軽井沢にはカラマツがたくさんありますけれど、そのカラマツの大半は、街中にあるものが多くて、山にはミズナラの木がたくさんありますし、湯川ぞいにはクルミの木も大量にあります。白糸の滝周辺の森では山菜がたくさん取れますし、浅間牧場と言う日向ぼっこに最適な場所でありながら人間が全く来ないと言うクマにとっては、夢のような場所もあります。
それに対して万座方面・小串鉱山方面・四阿山方面のツキノワグマは、広大な四阿山・白根山の山麓を持っていますし、ツキノワグマが活動するための広いフィールドがあります。軽井沢に比べると、ツキノワグマが活動できる広大な面積があるわけで、それだけにそこに生活しているツキノワグマの数は多いと思われます。
実際、春先の早朝の万座温泉を散策すると、ツキノワグマの足跡や食痕を見つけることが簡単にできます。残雪が消えかかった万座温泉では根曲がり竹のタケノコが大量に出てきますから、それを目当てにツキノワグマが食べに来るからです。根曲がり竹のタケノコは、私たちが生で食べても美味しいくらいですからツキノワグマにとってすごいご馳走になっています。
彼らは冬眠から目覚めると、最初の頃は標高の低い干又・バラギ湖あたりの山菜を食べますが、それがなくなった頃には、標高を上げて、残雪が消えかかった嬬恋牧場辺りの山菜を食べます。それも食べきると万座の方に移動するわけです。最終的には、白根山とか志賀高原の方まで移動して山菜を食べつくすと、今度は別の植物を食べたりするようです。
昭和52年に(ノンたんシリーズで有名な)偕成社から、少年少女ドキュメンタリーの一冊として発表された『ツキノワグマ日記―はみだし熊10頭の里親となって』の宮崎正義さんも、この万座温泉に通ってツキノワグマを観察した口です。彼はその後、鉄道会社で働きながらコツコツとお金を貯めて10頭のツキノワグマを飼うことになるわけですが、その彼が定点観察に明け暮れたのが万座温泉です。万座温泉豊国館のご主人が色々協力したようです。
私は高校生の時に『ツキノワグマ日記』を佐渡島で読んだわけですが、宮崎正義さんが、私の父親と同じぐらいの年齢で、その息子さんも私と同学年であることに親近感を覚えたわけですが、一番驚いたことは、その本に掲載されている写真です。私と同じ学年の息子さん(当時12歳)が、クマに藁で作った縄をつけて近所を散歩してる写真です。驚いたのなんの。今なら考えられないことです。もし、北軽井沢で藁で作った縄で大きな熊を連れて散歩していたらみんな腰を抜かすに違いありません。ましてや長野市郊外の話ですから、なおさらです。
話を戻します。
今はもうやっていませんが、うちの宿では毎週のように宿泊者を中心に登山ツアーをやっていました。毎週行っていれば、ツキノワグマに出会うこともあります。そういう場合、ほとんどが『クマ出没注意』の看板のあるところです。バラギ湖の近くとか、本白根山のロープウェイのそばとかです。今回は、熊に出会った時の写真をアップしてみます。
これは、息子が生まれた年のツアーです。
今は入山禁止になっている本白根山のツアーです。
本白根山には、クマ・蛇・カモシカが多いので有名です。
高山植物も多い。
特にコマクサが凄くて、日本一咲いている。
こういう看板があったら注意です。
必ず出てきますから。
はい、出てきました。
写真だと分かりにくいですが、かなり高いところに登っています。
この時に参加したファミリーの御客様は、カモシカ・高山植物・ツキノワグマに出会えたので、かなりラッキーでしたね。
つづく。
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