2008年02月26日

雪国の伝説を旅する 08

雪国の伝説を旅する 08

 私は団三郎を祭ってある二つ岩神社で、御供物泥棒を見つけたのでした。御供物泥棒は精悍な大男だったような気がします。

「おじさん、御供物をとっちゃだめだよ! それは団三郎の物なんだから。団三郎にたたられても知らないよ!」

 すると、大男はジロリと私を睨んでいいました。

「わしは団三郎という者だが、団三郎が団三郎の者を取ってはいかんのかの?」
「団三郎?」

 大男は、どう見ても人間にしか見えませんでした。だから私は言いました。

「団三郎ならしっぽがあるはずだ。もしオジサンが団三郎ならしっぽを見せてごらん!」

 すると大男は豪快に笑いました。

「わしは人間だ。しっぽなんかはえとりゃせんわい」
「え? オジサン、ムジナじゃないのかえ?」
「馬鹿な事を言うな。お前、俺がムジナに見えるのか? 人間にしかみえんだろう。このとうり、わしは人間の団三郎だ」

 私は笑ってしまいました。
 なるほど人間です。
 私は、この大男が悪い人ではないような気がしてきました。

「でもオジサン、この御供物はムジナの団三郎のものなんだ。オジサンは人間の団三郎なんだろう? 人間の団三郎がムジナの団三郎の物を取ったらいけないと思うよ。それって泥棒と同じ事だと思うよ」
「ほーっ、これ(御供物)はムジナの団三郎の物だったのか。わしはてっきり自分の物と思っていた。それが本当ならムジナの団三郎に悪い事をしたなあ・・・。なにしろ長い間、わしは、これが自分のものだと思っておったから・・・」

 大男はそう言ってどこかに消えてしまいました。

DJ188_L.jpg

 そして二十年後。
 1990年頃のことです。
 私は風(=仕事をやめて旅すること)になっていました。
 そして旅人として全国を放浪していました。
 そこで見つけたのは、こんな秋田につたわる伝説でした。

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posted by マネージャー at 00:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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