2005年05月30日

ニホンカモシカの謎3

ニホンカモシカの謎3

 ニホンカモシカは、氷河期時代から存在し、あまり進化せずに原始的な形質をとどめているというところから「生きた化石」と呼ばれてます。また、縄文弥生時代の遺跡の中から、ニホンカモシカの骨が出土してるところから食用されていたことがわかっています。ニホンカモシカと日本人のおつきあいは古いのです。

 そのために地方によって、さまざまなニホンカモシカの呼び名があり、64種類以上の呼び名があるとか。1種類の動物でこれだけの多くの地方名で呼ばれている動物というのは他にちょっとありません。あとえば、ある地方では、ニホンカモシカのことを、オドリジシとか、バカジシと、呼んでいます。

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 なぜかと言いますと、ニホンカモシカは、好奇心が強いために、人間が踊りながら近づいていくと凝視する癖があるんです。なにが上がってきたんだろうか、と、じーっと見ているんです。

 そのキャラを利用した猟がありまして、これは「遠山奇譚」にも図が載っておりますが、一人が手ぬぐいを持って踊りを踊っていて、残りの一人が、見ているカモシカの後ろに回って狩りをするんですね。そこから、バカシシ(馬鹿肉)。オドリを踊ってみせると、じっとしているので、オドリジシ。と言われているんですね。

 そこで思い出すのが、『もののけ姫』に出てくるシシガミですが、あれは間違いなくニホンカモシカですね。キャラが鹿ではありません。ニホンカモシカです。ニホンカモシカの性格にそっくりです。ニホンカモシカは、シシガミ様であり、人間たちと深く繋がっていたのです。

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 ところがニホンカモシカを飼育した最初の記録は明治9年。当時の山下町博物館動物飼育場(上野動物園の前身)で栃木県産のものが飼育されたという記録が1件あります。第2次世界大戦前には、この1件だけです。ニホンカモシカというのを飼育したという記録は、明治9年の記録があるだけで、他にゼロでした。にもかかわらす、密漁によってニホンカモシカは全滅の危機に陥り、昭和30年頃には、3000頭まで減ったと言われています。ニホンカモシカは、絶滅の危機を迎えました。

 ちなみに「カモシカのような足」という言葉がありますが、この言葉が流行したのは、戦後間もないころです。「カモシカのような足」と聞けば、すらりとしたバネのある足を思い出しますが、残念ながらニホンカモシカの足は、すらりとしていません。短足で太いです。

 なのに「カモシカのような足」と言う言葉がはやり、カモシカの足に女性はあこがれていた昭和30年代は、ニホンカモシカは全国で3千頭ぐらいしかいなく、絶滅寸前で実際のカモシカを、日本女性たちは、じっくり見たことがなかったのですね。だから日本女性は、カモシカの足に憧れたわけです。
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2005年05月29日

ニホンカモシカの謎2

ニホンカモシカの謎2

 ニホンカモシカは、鹿ではありません。
 ニホンカモシカは、牛の仲間です。
 鹿ではなくて、牛なんです。

 ヤギなんかも牛の仲間ですが、ヤギ・牛・カモシカは、種としては、親戚同士なんですね。そして、ニホンカモシカは本家にあたりまして、まあ牛科動物の御先祖様にあたります。つまり、一番古い牛科動物なんですね。

 最初にカモシカが登場し、ヤギなんかがあらわれ、最後に牛たちに進化し、カモシカたちはしだいに姿を消していったわけです。それだけにカモシカには、古代から変化しない原始的な形質をそのままにしているという特徴があります。

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 例えば、反芻(はんすう)について。反芻(はんすう)とは、4つの胃袋を使って、エサを徹底的に分解消化する機能のことですが、牛やニホンカモシカたちは、第一胃袋にエサを入れ、それを口に戻して、もう一度かみ直し、また第一胃袋に戻すといったことをするわけです。

 こうやってエサを消化するわけですが、カモシカたちは一番古い牛科動物であめるために、牛やヤギに較べて4つの胃袋が小さいんです。

 だから、牛たちに較べると、どうしても不利なんです。そして、その小さい胃袋は、ちょっとしたストレスで、すぐに機能が停止してしまう。現代人みたいに神経質でストレスに弱いんですね。

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 だから北軽井沢付近の国立公園で、ニホンカモシカがよく出てくるところは、ペットの犬を制限しています。例えば、池ノ平湿原では、犬をつれて入ることを禁止されていますが、これはカモシカにストレスを与えないためです。

 カモシカにストレス?
 そんな過保護な・・・・。

 と思われるかもしれませんが、決して過保護ではありません。本当にストレスに弱いんです。ちょっとしたことで、すぐに下痢してしまう。そのために、長い間、カモシカの飼育は不可能だと、日本全国の動物園で言われてきたんです(カモシカの謎1を参照してください)。

 話は変わりますが、今日は、カモシカウオッチングのコツを伝授したいと思います。

 カモシカは、1日2回ほど反芻(はんすう)活動します。まず、朝起きると、第一胃袋がいっぱいになるまでエサを食べます。そして第一胃袋がいっぱいになると、どこかに隠れて胃袋からエサを口に戻してモグモグと反芻(はんすう)しますが、こうなるとカモシカを見つけにくいんです。ですから、エサを食べにでかけている早朝か、もしくは、2回目のお食事タイムのお昼過ぎにカモシカに出会える可能性が高いですね。

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 逆に、お昼頃(10時〜12時)に、見晴らしの良いところで、じっとしているカモシカを発見したら、反芻(はんすう)していると考えて良いですね。胃袋に入っているエサを口に戻してモグモグやっているんです。そのために休んでいるように見えるんです。

 となれば、次の日も、その次の日も、その場所で反芻している可能性が高いので、翌日は、高倍率の双眼鏡を準備して、風向きを考慮して、遠くからウオッチングしてもいいかもしれません。私は、8〜24倍の双眼鏡を使っています。

 あと、カモシカは、縄張り性動物ですから、一度、発見した場所であるなら、もう一度、同じところで発見できる可能性が高いんです。ですから、カモシカのマーキングを見つけたらチャンスですね。カメラの準備をしておきましょう。

 それからカモシカのマーキングですが、浅間山麓・志賀高原・嬬恋村・北軽井沢なら簡単にみつかります。足のモモくらいの太さの木で、1周ぐるりと樹皮がはがれ、細かいギザギザのような跡がついていたら、もうカモシカの生活範囲です。


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2005年05月28日

ニホンカモシカの謎1

ニホンカモシカの謎1  ニホンカモシカは、特別天然記念物です。パンダに負けないくらい珍しい動物なんです。中国では、友好の印にパンダをプレゼントしたりしますが、日本では、ニホンカモシカをプレゼントします。北京、ベルリン、サンディエゴなどの動物園に、友好記念に贈られています。 つまり、中国のパンダに匹敵しているのが、ニホンカモシカなんですね。それほど珍しい動物で、特別天然記念物にも指定されています。


 ところで、ニホンカモシカが動物園などの施設で、本格的に飼育・繁殖等を研究され始めたのは戦後になってからでした。戦前においては、繁殖も成功例はなく、動物園もサジをなげている状態でした。

 しかし、第二次大戦のために全国各地の動物園は、動物たちを失ってしまい、もう一度、動物を収集することになると、にわかにニホンカモシカが注目されてきたのです。  ニホンカモシカは欧米の動物園ではとても珍重される動物で、入手を希望する国が多いことから、ニホンカモシカの飼育繁殖に成功すれば、それと交換することによって、多くの貴重な動物を手に入れる可能性がでてきたから、ニホンカモシカの研究は大変重要なポイントをしめるようになりました。

 

 しかし、人間がカモシカを飼育するというのはとても難しいことでした。
 ストレスに弱い動物だったからです。

 捕獲して動物園までの輸送中に死んでしまうことが多く、動物園に着いても、人の与える餌に馴染もうとしません。若いニホンカモシカでなんとか餌付けに成功しても、人間の飼育下にあるというストレスから消化器系の故障をきたして死んでしまったり、こどもにしても環境の変化に対応できないストレスで抵抗力が衰えて肺炎をおこしやすく、すぐ死んでしまいます。

 昭和38年3月、文化財保護委員会、林野庁、全国の動物園や博物館の代表者が集まって「特別天然記念物カモシカの保護についての打ち合わせ会」(のちの「カモシカ会議」の発端)が催されます。この会議で、全国の動物園・博物館が協力して共同捕獲・共同飼育を行い増殖をはかることになり、

 三重県御在所岳の日本カモシカセンター
 大町山岳博物館、
 立山風土記が丘カモシカ園、
 京都市動物園、
 神戸市立王子動物園

の5ヶ所で飼育実験が実行されることになりました。

 そして、昭和40年にはじめてニホンカモシカの飼育下での繁殖は成功したのです。ただし、海外の動物園に輸出するまでにいたっていません。ストレスに弱いために、移動の困難からなかなか実現できないようです。  これは国際的にも珍しい事例ですが、外交の際の友好の証としてのみやりとりされ、日本国の代表として活躍する動物なんですね。つまり、ジャイアントパンダと同じくらいに貴重な動物なんです。いや、それ以上なんです。海外の動物園での希少価値は、パンダ以上であると言っても過言ではありません。


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posted by マネージャー at 00:12| Comment(6) | TrackBack(2) | 自然−動物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする