受験勉強をしたことがある人なら分かるかと思いますが、数学は暗記問題です。問題の解き方のパターンをたくさん覚えてるほうが高得点を取れる。だから、息子が頭を抱えていたら、どんどん解き方を教えました。ヒントもたくさん教えたし、場合によっては、回答を教えてから問題を解かせたりした。数学が苦手なうちの嫁さんは不思議そうに眺めていました。
「算数は暗記問題だから」
と言ってもピンとこないみたいです。
例えば、25+15という問題があったばあい、5+5=10になることを暗記している場合と、そこの計算から指をおって数える場合とでは、大きな差になります。どんな計算も問題も、ある程度の暗記が無かったら不利です。中学生になれば、この差は圧倒的です。だから問題を解いた数だけ有利になる。
「この問題は、どこかで見たことがある」
と
「初めて見る問題だ」
では、大きな差が出来てしまう。数学が暗記問題だというのは、そういうことです。実際、私たち大人は、5+5をいちいち計算しません。計算しなくても答えを知っている。暗記しているからです。だから息子に算数を教える場合、率先して答えを教えて問題を解かせ、かわりに問題数を多くやらせました。
そして、ここが国語と違う所なんですが、算数の場合、解き方のコツがある。
例えば、7+2の問題が出たとします。その答えを書いた後に、他の問題をズラリと眺めて、2+7の問題が無いか調べます。もしあったらラッキー。7+2も2+7も答えは同じだからです。その次に、7+3の問題があるかどうか調べさせたりする。その次は、7+4を調べさせる。こういう解き方を教えることによって、アッというまに問題を終わらせることを教えたりする。
算数(数学)は、解き方によって短時間に問題を大量に解ける。そういう技術があることを息子に教えます。短時間で解ければ、同じ時間内に、多くの問題がやれるので、足し算を暗記できるようになる。暗算能力が上がる。これは他の計算でも同じで、中学時代に私は数学の先生から、多くのコツを叩き込まれていましたから、息子にも同じように教えていたわけです。
話は変わりますが、息子は、毎週木曜日に空手教室に通ってます。嬬恋村の改善センターで16時から18時まで2時間、空手を習っています。そして、18時から19時までは、同じ場所でキックボクシングを習っています。家に帰るのは、19時30分。それから夕食をとって風呂に入ったら21時ちかくなるので宿題が出来なくなる。学校が終わるのが15時30分。なので、空手教室が始まる前の30分間に宿題をやらせるしかありません。
そこで、私が学校まで迎えに行って、空手教室に直行し、大急ぎで宿題をやらせました。何しろ30分しかないので、 宿題が早く終わるように、どんどん答えを教えたし、 早く終わらせるコツどんどん伝授しました。
そんなことを続けていると、 空手教室に通っている他の子供達も真似して一緒に宿題をやるようになります。その子達は、17時には 空手が終わって自宅に帰るので、あえて空手教室の場所で宿題をやる必要はないんですが、うちの息子がやっているのを見ると、なんとなくやりたくなってしまうようで、今では上級生も含めてほぼ全員が、空手教室の前の体育館で熱心に宿題をやっています。空手教室には、車がないと行くことができないので、他のお子さんの、お父さんやお母さんもそばで見ている。今では、そんな光景が当たり前になっています。
この場面で面白いことが起こりました。私が息子に対して解き方のコツをどんどん教えていると、他の子供達が「ずるい」とか 、「そんなことしていいの?」と言ってくるのです。 そういう子どもたちのご両親は、自分の子供に絶対に回答をしていませんし、解き方も教えません。自分で考えさせます。どんなに遅くなっても、どんなに非能率でも、自分で考えるようにさせています。
よくよく考えてみたら、これが自然の姿なのかもしれません。それが勉強の自然な姿に思えてきました。 この方が、思考力が向上するかもしれない。たとえ遠回りでも、大人になってから応用の利く人間になるかもしれない。
逆にいうと私が息子に教えている算数こそ邪道にみえてきた。本来、勉強は、そうあるべきなんじゃないかと。 なので私もちょっと考えがぐらついたりもしたんですが、その時に思い出したのは、25年前にあったアマチュア無線の免許合格事件です。
実は私は、『風のたより』という旅の団体のようなものを作ったことがありまして、多い時には、全国に1000人ぐらいの仲間がいたのですが、その人たちと、全国の山々を登山ばかりしていました。それで登山が、だんだん過激になったのと、所帯が大きくなったこともあって、万が一のために、みんなでアマチュア無線の免許を取ろうと、一斉に試験を受けたことがあります。便利なスマホがまだなかった時代のことです。
その時に、一発でアマチュア無線の免許を取れた人と、全く取れなかった人の差がありました。一発でアマチュア免許とった人は、全員が、事前に過去問題集を2・3回やって、過去問題を暗記した人達です。逆に、免許が取れなかった人たちは、参考書で内容を深く理解しようとした人達です。
試験を受けた人たちは、みんな知能指数が高くて頭のいい人達であり、高学歴でもあり、一流企業に勤めていた人たちなので、明らかに合格不合格の差は、勉強方法の差でした。参考書を理解しようとした人たちがみんな落っこちて、無理に理解しようとせずに、一夜漬けで過去問題をやった人達は全員合格していた。
実は、アマチュア無線というのは、中学生ぐらいでも取れる免許です。しかし、そういう免許も、過去問題をやらずに、ひたすら参考書ばかりやっていたら、受かるものも受からない。
もっと分かりやすく言うと、自動車免許のペーパーテストを思い出すといいかもしれません。あれも、過去問題をやってなければ、合格は難しいけれど、過去問題さえやっていれば、誰もが一発合格します。参考書だけでは合格は難しい。
それを考えると、小学2年生の息子に、自分で考えさせる勉強がいいのか、数多くの問題パターンを体験させてやるのがいいのか、非常に迷うところでもあります。私は悩みに悩んだわけですが、息子に理科と社会を教えるうちに、ある結論がでてきた・・・。
長くなったので、ここらで終わりにします。この続きは、後日に。
つづく。
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