これは、よくある話で、色んな所で同じような話を聞くことができます。ご主人が飲食業界で長い間、働いていると、その業界の癖というか垢のようなものが染み付いてしまうんです。というのも飲食業界は、極端な封建社会の中にあり、暴力もいじめも普通にはびこっているからです。
令和時代はわかりませんが、昭和時代にそのような職業がわんさかありました。そういう場所は大抵女性が働いていません。ほとんど男ばかりの所が多かったような気がします。板前さんとか、築地の市場とか、そういう場所には男しかいなかったのが昭和時代の特徴です。
そんな昭和時代に人生の大半を捧げてきた、五十代や六十代の男性たちには、業界の癖というか垢のようなものが染み付いてしまい、粗暴で攻撃的なところが身について取れなくなってしまいます。そういうところが嫌だなあと思いつつ働いていたはずなんですけれど、長年そういう場所に身を置いてしまうと本人が気が付かないところで、職人気質のようなものが染み付いてしまう。
脱サラしてペンションとか民宿を開業する人たちには、そういう人達が多いわけです。飲食業界で働いてきた男だからこそ、ペンションや民宿をやっていけると思ってこの世界に飛び込んでくるわけですが、これが悲劇の始まりだったりします。今まで一緒に仕事をして来てないご夫婦が、老後になって一緒にペンションを始めると、急に夫婦仲が悪くなったりする。
別々に働いている時には何でもなかったことなのに、夫婦で一緒に始めてしまうと今までの働き方の違いによって、急に仲が悪くなってしまう。ご主人の方は、飲食業界の慣習を奥さんに押し付けようとしますが、奥さんにしてみたら
『お前はいつから偉くなったんだ?』
『お前(だんな)に雇われているわけではない』
という気分ですから、夫婦仲が急に悪くなるのも無理のない話だと言えます。
北軽井沢ブルーベリーYGHでも、オープン当初は似たようなことがありましたが、うちの宿で、それほど悪化しなかったのは、オープン2年目に別館のペンションティンカーベルを買い取って、夫婦別々に、それぞれ別の宿を営業した為に、お互いが自由に経営ができたためだと思います。
前置きはこのくらいにして本題に入ります。
1ヶ月近くかけて公共スペースの壁の抗ウイルス工事を完成させました。夫婦で一緒に作業をしたんですが、久しぶりに高所作業をやったものですから、私の職人気質と、嫁さんの素人作業がぶつかってしまいました。当たり前といえば当たり前なんですが、うちの嫁さんは女性なので高所作業をした経験がありません。だから高所作業の常識がないために、なんだか私から注意されます。注意されるんだけれど、言うことを聞かない。
もちろん嫁さんが素人だというのは分かっているので、こちらは難しいことを要求しません。要求するのはたった一つで、2時間働いたら1時間休憩するというルーティンだけです。しかしうちの嫁さんときたら、結構な働き者なので、2時間働いて1時間休憩すると言うことができない。どうしても働いてしまう。しかし休憩せずに働いてしまうと事故が起きる。
私は昔、高給がもらえるために高所作業の仕事を散々やってきましたので、その危険さを知っています。とあるガラス清掃会社で働いた時は、会社から成田山のお守りを支給されたり、生命保険に入れられたりしたので、どうしてだろうと思ったら、過去に何人も高いところから落ちて死んでいたということを聞きました。
今だったら大変な話なんでしょうけれど、昭和時代にはそういうことがわんさかあったようなのです。東京タワーを作っているときは毎日何人も落っこちたという話を、その現場にいた生き証人から聞いたことがあります。もちろんそういう現場ですから、ものすごく高い給料をもらっていたらしく、真面目に貯金さえしていれば、六本木に一軒家を建てることができたと言っていました。
まあそんな話はどうでもいいとして、それだけ高所作業というのは危険な職業なので、2時間働いたら30分から1時間休憩するというのが習慣になっているわけです。これお嫁さんに言うのですが、なかなか理解してもらえない。最後には、めんどくさくなって放置するようになりました。
嫁さんにしてみたら、私の言うことがよくわからなかったんだと思います。というのも、うちの嫁さんは登山をする関係上、岩登りやロッククライミングもやります。ロッククライミングで、2時間やって1時間休むなんて聞いたことがありませんので、高所作業の常識が通用しにくかったんだと思います。ではどうして、岩登りと高所作業に、こんな差があるのでしょうか?
つづく。
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