2021年07月04日

鬼押出し園開園70周年に行ってきました【4】

 寛永寺は天台宗です。1625年に徳川幕府の安泰を祈願するため、江戸城の鬼門(東北)にあたる上野に、天海大僧正によって建立されました。後には第四代将軍・コ川家綱公の霊廟が造営され、将軍家の菩提寺も兼ねるようになりました。


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 ちなみに寛永寺のトップは、天海でしたが、天海が没した後は、弟子の公海が引き継ぎ、その後を継いだのは、後水尾天皇第3皇子の守澄法親王です。法親王は日光山主を兼ね、その後に比叡山の天台座主を兼ねることになりました。以後、幕末の北白川宮能久親王に至るまで、皇子または天皇の子供が寛永寺の貫主を務めています。そしてトップ(貫主)は「輪王寺宮」と尊称され、水戸・尾張・紀州の徳川御三家と並ぶ格式と絶大な宗教的権威をもっていました。


これは余談になりますが、幕末最後の寛永寺トップは、北白川宮能久親王ですが、北白川宮能久親王は、北軽井沢開拓の祖であり、北軽井沢の大恩人です。彼は、明治15年に、現在の浅間牧場を含む広大な牧場開発に着手し、荒地を農場に変え、北軽井沢の発展の基礎を築きあげました。北軽井沢の牧宮神社はこの北白川親王を祭った神社です。


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 北白川宮は、陸軍軍人として多大な功績のあった方で、日清戦争の時に台湾に出兵し、現地で病気にかかり薨去されました。その武勲を讃え、現地台北には宮を祭った台湾神社(台湾神宮)、終焉の地には台南神社が創建されました。敗戦後、台湾にあったこれらの神社はすべて廃社となりました。当時の氏子総代と神官が協議の上、北軽井沢の地に御霊をお迎えし、北白川宮の遺徳を永く偲ぼうとしたものです。

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 話をもどします。
 なぜ鬼押出し園に寛永寺の別院があるのか?
 という疑問に答えたいと思います。


 天明三年(1783年)の浅間山噴火によって総計1100名以上の犠牲者がでましたが、特に鎌原村の被害が大きかったわけですが、鎌原にあった延命寺の観音堂に集会で集まっていた92名の人たちだけが生き残っていました。(92名が慌てて避難したという説もあるが、鎌原村から浅間山は見えないので、観音堂で集会があったために偶然にも集会に集まった人が生き残ったという説が、最近では有力になりつつある)

 観音堂で生き残った村人たちの代表が、延命寺の総本山たる上野寛永寺のトップである輪王寺宮公延法親王(つまり皇室&寛永寺トップ)に哀訴し、輪王寺の宮様より住居のお世話を頂きました。そして輪王寺宮公延法親王は、現地を視察され犠牲になられた方々への追悼法会を営まれ、被災者への救援・復興の手助けを行いました。

 このような宮様(つまり皇室&寛永寺トップ)の行いは、当時としては異例中の異例であり、村人の心に刻まれ、これが『浅間山噴火大和讃』などを通じて語り継がれています。つまり嬬恋村は、寛永寺の宮様にたすけられたわけで、明治になってからは、最後の寛永寺のトップであった北白川宮に浅間牧場の開発でお世話になっている。嬬恋村も北軽井沢も、寛永寺に足を向けて寝られないのです。

 そのうえ天明噴火罹災170回忌にあたる昭和28年には、再び鎌原村の要請によって、時の寛永寺門主が訪れ、法要を営みました。そして昭和33年に、堤康次郎の尽力もあって、噴火罹災者の慰霊と自然災害犠牲者の供養を目的とした、浅間山観音堂が鬼押出し園にも寛永寺の別院として、創建されています。まさに寛永寺さまさまです。



(浅間山噴火大和讃・寛永寺門主の法要を語っている)


 そもそも鬼押出し園は、天明の噴火以前には、「柳井」とか「仏の岩屋」と言われており、磨崖仏があった可能性もあります。地名から修験者の修行の地であった可能性も否定できず、その痕跡は溶岩で埋まってしまっていますが、何らかのパワースポットであったと思われます。そこに浅間山観音堂を祭って15年後に、日常的に火を噴いていた浅間山の噴火が収まったのも偶然ではないでしょう。

 ところで、何年も前から
【 寛永寺僧侶と歩く鬼押出し園 】
と言う無料企画が、鬼押出し園で行われています。寛永寺の僧侶が鬼押出し園の見どころや、寛永寺との関わり等の解説を交えながら一緒に園内を散策しつつ、観音堂へ参拝するというツアーです。詳しくは、
 寛永寺教化部 03-3821-4440
 鬼押出し園 0279-86-4141
に問い合わせてみてください。


つづく。

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posted by マネージャー at 21:45| Comment(0) | 総合観光案内 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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