難しくても、宿による努力は決して難しくないということです。新型コロナウイルスによって、相部屋形式のユースホステル文化(ドミトリー文化)は瀕死の状態ですが、新しく違う形のユースホステル文化(個室形式を利用した新しいユースホステル文化)を作り上げれば、意外にユースホステルは再生できるのではないか?という気がしてきました。
つづく。
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歯ぎしりも問題になるみたいです。
思い出しましたが私が子供の頃の1970年台前半頃に親が家族全員ユースホステルの会員にした事がありました。
でも自営業の悲しさで家族で泊まりがけ旅行なんてしませんでしたから無駄になったようです。
余り知られて居ないのですがユースホステルでは障害者手帳(身体・療育/愛の手帳・精神)を提示すると宿泊料金600円の割引きをしてくれるところもあるそうですね。
おあきさん
今まで、宿のマネージャーは、中高年と若者の違いを良く分かってなかったのだと思います。だから善意で、世代間交流させるために同室にさせたがる。その理想は、分かるのですが、それが若者には通用しないんですよね。
私は、宿主なので、個人情報を知ってて、就活に苦戦している若者に、この中高年の御客さんと会話したら良いのにと思っていても、若者には、くたびれたオッサンとした見てなかったりする。若者には、年の功の知恵が見えない。それはしょうがないことで、そこは、黙ってるしかない。でも、多くのユースホステルのマネージャーたちは、善意で世代間交流させたがり、それが結果として、イビキなどで若者を遠ざけてしまう。もっと現実をみるべきなんですけれど、まあ仕方ないですね。