そして二十年後。
1990年頃のことです。
私は風(=仕事をやめて旅すること)になっていました。
そして旅人として全国を放浪していました。
そこで見つけたのは、こんな秋田につたわる伝説でした。
「昔むかし、団三郎という大男の鉄砲猟師がいました。団三郎は村の人気者でした。正直者で人が良く、それで男前だった団三郎は村中の娘たちに慕われていました。
しかし、それを快く思っていない村の若い男もいたようでした。ある時、村に徳の高い坊さんが流れてきました。村には寺がなかったので団三郎は坊さんに寺を建ててやりました。
坊さんは村人に『殺生をするな』と、説きました。団三郎は鉄砲猟師でしたから、日ごろから団三郎の事をよく思ってない人たちは、ここぞとばかりに殺生をする団三郎を責めました。そして、団三郎は村を追出されてしまいました」
では、村を追出された団三郎は
いったい何処にいったのでしょうか?
旅の楽しみを観光だけに限定してしまうのは、あまり上手な旅とは言えません。土地土地の人に出会う事、人の心に触れる事、それが旅の醍醐味と言えます。また、民話伝説といったものも調べてみる事も旅には欠かせない余興です。なぜならば民話伝説には、それを伝える土地の人たちの魂が込められているからです。
私は秋田、山形、新潟と旅をしたことがありました。そして、気がついた事は、団三郎という名前の主人公の伝説があちこちに存在する事です。そして、その団三郎は、流れ者で鉄砲猟師だったりするのです。
私は目を閉じて自分の幼い頃を思い浮かべました。なぜか二つ岩神社に御供物を泥棒していた大男の事が思い出されました。そして、あの大男の姿が私の頭の中に焼きついて離れなくなったのでした。
私は、いてもたってもいられなくなってしまいました。何故かは未だに解りません。とにかく私は何かに憑かれたように、佐渡の二つ岩神社と、二つ岩の団三郎について調べました。
つづく
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