八間山ハイキングツアー報告(高山植物編)
土井君が行うツアーが、もうじきなくなるので、はなむけに真面目に解説することにした。今回は、高山植物について私が分かる範囲で解説してみたい。
1.シロバナショウジョウバカマ
ユリ科ショウジョウバカマ属の多年草。田んぼの畦道から高山帯の高層湿原まで生えている。吾妻渓谷やシャクナゲ園の上部から小串鉱山・鷹繋山の登山道にまである。根生葉の重なりが猩々の袴に似ていることから名付けられた。
2.ショウジョウバカマ
山辣韮 (やまらっきょう)に似ているが、よくみると葉っぱがちがっている。これも浅間高原のいたるところにある。
3.イワカガミ (岩鏡)
イワウメ科イワカガミ属。イワカガミ(岩鏡)は、岩場に生えることと、光沢のある葉を鏡に見立ていることに由来するが、浅間高原では岩より林道や登山道に多く見られる。近縁種にコイワカガミ、オオイワカガミ、ヤマイワカガミなどがある。コイワカガミは、イワカガミに比べ、花の数が少なく小ぶりである。黒斑山・湯の丸高原に多い。オオイワカガミは、鮮やかなピンクの花をつける。こちらは浅間高原では、あまりみかけない。ヤマイワカガミは、白い花をつける。小串鉱山に多い。
4.ミツバオウレン(三葉黄蓮)
高山植物にしては珍しくキンポウゲ科である。そしてオウレン属。同じキンポウゲ科には、トリカブト・オダマキ・シラネアオイなどがある。常緑の多年草で浅間高原にも多く、シャクナゲ園北部に大量に見られる。小さな花だが、特徴があるので一度見たら忘れられない。もちろん日本特産。オウレンは、多数のひげ根が黄色く連なるところから、黄連と呼ぶようになった。黄色く太い根茎から、黄色い蓮根(レンコン)と見立てたものである。 古くは、カクマクサ(加久末久佐)という。カクマは「堅い根」を意味している。浅間山の北斜面の森林地帯にも多く咲いている。志賀高原や浅間高原では、おなじみの花だ。湿地を好むから、野反湖付近にも多いはず。
5.モミジイチゴ (紅葉苺)?
ミヤマニガイチゴ? 調査中
6.レンゲツツジ
湯の丸山・菅平高原・赤城山にウジャウジャある。北軽井沢ブルーベリーYGHの周辺にもいっぱい。樹を伐採すると、次々とはえてくる。浅間山の麓に雑草のごとくはえている。もちろん八間山にもたくさんある。
7.コマクサ
ケシ科の多年草。厳しい環境に生育する事から「高山植物の女王」と呼ばれている。花の形が馬 (駒) の顔に似ていることから名前がついている。日本では北海道から中部地方の高山帯の砂礫帯に分布している。常に砂礫が動き、他の植物が生育できないような厳しい環境に生育する事から、明治時代の文士で放浪の作家と言われた大月桂月が北海道の大雪山で初めてこの花に逢って感動して
「高山植物の女王」
と呼んだ。コマクサの名前の由来はその花の形が馬 (駒) の顔に似ていることが由来となっている。
ちなみにコマクサは高山植物の中でも先駆植物として、何も生育していない厳しい環境の土地に最初に根づく植物として重要な役割を担っている。その土地の養分が豊かになると、やがて他の植物に譲り、別の土地に移転しなければならない過酷な運命を背負っている。他の植物が生育できないような砂礫地に生えるため、地上部からは想像できないような50〜100cmほどの長い根を張る。昔は、花の美しさよりも薬草としての価値が高く、古くから腹痛の妙薬として知られていた。しかし、実際のところは全株が有毒。ディセントリン、プロトピンなどを含み、中毒症状としては嘔吐・体温の低下・呼吸麻痺・心臓麻痺がみられる。
8.シラネアオイ
キンポウゲ科シラネアオイ属の多年草。日本固有種。しかも一属一種という珍しい高山植物。コマクサと同じくらい人気のある高山植物。そのせいか末端価格で一万円もする。実際、シャクナゲ園で、その値段で売られていた。それが八万株もあるというから、驚く。
9.マイヅルソウ (舞鶴草)
ユリの仲間。ユリ科マイヅルソウ属に属する多年草。葉の模様が舞う鶴に見えることから、舞鶴草という名がついている。浅間高原に最も多い高山植物で、嬬恋村のシャクナゲ園あたりにワンサカある。木陰や霧をこのむらしく、薄明るい林の中に多いね。
繁殖状況はもっと低高度で見られるチゴユリに似る。似たような生態のものに、ユキザサやタケシマランの仲間があり、時には同時に見られることも多い。ブナ帯上部から現れることが多く、ミヤマワラビ、シラネワラビ、イワダレゴケ、フジノマンネングサ、コミヤマカタバミなどと共に高度指標となる。御蔵島では低高度に分布していることが知られており、山体効果によるものといわれる。また、雲霧環境を好み、海に迫った降雨量の多い山では比較的低高度で見られる傾向がある。
10.アカモノ (赤物)
イワハゼ。ツツジ科シラタマノキ属の常緑小低木。山野草愛好家の間では、シラタマノキのことをシロモノと呼ぶのに対して、赤い実を付けるためアカモノと呼ばれているが、もともとはアカモモが転化してできた名前だ。木の仲間で、酸性土を好むから、浅間山にも多くみられる。コケモモと間違う人がいるが、葉っぱをみると違ってるね。八間山にはアカモノが多く、コケモモが少なかったりする。
11.ウラジロヨウラク (裏白瓔珞)
花の様子が仏像が身につけている装身具(ようらく)に似ていること、葉の裏が白いことから付けられた。瓔珞(ようらく)とは菩薩以下の仏像に首飾り、胸飾りとしてもちいられている。ツツジ科ヨウラクツツジ属の落葉低木。どういうわけか八間山の稜線上に多い。浅間高原だとドウダンツツジが圧倒的に多いのだが、八間山では、むしろこっちが多い。昔、早池峰に登ったとき、これがたくさんあった。やはりドウダンツツジの方が少なかった。
12.ガクウラジロヨウラク (萼裏白瓔珞)
ガクウラジロヨウラクはウラジロヨウラクの変種。ウラジロヨウラクとの違いは萼が長いこと。
13.オオカメノキ
スイカズラ科ガマズミ属の落葉低木‐小高木。卵円形の葉の形が、亀の甲羅に似ているので、この名前になった。鬼押出し園や小浅間山なんかにワンサカある。浅間高原に多い樹木だ。
14.ムラサキヤシオ(紫八汐)
ツツジ科ツツジ属 (落葉低木) 。紫色の染料で、何回も染め上げたツツジの意味。ツツジの中でも最も美しい色をしています。花が濃いですね。やはり登山道でみかけます。浅間高原シャクナゲ園にもありますが、6月初旬のバラギ高原の野地平湿原にも多く見かけます。
15.コケモモ (苔桃)
ツツジ科スノキ属の常緑小低木。果実を食用とするが、栽培されることは稀で、野生のものを採取するのが一般的だ。自然での生育地はユーラシアの北部や北アメリカの周北林で、温帯から北極圏に近い地域まで分布する。森林に生育するため、日陰で湿度が高く、また土壌が酸性の場所を好む。多くのツツジ科の植物と同様、栄養分の少ない土地でも耐えられるが、アルカリ性の土壌では生育できない。耐寒性にすぐれ、-40℃以下でも耐えることができる一方、夏が暑い場所では生育しにくい。黒斑山から鬼押出し園近くの別荘地までどこでも見られるが、標高が低くなると花が咲かない。
16.ツマトリソウ
ツマトリソウ(褄取草)は、サクラソウ科ツマトリソウ属の多年草。APG植物分類体系では、ツマトリソウ属はヤブコウジ科に移されている。和名の由来は、花弁の先端にしばしば淡い紅色の縁があり、その色の入り方が鎧の威色目の一つである褄取りに似ているため。小浅間山の西峰の林に雑草のように生えている。
17.コミヤマスミレ
なにせ小さくて地味なので、みつけにくい。日本のスミレ類ではもっとも日陰に生えるものの一つらしい。湿った高原の草地に生えるが、北海道では海岸の草地で見かけることもある。
18.キジムシロ
バラ科キジムシロ属の多年草。顎は星形。葉はイチゴの葉にも似ている。葉っぱの姿がキジが休むムシロに例えられた。うちの近所の庭にもよく見かけるために地元民から雑草扱いされている。
19.ツバメオモト(燕万年青)
ユリ科ツバメオモト属の多年草の一種。田中澄江が『新・花の百名山』の著書で、奥秩父山塊の飛龍山を代表する花の一つとして紹介している。奈良県・鳥取県・兵庫県・埼玉県などで、レッドリストの指定を受けている。しかし、このとおり群馬県には多く存在している。
20.コヨウラクツツジ(小瓔珞躑躅)
ツツジ科ヨウラクツツジ属の落葉低木。若い枝には毛が生える。花の様子が仏像が身につけている装身具(ようらく)に似たことからつけられた。
21.コミヤマカタバミ
カタバミ科カタバミ属の高山植物で、八間山にたくさんある。葉っぱに特徴(ハート型)があるので、分かりやすい。八間山の北側コースに咲いている。夜間や雨の日には花や葉は縮まる。かつては、この植物を煮出してシュウ酸カルシウムを抽出した。ちなみにシュウ酸カルシウムをとりすぎるし尿路結石になりやすい。
22.エンレイソウ
ユリ科エンレイソウ属の多年草。タチアオイとも言う。林のやや湿った場所に生えるが、佐渡島では海岸の砂地にも生えている。北軽井沢の別荘地にも多く、小浅間山の登山道に入り口などにも多い。果実は食べられるが、根茎はサポニンなどの成分を含む有毒植物。
つづく。
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