野生のクマを必要以上を恐れることはありませんが、ツキノワグマをなめてはいけません。彼らのパワーは、恐るべきものです。証拠の写真をアップしておきます。ツキノワグマの爪の跡です。
こういう写真は、山の奥で撮ったものではありません。浅間牧場のほんの入り口付近に、いくらでも見つけられます。なので御客さんを浅間牧場に案内するときは、まず最初にこのツキノワグマのフィールドサインをみせてあげます。これをみると、さすがの御客さんもビックリします。ツキノワグマのパワーに震え上がります。知らなければ、なんでもない樹皮ですが、いったんツキノワグマのフィールドサインを知ってしまえば、この浅間牧場が、今までとは別の空間に見えてきます。
問題は、これだけのパワーがありながら、ツキノワグマは人間に対して非常に用心深いことです。彼らは、人間をよく観察していて、非常に用心深い。つまり知能が高い。クマの知能は、野生動物の中で最も知能が高くて学習能力がある。用心深いけれど、学習能力が高いために人間が、か弱い動物で、簡単に殺せると知ったら、その日から人間がエサにしか見えなくなってしまう。
そういうツキノワグマに対して、安易に人間が下手な出会い方をしたら、ツキノワグマが、へんに学習してしまって、人間を襲う凶暴なクマに変質してしまう恐れがある。こうなったら地元の小学生・登山者たちが持っているクマ鈴の音は、ツキノワグマにとっては
「ごはんですよ!」
という合図にしか聞こえなくなってしまう。
ちなみにヒグマにしてもツキノワグマにしても、犬なんかより、はるかに頭がいい。犬が大人になるのに1年ぐらいかかりますが、ヒグマが、大人になるのに三年もかかる。つまり学習期間が三倍ある。
ヒグマの子供は、母クマと三年間も一緒に暮らします。三年間にわたる学習によってクマたちは大人へと成長します。犬の三倍の学習期間をもつわけで、そのうえ犬より2倍以上寿命が長い。つまり犬の倍の経験値をもつ。そのためにマタギたちは、 非常にクマを恐れます。下手したらクマは人間よりも 頭がいいとマタギたちは思っている。
実際、クマを飼ってる人たちの話では、ものすごく頭がいいと言っている。長野市に宮崎さんと言う人がいて、その人は全国あちこちの動物園から子熊を譲り受けて、最大で十匹という複数同時にクマを育てた人ですが、その人の話によれば、ツキノワグマは、首輪と藁縄の紐を付けない限り自分の家の敷地から絶対出ようとしなかった。隣地との境界線をしっかり認識していた。だから他所の土地に無断で絶対に入らなかった。で、首輪と藁縄の紐を持ってきて、お座りして散歩のおねだりをする。
まるで頭の良いシエルティーのようなキャラですが、宮沢さんは、そのように躾けたわけでは無い。相手が勝手に学習してしまったのだ。10匹同時に飼っているから、個別に躾けることなんかできない。1日に10分くらいしか相手してやれない。それでも10匹いるから100分も拘束される。動物王国のムツゴロウさんと違って宮沢さんは、ごく平凡なサラリーマンですから、クマの相手するのにも限界がある。にもかかわらず、よく訓練された犬のように無邪気で礼儀正しくなっているのは、ツキノワグマがそれだけ知能が高いからで、この知能の高さと学習能力によって、人間に対して臆病にもなるし、いくらでも凶暴になりえます。だから安易にツキノワグマに会おうなんて思わない方がいい。
つづく。
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