2020年10月23日

息子が頑張った小学校マラソン大会

 先日息子(七歳)が通う小学校でマラソン大会がありました。群馬県のチベットとも言える嬬恋村では、あまり娯楽が少ないので、小学校のマラソン大会には親達がこぞって見学に行って応援します。ご多分に漏れず私達夫婦も応援に行ってきました。

 ちなみにうちの息子は三月二十六日生まれです。あと一週間遅く生まれていれば、一年生だったわけです。毎朝一緒のスクールバスのバス停に乗り込んでいるご近所の一年生の男の子がいますが、その子は四月生まれの一年生で、息子とは一ヶ月も離れていません。二週間くらいの差しかない。

 去年マラソンで大会新記録を出した同級生のT君も四月生まれ。つまり息子と一年ぐらいの差がある。そういうハンデの中で走らなければならない。おまけにうちの息子ときたら、極端に成長が遅くて、運動神経が人様よりにぶく、縄跳びもろくにとべなかった。なので発達相談の先生の診察を受けたり、作業療法士の先生に、いまだに運動を見てもらっています。幼稚園の担任の先生や、一年生の時の担任の先生からいろいろ心配していただいた過去もありました。

 困ったことに息子の学年は、キレやすい子供たちが多かったようで、幼稚園の担任の先生に心配していただき
『強くならなければ、ずっと虐められる』
と言われたので、空手教室やキックボクシング教室に通わせたりしました。それらの教室でも、最初はダメダメで先生が教えている時に、父親自ら息子のそばで指導してよいとのお墨付きをもらったくらいに、ついていけなかった。そもそも団体行動ができてなかった。いつも周りを見て、見よう見まねでみんなと同じことをするので精一杯だった。

 そういう状態だったので、幼稚園の運動会では、いつもビリ。女の子と走っても抜かされてしまう。運動会の団体競技でチーム編成が決まると女の子に
「タケルと一緒では負けてしまう」
と普通に言われていた。

 そんな息子はショックを受け、私と一緒にお風呂に入ると、
「お父さん、足が速くなる薬はないの?」
と聞いてきました。

 さすがに、この言葉にショックを受けた私は、次の日から、息子と一緒にかけっこの練習を始めました。


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 うちの息子は、小さい頃から登山をしているので、他のお子さんよりも骨太で、皮下脂肪も多い。もちろん足腰の筋肉も多い。なので体格的に身軽とは言えない。おまけに私は息子に走るのを禁止していた。

 小さい子供はハイテンションになるとやたらに走りたがります。
 けれど山で走るのは自殺行為です。
 そして我が家は宿を経営してます。
 宿で子供達に走られたらたまったもんではないので、普段から息子が走ると怒っていました。

 皆さんも見たことはありますよね。
 小さな子供たちが宿やレストランで走り回って他のお客様に迷惑をかけている光景を。
 それは宿では、絶対に起きてはならない光景なのです。
 絶対起きてはいけないことなのだが、うちの宿のメインのお客様は、小さな子供さんを連れたご家族です。

 その小さな子供たちに、館内を走られないように、
 息子に教育しなければいけない。
 走ってはだめだと。


 つまり、息子は走ることを親たちから禁止されていた。
 これで足が速くなったら、それこそ奇跡。
 運動会でビリは定位置できまり。

 しかしそれは親たちの都合だった。
 そのために息子に辛い思いをさせてしまった。

 なので、私は息子に走る練習をさせました。
 そして、去年のマラソン大会では十五位だった。
 去年は、スタートと同時に転倒して血まみれになり足を怪我して走ったにもかかわらず全体で十五位。

 マラソン大会では、一年生と二年生が男女別で一緒になって走ります。一年生男子と二年生男子を合わせると三十名ちょっとですから、ちょうど真ん中ぐらいだったわけで、上級生と一緒に走った上での真ん中ですから、転倒して傷だらけになった上でこの順位なら、まあまあだったと言えます。

 息子も喜んでいました。普段偉そうにしている暴力的ないじめっ子をすいすい追い抜いていくのが快感だったそうです。「タケルと一緒ではリレーで負けてしまう」と言ってたイジメっ子をスイスイ追い抜かすことが、本人にとっては快感だった。幸か不幸か、息子はコツコツ努力するタイプで、他の子供より我慢強かった。早生まれの子供は努力家が多いというのは本当で、息子は命令されなくてもコツコツ努力を積み重ねる頑張り屋だったことが、マラソンやスケートに向いていたのかもしれない。

 それから成長が遅いのも、コツコツ努力することを嫌わない原因だったかもしれない。早熟だと好き嫌いが激しくなり、ずるがしこくなって努力を嫌ったりするから、息子の遅い成長が、コツコツやる習慣を知らず知らずに育てていったのかもしれない。息子には『ずるさ』が人様より足りないので、それが地道な訓練を嫌がらない性格を育てたのかもしれない。また、二歳から続けてきた登山が、息子の努力体質を育て上げてきたのかもしれない。


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 で、一年後。
 今年のマラソン大会。

 息子は、去年に大会新記録を出したT君の近くに陣取り、さかんに走ったりして準備運動している。あきらかにT君を意識している。そして、スタートと同時に全力疾走。先頭を走っていたのは、去年に大会新記録を出したT君。ペース配分を全く考えないような全力疾走。そして二番手に息子。やはり全力疾走している。T君も息子もあきらかに短距離走の走りをしている。
「息子はT君に対して勝ちに行ったな」
と思いましたが、あの速度では、後半にバテるぞと、嫌な予感がしました。

 その予感は正しくて、息子とT君は、途中でバテていた。トップはぶっちぎりでサッカー部のRくん。すこし遅れて息子、空手教室の仲間であるK君、一年生のA君の三つどもえでゴール。その後に去年、大会新記録を出したT君と続き、そのあとに息子と同じスケート部の仲間であるH君と続きました。結局、息子は四位。おしくもメダルを逃しました。でも、二年生にかぎれば三位ですから大健闘です。

 幼稚園時代からビリの連続で、誰にも勝てたことがなく、女の子たちからも馬鹿にされ、リレーで「タケルと一緒では負けてしまう」と言われ続けた息子にしてみたら、今回の結果は大いに誇れるもので、息子も自信がついたと思います。

 おしむらくは駆け引きができなくて、最初から全力疾走というミスをおかしたことですが、それはこれから教えていけばいいこと。ここまでは私の想定の範囲内のことです。順位も想定内。というのも、息子が入っていたスケート部の持久走で、いつも一位か二位でゴールしていたからです。スケート部には、去年のマラソン大会で大会新記録をだして優勝した女の子がいて、その子と、毎回、ゴールで争っていたので、ある程度、やれると思っていました。

 唯一の誤算は、マラソン直前に、学校を休んで家族で槍ヶ岳に登ることになったことです。


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 台風十四号によって、北アルプスの山小屋にキャンセルが続出して、急遽、家族で槍ヶ岳に登ることになって、マラソンの練習ができなかった。マラソン大会は、槍ヶ岳に登った直後に行われますから、その間、全く練習できないし、筋肉疲労も半端ない。なにしろ二十リットルザックを背負わせて一日に三万五千歩の登山。しかも標高三千メートル級の北アルプス。それを高度障害で、相部屋の山小屋で同室の老人たちのイビキで睡眠不足のなか三日間も登山を続けた直後のマラソン大会ですから、かわいそうなことなことをしてしまった。

 おまけにマラソンの直前に空手5級の昇級試験があったので、そっちにもとりかかる必要があった。なんだかんだで、直前の二週間、練習ができなかったのが悔やまれるが、それは仕方が無い。マラソンも大切だけれど、槍ヶ岳登山も、空手の昇級試験も大切だから。

 将来、登山ガイドするためには、今回の槍ヶ岳登山は絶対に必要だし、空手の昇級試験も重要。武道の有段者であれば、それを履歴書に書けるし、見る人によっては、評価のポイントになる。もちろんキックボクシングの方が、強くなる速度が速いし、体力もつくのだけれど、キックボクシングに段位はないし、社会的な評価も武道の段位にくらべると低いので、やはり空手5級の昇級試験を疎かにはできない。


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 それはともかくとして、今回のマラソン大会でひとつわかったことがあります。上位に入賞した人たちの大半が、空手教室、サッカー教室、キックボクシング、バスケット、スケート部といったスポーツ教室で頑張っていた人達でした。

 二年生男子のトップはサッカー教室のR君。二番目は空手教室のK君。二年生女子のトップはスケート部。三位もスケート部です。他の学年のことはわかりませんが、少なくとも息子の同級生に限って言えば、みんな何らかのスポーツをやっていたお子さん達だったことを考えてみると、その差は歴然としているように思いました。

 幼稚園の頃から走ればビリ。成長が遅くて小学校の『言葉の教室』に通ったり、嬬恋村保険課が運営している『すくすく相談』のお世話になっていて、いまだに『すくすく相談』に通い続けているうちの息子でさえ、ここまで成長するわけですから、スポーツをやるかやらないかで、その運動能力は、大きく違ってくることは間違いない。努力は人を裏切らないとは、よく言ったものです。来年こそマラソンの優勝をめざし、いつか空手の黒帯試験を受け、史上最年少の登山ガイドをめざして頑張れば、いつか、その努力は報われると信じたいです。


つづく。

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ラベル:マラソン 小学校
posted by マネージャー at 15:42| Comment(0) | グンマーで嫁が出産と育児 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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