実は、子犬を手に入れて3日目になる。
私の部屋で共同生活をしている。
子犬は、とても賢く、トイレは1日で憶え、
吠え癖、噛み癖も2日目でなくなった。
かなり優秀である。
結論から言って、子犬は、シエルティーになった。
本当は、ラブラドールレトリバーか、ゴールデンレトリバーを飼う予定だったのだが、断念せざるをえなかった。第一の理由は、価格である。最低で20万円くらいするのだ。そんなお金は出せない。第二にブームであること。ブームになると、大量生産で品質の良くない犬が出回ってしまう。つまり御客さんに対してマウントをとりたがる犬にあたる可能性もある。
ハスキー・マラミュートも考えましたが、抜け毛の多さに断念。もし、ハスキーを飼ったら、食事の準備前に全て着替えて準備しないと、とてもじゃないが食事なんか作れない。まあ、そんなことは、どの犬にしても同様なことは宿屋の常識なのだが、問題は御客さんの方である。御客さんが、ハスキーにじゃれついて、毛だらけになって客室に入ったら、犬アレルギーの御客さんに被害がいくことは間違いない。なので、そもそも宿屋は、抜け毛の多い犬は飼えないのだ。だいたいハスキーやマラミュートは、しつけしにくい。頭が良くないガテン系(肉体系)の犬なので、子供が生まれる2ヶ月後までにしつけを完了している自信が無い。
そうなると、犬の中で一番頭がよいと言われているプードルが候補になるのだが、そもそも宿屋なので室内犬は、論外である。寒い北軽井沢で外で飼える犬でないと、無理である。
となると、暑さ寒さに強い日本犬が候補にあがってくる。しかし日本犬は、御客さんに決して馴れない。攻撃的なのである。そのうえ強情でしつけにくい。もちろん甲斐犬のように、天才的に頭の良い犬種もあるけれど、甲斐犬は一人の主人にしかなつかない。そのうえ、よく吠える。
猟犬(ハウンドのグループ)は、論外。大型犬も御客さんを怖がらせるので論外。
消去法で絞っていくと、ポーダーコリーしか考えられなくなってしまっていた。しかし、このポーダーコリーは、なかなか売ってないのだ。私には、時間制限がある。生後2ヶ月の子犬を今すぐ、手に入れなければならない。インターネットで調べても、そういう条件の子犬はいない。とにかく、近所のブリーダーとペットショップを回ることにした。
上田・小諸・佐久と4軒ほど回ったとき、佐久のペットショップで生後2ヶ月のシエルティーの三つ子をみつけた。8万円なので高くは無い。ポーダーコリーではないが、資質は似ている。頭が良いのも知っている。私は、昔の実家では、柴とシエルティーのミックスを飼ったことがあるが、かなり頭が良かったのを知っている。あと、シエルティーの人気が落ち目なのもいい。ブームの犬より落ち目人気の犬の方が、良い犬が安く手に入るのだ。
あと、三つ子だったのも気に入った。3人兄弟だと、兄弟間の間で序列が生まれる。その中で、一番下っ端の犬を選べば、征服欲の無い、おとなしい服従しやすい犬にあたる可能性が高い。おまけに女の子であるから攻撃性は低い。
「親から引き離されて何日目ですか?」
「1週間です」
これも気に入った。
これならしつけしやすい。
親から引き離されて長期間たっていると、問題犬になっている可能性が高いからである。ふつう子犬のしつけは親犬がする。親犬は、子犬を裏返して服従させてしつける。それをつい最近までやっていたということなら、人間にとってもしつけやすいはずだ。そのうえシエルティーは、牧羊犬なので、外犬として飼って何ら問題が無い。
ただ、問題が一つある。
牧羊犬であるために、知らない人に警戒心が強すぎる。
しかし、これは治せる。
生後3ヶ月くらい(2月頃)になったら、知らない人に、触られまくられればいいのである。犬好きの御近所さん、または御客さんがいたら、かたっぱしからいじくってもらおう。それが無理なら、さわってくれる人の家に、こっちから押しかけて、あえて触ってもらおう。
ここまで考えて、この犬を飼うことを即決した。
すると驚いたのはペットショップの店員だった。
「いいんですか? そんなに簡単に決めて?」
「大丈夫です」
「一晩、考えてください。子犬は押さえておきますから」
「大丈夫です」
「犬を受け入れる準備はできていますか?」
「大丈夫です」
ペットショップの店員は、疑わしそうな顔をして店長と相談に行った。どうも、他の御客さんは、もっと慎重に犬を買うものらしい。何度も何度も店をおとずれ、いろいろ相談した上で買うものらしい。私のように即決する人は少ないのか、すぐには売ってくれない。
これは、あとで知ったことなのであるが、ペットショップは犬を売ってもうけている訳では無かった。子犬も売ることは売るけれど、犬のための餌とかグッズを売ったり、シャンプー・トリミング・保険・ペットホテルなどでもうけるものらしい。だから犬を虐待しそうな御客さんには売りたくないのだ。私は、外犬として飼うと宣言していたので、外犬=虐待ととらえられてしまったのかもしれない。
「シエルティーだから外犬がだめなんですか?」
「柴でも一緒です」
じゃあ、ハスキーはどうなんだ?
と突っ込みたかったが、これ以上、余計なことを言って売ってもらえなくなっても困るので、おとなしく引き下がった。仕方が無いので、定員の提案にのることにした。夜になったらゲージにいれて、勝手口の土間に入れる。ゲージには、電気保温マットを入れるという条件で、なんとか売ってもらうことになった。お勧めする犬舎や、道具を全て買いそろえた。
「これで文句は無いでしょう。つれて帰っていいですか?」
「もう6時なので寒いので、ダメです。明日にしてください」
ペットショップの店員は、まだ売り渋っていた。
こんなにも子犬を飼うのが難しいなんて、予想もしてなかった。
もう素直に従うしかなかった。
翌日、ふたたびペットショップに訪れて、ようやく手に入れた。
ちなみに私は、過去に日本犬を2回、コリー、柴とシエルティーのミックス。合計4回ほど犬を飼ったことがある。虚弱な子犬の時は別にして、全て外犬である。昔は、外犬が当たり前であった。まれに猟犬や牧羊犬を室内犬として飼っている家もあったが、そういう事例をみるたびに
「犬が可愛そう」
と思っていた。外で生活すべき犬たちが家の中で飼われるのを可愛そうという発想でみていた。ところが今は違っているらしい。外犬=虐待という図式らしい。それでも、ぎりぎりペットショップが売ってくれたのは、うちが宿屋で、家屋や敷地が広かったからである。夜だけケージごと勝手口の土間に入れられるスペースがあったからである。思えば、ずいぶん時代も変わったものである。そういう変化に昭和の人間としては、かなり面食らっている。正直なところ、牧羊犬を座敷犬にする方が、私には残酷に思える。私は、犬を家に入れるのにかなり心理的な抵抗があるのだ。
つづく。
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