ただ問題なのは、熊は知能指数が高いために個体差がありますから、絶対そうとは言い切れないことです。
何十年か前に、やたらむやみに人間に突進してくる熊がいました。 そのヒグマを射殺して調べてみたら、癌だったようです。かなり末期の癌で苦しみもがいていた形跡があったようで、我々の知ってるヒグマの行動と違う行動をとっていたのは、そのせいだったとも言われています。つまり、ヒグマはこうだとか、ツキノワグマはこうだことか、その習性を簡単に決めつけることが、できないということなんですね。
話は変わりますが「となりのツキノワグマ」という本で、宮崎学さんが面白いことを言ってます。 2006年に長野県が出していたツキノワグマの推定生息数は1300頭から2500頭ということでした。ところが、 2006年度に558頭のツキノワグマが殺されたという統計が出てきました。世間はその生息数を鵜呑みにして これは大変なことだと騒ぎ立てました。 慌てた長野県はこの推定数を1900頭から3700頭に引き上げました。
これに呆れたのが、動物写真家の宮崎さんです。
そんないい加減な数字を出したのは、どういうことだと!
どういう根拠で、熊の生息数を出したんだと。
「そもそも一桁違う!」
と思ったのが、動物写真家の宮崎学さんでした。
そこで彼は、2007年以降に半径2 Km 以内という狭い地域(里山)に、十箇所にカメラを仕掛けたのですか、 この非常に狭い地域に信じられない数のツキノワグマが撮影されることになりました。それらの写真は「となりのツキノワグマ」という本にデカデカと載っているんですが、なるほど、すごいものです。2 km 以内の地域に、熊がいるとは・・・と驚いてしまいます。
https://fireside-essay.jp/miyazaki/tsukinowaguma/138.html
これを北軽井沢、いや嬬恋村に当てはめて考えてみても、思い当たることはたくさんあります。登山道を歩けば、たくさんのクマ棚(クマが木の葉を食べた痕跡)があります。もちろん糞もある。シャクナゲ園にいたっては、毎年のように展望台が壊されてしまっている。あまりひどいので、今では壊されないように鉄の階段に作り変えられてあります。
熊のやつは、四季の移り変わりに敏感で、ある時期は、柔らかいくるみの実ばかり食べる。そのクルミをクマが食べられる時期は、7月の一週間くらいしかない。時期を逃すと堅くなって食べられなくなる。なのでクマにしてみたら必死です。
また、ある時期になるとフキばかり一日中食べている。フキも食べられる時期も短かいので、クマたちは、植物の成長ぐあいを敏感に感じ取って、食べるものが大きく変わっていく。ある時期の万座のクマは、ねまがりタケのタケノコを必死になって食べる。しかし、それは人間の好物でもあるために、それを巡って事故にならないかと心配しています。
栗もクマの好物です。北軽井沢には栗が多いので、そこにクマがいても不思議は無い。そもそも、クマたちは、野菜が大好きなので、いつ畑に現れてもおかしくありません。例外はトマトです。登別のクマ牧場にトマトのタネが落ちて、それが繁殖したのですが、クマたちは誰も食べようとしない。しかし、実をもいでクマに与えたらムシャムシャ食べてしまった。どうやらトマトの茎が苦手だったらしい。
ちなみに、このクマ牧場では、面白い実験をしています。クマ牧場の中に電気柵を作ってその柵の中にクマの大好きなりんごを置いてみた。最初クマたちは電気柵の電気ビリビリと来てひっくり返ってしまった。成功したなと思っていたらクマ達は行列を作って電気柵の周りをぐるぐるぐるぐる回ってしまう。そのうちクマ達が穴を掘り始めた。くまの腕力はすごくて、 それはもうパワーショベルのようにどんどん立穴を掘っていく。 なるほどこうやって冬眠の穴を作るんだなと、いう具合に穴を掘っていく。 そしてりんごを食べるわけです。
これは参ったと、今度はコンクリートの基礎を打って電気柵を作ってみました。そしてリンゴを置いてみると、穴を掘ることのできないクマたちは、立ち上がってポールを倒してしまった。そしてゆうゆうとリンゴを食べたわけです。 その間たったの1日。熊が本気になったら、農家の皆さんは、絶体絶命ということです。もちろんこれはヒグマの話なので、ツキノワグマが、このような行動に出るかどうかはわかりません。
最後に、北軽井沢にある某キャンプ場のオーナーの話です。
そのオーナーは、レトリバー(大型犬)を飼ってて、ジープで出かけて野山に犬を放したら、そのレトリバーが、子グマを咥えて、嬉しそうにやってきた。青ざめたそのオーナーは、子グマを放り出し、ジープに飛び乗って、大急ぎで逃げ帰ったそうです。春の北軽井沢で、レトリバーを放し飼いにしてはいけません。レトリバーの習性をあなどっては痛い目にあいますぞ。今日もを長くなったので、この辺でおしまいにします。
つづく。
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